解説

東京都の保育所の設備の安全対策:転落防止柵の高さ120cm・出入口のオートロックなど11項目

東京都の保育所設備・運営基準解説(令和5年9月21日版)が、条例第5条第3項に基づいて例示する設備全般の安全対策11項目を整理します。転落防止柵の高さ・格子の幅、出入口のモニタとオートロック、扉の向きまで、物件の内見で確かめる点を示します。

この記事が答えること:東京都の保育所の設備で、安全のために何を確かめるか

東京都の解説は、保育所の設備の安全を確かめる項目として、指つめ防止、不審者の侵入防止、転落防止、進入防止など11項目を例示しています。

東京都福祉局の「東京都保育所設備・運営基準解説」(令和5年9月21日版)は、条例第5条第3項に基づいて「施設・設備の安全性を確保するために配慮すべき事項」を例示する、と書いています。

面積や階数の基準に目が向きがちですが、内見のときは、この11項目も図面と現地で確かめる対象になります。

この記事は、東京都が公表している解説書の記載を整理するものです。個別の建物が基準に合うかの判断や、認可の可否は扱いません。東京都の取扱いなので、他の自治体は各自治体の手引きで確かめてください。

11項目の一覧:何を、どこで確かめるか

設備全般に関する留意事項(東京都の解説、確認日 2026-10-22)
項目解説が求める内容の要点
指つめ防止保育室等の出入口、児童用トイレ、ベビーゲートなど児童が出入りする戸や扉で、必要に応じて対策する。児童の手が届く高さの範囲が対象
不審者の侵入防止・飛び出し防止出入口は施錠し、顔を確認できるようにする。モニタとオートロックの設置を基本とする
照明器具等の飛散・落下防止、備品の転倒防止ガラス、照明器具(ダウンライトを含む)、鏡の落下・飛散防止と、棚やロッカーの転倒防止
ガラスへの衝突防止ガラスの窓や扉に柵などを設ける。無色透明なガラスはシールなどで認識できる工夫をする
建具などの面取り柱、建具、棚などの角を面取りし、突起物にも配慮する
感電防止コンセントは手の届かない高さに置くか、カバーやシャッター付きにする
転落防止保育室等、階段、廊下、便所、ベランダ、屋上などに柵を設ける(または窓を児童が開閉できないようにする)
進入防止事務室、倉庫、パイプスペースなどに、手の届かない位置の鍵などで立ち入りを防ぐ。保育室等に火気を使う設備や器具がある場合は、児童の火遊びを防ぐ進入防止措置も講じる
階段等の安全対策階段や傾斜路に、児童が安全に使える手すりを設ける
覗き見防止外から保育所の中が容易に覗けないようにする。保育室のガラス面に目隠しフィルムを貼る例が示されている
開き戸の安全対策保育室内に面した扉は引き戸が望ましい。保育室側に開く扉は、扉に窓を付けて児童がいないか確認できる構造にする

解説の書き方には強弱があります。

「施錠を行うこと」「柵等を設けること」のように求める書き方の項目と、「引き戸が望ましい」のように望ましいとする書き方の項目が混ざっています。

望ましいとされた項目を必須として扱わず、必須かどうかは窓口で確かめてください。

転落防止:柵の高さは足がかりから120cm以上、格子の幅は内法8cm以下が基本

転落防止の柵については、数値が具体的に書かれています。

柵は児童が乗り越えられないよう縦格子柵などとし、高さは足がかりから120cm以上、格子の幅は内法8cm以下を基本とすると解説にあります。

高さは「足がかりから」測ると書かれているので、足がかりになるものがある場所では、その上から測った高さが問われます。

解説は、窓の近くやベランダに足がかりになるものを置かないことも求めています。

階段については、児童が1人で昇降しないよう、降り口に児童が開けられない柵を設けるなどの配慮が書かれています。

内見では、柵の高さだけでなく、窓の近くに置かれた棚や段差が足がかりにならないかも見てください。

120cmと8cmは「基本」の数値

解説は「基本とするなど」と書いており、この数値だけで適合が決まるとは書いていません。既存の建物に合わせた別の対策が認められるかは、東京都や区市の担当課に図面を見せて確かめてください。

出入口:モニタとオートロックは、建物の出入口の扉に付けるのが基本

不審者の侵入防止について、解説は具体的な例で説明しています。

敷地の境界に門扉があり、建物の出入口(メインエントランス)に扉がある園で、モニタとオートロックを門扉にだけ付け、開所時間中に建物の出入口を開けたままにすると、不審者が建物に入るおそれがあります。

この配置は、解説で不審者侵入防止策として不十分とされています。

そのため、建物の出入口の扉にモニタとオートロックを設置するのが基本です。

あわせて、誤って児童が保育所の外に出ないよう、安全が確保された設備・構造にすることも求められています。

フェンスは、児童の飛び出しと不審者の侵入に配慮した構造にします。

賃貸物件では、一般に出入口の扉の工事に貸主の承諾が要るので、契約の前に確かめておくと手戻りを防げます。

内見で使う手順:11項目を現地で確かめる順番

内見では、出入口、転落防止、児童が触れる部分、立ち入りを防ぐ場所の順に、5段階で確かめると見落としを減らせます。

数値や適合の判断が必要な点は、最後に図面と一緒に窓口へ持ち込みます。

  1. 出入口から確かめる

    建物の出入口の扉にモニタとオートロックを付けられるか、門扉だけで済ませる配置になっていないかを見ます。

  2. 窓・ベランダ・階段の転落防止を測る

    柵の高さを足がかりから測り、格子の幅と足がかりになる物の有無を確かめます。

  3. 児童が触れる部分の角・コンセント・ガラスを見る

    面取り、コンセントの高さ、ガラスの衝突防止、照明や棚の落下・転倒防止を見ます。

  4. 入れてはいけない場所と扉の向きを確かめる

    事務室や倉庫などの鍵の位置、保育室の扉が引き戸か、開き戸なら窓があるかを見ます。

  5. 不明点を図面と一緒に窓口へ持ち込む

    数値や適合の判断は、東京都や区市の担当課に図面を見せて確かめます。

よくある質問

転落防止の柵は、高さ120cm以上が必須ですか。

解説は「足がかりから120cm以上、幅は内法8cm以下を基本とする」と書いています。必須とは書かれていないため、既存の建物に合わせた対策の扱いは窓口で確かめてください。

門扉にオートロックがあれば、建物の出入口には要りませんか。

解説は、門扉にだけ設置して建物の出入口を開放する配置を、不審者侵入防止策として不十分としています。建物の出入口の扉への設置を基本としています。

保育室の扉は、引き戸にしなければなりませんか。

解説は「引き戸が望ましい」と書いています。保育室側に開く扉を付ける場合は、扉に窓を設けて児童がいないか確認できる構造にします。

他の自治体でも同じ11項目ですか。

この記事は東京都の解説の記載です。他の自治体の基準は各自治体の手引きで確かめてください。

この試算で、設備の安全対策が基準に合うか判定できますか。

判定できません。この試算は公定価格のモデル計算で、設備基準の適合や認可の可否は扱いません。

建物の条件を確かめたうえで、公定価格を試算する

市町村に確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。設備の安全対策の適合は試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

次に知りたいこと:東京都の非常口と耐震の要件、東京都で保育室等を2階以上に置く手続き、保育室等の面積の数え方

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

「定員・在籍・利用開始の時期が変わるとき」の解説一覧へ