この記事が答えること:東京都で保育室等を2階以上に置くとき、階ごとに何を出し、何を検討するか
東京都は、保育室等を2階以上に置く場合に、階が上がるごとに東京都へ出す書類と事前の手続きを増やしています。
東京都福祉局の「東京都保育所設備・運営基準解説」(令和5年9月21日版)が、2階以上は一級建築士の証明書、3階以上は消防機関への事前相談と調理室の防火設備の性能、4階以上は待避スペースの検討を示しています。
建物の構造そのものの要件は国の省令と同じ枠組みで、この記事は東京都への手続きの部分を扱います。
この記事は、東京都が公表している解説書の記載を整理するものです。個別の建物が基準に合うかの判断や、認可の可否は扱いません。図面を持って、東京都の保育支援課や消防機関に確認してください。
前提:保育室等は1階が望ましく、複数階にまたがるときは最も高い階の基準が全体に適用される
解説は、保育室等を特別の理由がない限り1階に設けることが望ましいとしています。
2階以上に設ける場合は、乳幼児の特殊性にかんがみ、防災設備の一層の向上に努めるとともに、避難訓練の実施や消防機関の協力の確保に万全を期すよう書かれています。
保育室等を2階以上の複数階にわたって設けるときは、その保育所の構造設備のすべてについて、最も高い階に設ける場合の基準が適用されると解説にあります。
例えば2階と3階に保育室を置くなら、3階以上の基準で建物全体を見る形になります。
階ごとの東京都への手続きと、あわせて確かめる事項
| 置く階 | 東京都への手続きなど | 建物の要件の枠組み |
|---|---|---|
| 1階 | 検査済証、用途変更の確認済証等、建築基準法等に適合していることが分かる書類を出す | 施行規則第14条の基準の対象は、保育室等を2階以上に設ける場合 |
| 2階 | 上の書類に加えて、一級建築士による施行規則第14条を満たすことの証明書を出す | 耐火建築物または準耐火建築物。常用と避難用の階段など |
| 3階 | 上の書類と証明書に加えて、認可申請の前に消防機関へ相談する。調理室を区画する特定防火設備は遮煙性能を持たせる | 耐火建築物。調理室の区画、壁と天井の不燃仕上げ、警報と通報の設備、防炎処理など |
| 4階以上 | 3階の手続きに加えて、国通知の別添に留意して施設を整備する。待避スペースの整備は取り組むことが望ましい | 3階以上の要件に加えて、常用・避難用の階段などの構造が階ごとの表で定められている |
証明書を出すのは2階以上です。一級建築士が、東京都の施行規則第14条の基準を満たすことを確認します。
3階以上で消防機関に相談する人は、設置者または防火管理者になる予定の人です。相談では、消防設備と消防計画の内容が消防法その他の関係法令に適合することを確かめます。
調理室の防火設備は、遮煙性能まで求められる
3階以上では、調理室を他の部分と区画する特定防火設備に、建築基準法施行令第112条第14項第2号の要件を満たす遮煙性能を持たせるよう、解説が求めています。調理室の区画は、遮煙性能を持つ仕様にする必要があります。
設計者に、調理室を区画する扉やシャッターが遮煙性能を持つ仕様かを確かめます。仕様書の型番と性能の根拠を、東京都への提出書類に添えられる形で控えます。
4階以上は、待避スペースを設ける形が示されている
待避スペースとは、乳幼児と保育士等が建物の中で安全に待避し、外部からの救助を待つことができる場所です。
解説は、国通知の別添を受けて、避難階段前の付室、区画された部屋、保育室とは別の階の外気に接する安全なスペースを例に挙げています。
整備は「取り組むことが望ましい」という書き方で、必須とは書かれていません。
| 形 | 解説が書く主な要件 |
|---|---|
| 避難階段前の付室 | 特別避難階段の付室の構造基準(建築基準法施行令第123条第3項の第1号・2号・3号・4号・6号・10号)を満たす。特別避難階段を整備する場合は、その付室と兼ねられる |
| 区画された部屋 | 付室と同じ構造基準を満たし、4階以上で使う避難用の設備に隣接するなど、避難に有効な位置に設ける |
| 別の階の外気に接する安全なスペース | 特別避難階段のバルコニー、または次の屋外のスペース。保育室等がある階の上下1階の範囲内にある。地上か避難階に直通する避難用階段がある。屋内からの扉は特定防火設備の防火戸。油など引火性のものを置かない。周囲に金網等を設け、上部を内側に曲げるなど転落防止に適した構造にする。警報設備がそのスペースまで通じ、そこから非常を知らせる設備を設ける |
面積の目安も書かれています。
待避スペースの面積は、4階以上に設ける保育室等の面積の8分の1以上です。ここでいう面積は、その階の保育室等を使う園児数に、条例第41条の園児一人あたりの必要面積(0〜1歳は3.3平方メートル、2歳以上は1.98平方メートル)を掛けた面積です。
待避スペースを設けても、災害時の避難行動の基本は自衛消防活動です。
解説は、屋外避難を想定した訓練を実施する必要があると書いています。
計画段階での進め方
保育室等を置く最も高い階を決める
複数階にまたがるときは、最も高い階の基準が建物全体に適用されます。まず最も高い階を決めてから、その階の手続きの一覧を作ります。
建物の書類がそろうかを確かめる
検査済証と、用途変更の確認済証等があるかを貸主や設計者に尋ねます。賃貸物件では、保育所への用途変更が済んでいない場合の扱いを先に確かめます。
2階以上は、一級建築士の証明書を頼める人を決める
施行規則第14条を満たすことの証明書を出す一級建築士を、設計の初期に決めます。
3階以上は、認可申請の前に消防機関へ相談する
設置者または防火管理者になる予定の人が、消防設備と消防計画の案を持って相談します。調理室の区画の仕様もこの段階で確かめます。
4階以上は、待避スペースの形と面積を図面で検討する
付室、区画された部屋、別の階の外気に接するスペースのどれにするかを決め、4階以上の保育室等の面積(その階の園児数に一人あたりの必要面積を掛けた面積)の8分の1以上を確保できるかを見ます。
ここでの手続きは東京都の解説書の記載です。他の道府県や市では、提出書類や相談先が違います。東京都の数字や手続きをそのまま使わないでください。
よくある質問
- 2階に保育室を置くとき、東京都へ出す特別な書類はありますか。
解説によると、検査済証や用途変更の確認済証等に加えて、一級建築士による施行規則第14条を満たすことの証明書を出します。書類の様式や提出の時期は窓口で確かめてください。
- 1階と2階に保育室を置く場合、どの階の基準で見ますか。
解説は、2階以上の複数階にわたる場合は、最も高い階に設ける場合の基準が全体に適用されるとしています。1階と2階なら2階の基準です。
- 4階以上では、待避スペースは必ず設けなければなりませんか。
解説は、待避スペースの整備を「以下を参考に取り組むことが望ましい」と書いています。必須かどうかは、窓口に確かめてください。
- 待避スペースの面積は、どう計算しますか。
4階以上に設ける保育室等の面積の8分の1以上です。ここでの面積は、その階の保育室等を使う園児数に、0〜1歳は3.3平方メートル、2歳以上は1.98平方メートルを掛けた面積とされています。
- この試算で、階数に関する基準を満たすか判定できますか。
判定できません。この試算は公定価格のモデル計算で、設備基準の適合や認可の可否は扱いません。
建物の条件を確かめたうえで、公定価格を試算する
市町村に確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。階数や避難に関する基準の適合は試算結果に含まれません。
利用定員を入れて公定価格を試算するほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧
この記事が参照した一次資料
- 東京都保育所設備・運営基準解説(令和5年9月21日版)
該当なし/対象外対象外/確認日 2026-10-18