解説

保育園の職員の育児休業(1歳・2歳までの延長と申出を拒めない範囲)

民間の保育園の職員が育児休業を申し出たとき、園が断れる範囲は限られます。育児・介護休業法第5条・第6条・第9条の2・第10条から、休業できる期間、1歳6か月・2歳までの延長、出生時育児休業、不利益取扱いの禁止を整理します。

育児休業の申出は、園が拒めない場合が多い

育児・介護休業法第5条第1項は、労働者が1歳に満たない子を養育するときに、事業主へ申し出て育児休業をすることを認めています。

事業主は、申出があったときに、原則として拒めません(第6条第1項)。

育児休業の申出と事業主の対応(育児・介護休業法第5条・第6条、確認日 2026-10-17)
項目条文の内容
休業できる子養育する1歳に満たない子(延長の場合は後述)
申出の方法休業する一の期間について、初日と末日を明らかにして申し出る(第5条第6項)
事業主の対応申出を拒むことができない(第6条第1項)
有期契約の職員子が1歳6か月に達する日までに、契約が満了することが明らかでない者に限り申出できる(第5条第1項ただし書)
1歳までの回数1歳到達日までに2回の育児休業をした場合は、特別の事情がある場合を除き、再び申し出られない(第5条第2項)

この記事は、育児・介護休業法が適用される民間の保育園などの職員が対象です。日々雇用される者は、育児休業の定義から除かれています(第2条第1号)。公立保育所の職員の育児休業は、地方公務員の育児休業等に関する法律など別の法令で定まるため、所属の自治体に確認します。

園が断れるのは、労使協定で除外した職員などに限られる

第6条第1項ただし書は、事業所の労働者の過半数を代表する者などと書面の協定を結んだ場合に、その協定で育児休業をすることができないと定めた職員からの申出を、拒める例外を置いています。

例外の対象は、引き続き雇用された期間が1年に満たない職員と、厚生労働省令で定める職員です。

就業規則に書くだけでは、例外にならない

例外に当たるのは、書面の労使協定で除外した職員です。協定がない園では、雇用期間が1年に満たない職員の申出も、拒めない扱いになります。協定で除外された職員の申出を園が拒んだときは、その職員は育児休業をすることができません(第6条第2項)。

除外を設けるなら、過半数代表者との書面の協定の有無と、除外する職員の範囲を確認します。省令で定める対象の中身は、厚生労働省の「育児・介護休業法のあらまし」などで確認します。

第6条第3項は、休業の開始予定日が申出の翌日から1か月を経過する日より前のときに、事業主が開始予定日を、その経過日までの間の日に指定できると定めています。

子の1歳到達日(2歳までの延長は1歳6か月到達日)以前にする延長の申出は、この期間が2週間です。

1歳6か月、2歳までの延長は、条件を満たした場合に限られる

第5条第3項は、1歳から1歳6か月に達するまでの子について、育児休業を再び申し出られる場合を定めています。

本人か配偶者が1歳到達日に育児休業をしていて、雇用の継続のために特に必要と認められる場合として省令が定める事情があることが要件です。省令が定める特別の事情がある場合は、後者の事情があれば足ります。

育児休業の延長の条文(育児・介護休業法第5条第3項・第4項・第9条、確認日 2026-10-17)
延長条文の要件休業の終わり
1歳〜1歳6か月1歳到達日に本人か配偶者が育児休業中、雇用の継続のため特に必要な事情(省令)、この延長を使ったことがない子が1歳6か月に達したとき
1歳6か月〜2歳1歳6か月到達日に本人か配偶者が育児休業中、雇用の継続のため特に必要な事情(省令)、この延長を使ったことがない子が2歳に達したとき

第9条第2項は、育児休業期間が終了予定日より前に終わる場合を挙げています。

子が死亡するなど養育しないことになった場合、子が1歳(延長中は1歳6か月か2歳)に達した場合、産前産後休業・出生時育児休業・介護休業・新たな育児休業が始まった場合です。

出生時育児休業は、子の出生後8週間以内の4週間までの休業

第9条の2第1項は、子の出生後8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間以内の期間を定めてする休業を、出生時育児休業と定めています。

出産予定日と出生日がずれた場合は、条文が期間の数え方を別に定めています。

出生時育児休業の条文(育児・介護休業法第9条の2・第9条の3、確認日 2026-10-17)
項目条文の内容
休業の期間子の出生後8週間を経過する日の翌日までの期間内の、4週間以内の期間
有期契約の職員子の出生後8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、契約が満了することが明らかでない者に限り申出できる(第9条の2第1項ただし書)
回数と日数この期間内に2回までで、出生時育児休業の日数は合わせて28日が上限(第9条の2第2項)
事業主の対応申出を拒むことができない(第9条の3第1項)。労使協定で除外された職員の扱いは第6条の例による(第9条の3第2項)
開始日の指定開始予定日が申出の翌日から2週間を経過する日より前のときに、事業主が開始予定日を指定できる(第9条の3第3項)

産後8週間までの女性職員の休業は、育児休業とは別に、労働基準法第65条の産後休業があります。産前産後休業は保育園の職員の産前産後休業と育児時間で整理しています。

申出を理由にした解雇や不利益な取扱いは禁止されている

第10条は、事業主が、労働者が育児休業の申出をしたこと、または育児休業をしたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと定めています。

禁止の対象は解雇に限らず、その他の不利益な取扱いに及びます。

どの取扱いが不利益に当たるかは、条文だけでは決まらない

条文は不利益な取扱いを禁止するだけで、降格や賞与の算定などが個別に当たるかは、事情に応じて判断されます。この記事で、特定の職員への対応が適法かどうかを判定することはできません。

休業中の賃金や賞与の算定の扱いは、就業規則に定め、休業の取得を理由にした扱いでないことを説明できる記録を残します。個別の判断が必要な場合は、都道府県労働局や社会保険労務士に相談します。

第21条第1項は、労働者が自分か配偶者の妊娠・出産を申し出たときに、事業主が育児休業の制度を知らせるとともに、育児休業の取得の意向を確認する面談などの措置を講じることを求めています。

申出を待つのではなく、園から制度を知らせる措置が義務になっています。

園で確認しておく順序

  1. 労使協定で、育児休業を除外する職員を定めているかを確認する

    協定がなければ、雇用期間が1年に満たない職員の申出も拒めません。協定がある場合は、除外する職員の範囲が書面に明記されているかを見ます。

  2. 有期契約の職員の契約期間と、子の年齢を並べる

    有期契約の職員は、子が1歳6か月(延長では2歳)に達する日までに契約が満了することが明らかでないかが、申出の条件になります。契約の更新の基準は有期契約職員の無期転換と契約更新で整理しています。

  3. 妊娠・出産の申出を受けたときの周知と面談の手順を決める

    第21条の措置として、制度の案内と意向確認の面談を、誰がどの書式で行うかを決めておきます。

  4. 休業中の職員の代わりの職員を、配置の基準で確かめる

    休業する保育士の代わりに、どの資格の職員を充てるかは、配置基準の確認が先です。みなし保育士の特例は専門職の保育士みなし特例で整理しています。

次に知りたいこと:看護等休暇、有期契約、職員の配置

育児休業を押さえたら、子どもの看護で取れる休暇、有期契約の扱い、休業中の人員の確保の順に確認します。

子の看護等休暇の対象と日数は、保育園の職員の子の看護等休暇で整理しています。短時間の職員の扱いは、短時間職員の社会保険・雇用保険の加入要件で整理しています。

よくある質問

入職して1年に満たない保育士の育児休業の申出を、断れますか。

労使協定で、雇用期間が1年に満たない職員を除外すると定めている場合に限り、断れます。協定がなければ、第6条第1項により拒めません。

パートや契約職員も、育児休業を取れますか。

有期契約の職員も、子が1歳6か月に達する日までに契約が満了することが明らかでない場合は、申出できます(第5条第1項ただし書)。労使協定による除外の対象になる場合は別です。

1歳を過ぎても、育児休業を続けられますか。

第5条第3項・第4項の要件を満たす場合に限り、1歳6か月、さらに2歳まで延長できます。要件の事情は省令で定められているため、厚生労働省の資料で確認します。

この記事で、自園の職員の申出を断れるか判定できますか。

できません。この記事は、法令の定めを整理したものです。個別の職員の申出や協定の有効性は、都道府県労働局や社会保険労務士に確認します。

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