解説

保育園の職員の育児時短就業給付金(2歳未満の子・賃金の10%を原則・事業主が届出と申請を行う)

2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮した職員に、雇用保険から支給される育児時短就業給付金を、雇用保険法第61条の12と厚生労働省のパンフレットで整理します。対象となる時短の範囲、支給を受ける要件、支給額の考え方、園(事業主)が行う届出と2か月ごとの申請を説明します。

この記事が答えること:時短勤務で賃金が下がる職員に、雇用保険から何が出るか

雇用保険法第61条の12は、雇用保険の被保険者が、2歳に満たない子を養育するために所定労働時間を短縮して就業したとき、育児時短就業給付金を支給すると定めています。

園の職員が時短勤務に入り、賃金が下がるときに、雇用保険から支給される給付金です。

給付金を受けるには、園(事業主)の側にも届出と申請の手続きがあります。

この記事は、雇用保険法の条文(e-Gov法令検索)と、厚生労働省のパンフレット「育児時短就業給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日時点版)の範囲で書いています。支給額の上限・下限などの金額は毎年改定されるため、ここには書きません。個別の職員が受けられるか、いくら受け取れるかは、事業所を管轄するハローワークで確認してください。育児・介護休業法の短時間勤務制度そのものや、育児休業給付は、この記事では扱いません。

対象になる時短は、2歳未満の子のために事業主が講じた所定労働時間の短縮

パンフレットによると、支給の対象になる時短就業は、2歳に満たない子を養育するために、被保険者の申出に基づき、事業主が講じた1週間当たりの所定労働時間を短縮する措置です。

1週間当たりの所定労働日数を変えた結果、1週間当たりの所定労働時間が短くなる場合も含みます。

対象になる時短の範囲(パンフレットの記載)
項目内容
短縮後の時間の上限・下限ない。育児・介護休業法の短時間勤務(1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むもの)に限らない。ただし、短縮後が週20時間を下回ると、子が小学校就学の始期に達するまでに週20時間以上の労働条件に復帰することが就業規則等の書面で確認できる場合を除き、雇用保険の被保険者資格を失い、給付の対象にならない
短時間正社員・パートへの転換子を養育するために転換や転職をして1週間当たりの所定労働時間が短くなった場合も、育児時短就業として扱う
子の年齢2歳に満たない子

園の短時間勤務の運用が、育児・介護休業法の制度どおりでなくても、2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮していれば、対象になり得ます。

反対に、時短の理由が子の養育でない場合は対象になりません。

職員の受給資格は2つ。各月の支給要件は4つ

受給資格(パンフレットの記載)
要件内容
① 時短就業をする被保険者2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する被保険者(一般被保険者と高年齢被保険者)
② 次のどちらか育児休業給付の対象になる育児休業から引き続き、同一の子について育児時短就業を開始した。または、時短就業を開始した日の前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は支払の基礎になった時間数が80時間以上ある)完全月が12か月ある

「引き続き」は、育児休業が終わった翌日に時短就業を始める場合に加えて、育児休業を終えた日と時短就業を始めた日の間が14日以内の場合を含みます。

この場合に当たる職員については、時短就業開始時の賃金証明書の提出は不要です。

各月の支給要件(パンフレットの記載。4つすべてを満たす月が対象)
要件内容
初日から末日まで続けて被保険者である月
時短就業1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
他の給付初日から末日まで続けて、育児休業給付または介護休業給付を受給していない月
高年齢雇用継続給付受給の対象になっていない月

支給額は、時短中の賃金の10%が原則。賃金の下がり方が小さいと率が調整される

パンフレットによると、支給対象月に支払われた賃金額が、時短就業を始めたときの賃金月額の90%以下のときは、支給額は支給対象月に支払われた賃金額の10%です。

90%を超え100%未満のときは、支給率が調整されます。

支給額と賃金額の合計が支給限度額を超えるときは、支給限度額から賃金額を引いた額が支給額になります。

条文には、支給されない月も書かれています。賃金が支給限度額以上の月、算定した額が、第8項が定める最低限度の額(第17条第4項第1号の額の80%に相当する額)を超えない月は、支給されません。

条文も同じ構造です。

第61条の12は、賃金が支給限度額以上の月は支給しないこと、賃金額に応じた率を乗じて額を出すこと、高年齢雇用継続給付と同一の就業で重ねて受けられないことを定めています。

金額(開始時の賃金月額の上限・下限、支給限度額)は、平均給与額の変動に応じて8月1日以後に改定されます。この記事には書かないので、パンフレットの最新版で確かめてください。

賃金が下がらないと、率が調整されて額が小さくなる

時短にしても賃金があまり下がらない職員は、賃金の10%より小さい支給率に調整されます。時短勤務に切り替える前の賃金と、切り替えた後の賃金の比べ方は、パンフレットの計算の説明を使って確かめる必要があります。

切り替え前後の賃金の見込みを職員と共有し、支給額はハローワークで確認する。

園が行うのは、賃金の届出・受給資格の確認・2か月ごとの支給申請

パンフレットによると、給付金を受けるには、被保険者を雇用している事業主が、育児時短就業開始時賃金の届出、受給資格の確認、支給申請を行う必要があります。

事業主が支給申請を行う場合は、届出と受給資格の確認と初回の支給申請を同時に行うこともできます。

育児休業給付の対象になる育児休業から引き続き時短就業を始めた場合は、育児時短就業開始時賃金の届出は不要です。

手続きの要点(パンフレットの記載)
項目内容
手続きの窓口事業所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)
支給申請の間隔原則として2つの支給対象月について2か月ごと
職員が自分で申請する場合職員が希望すれば、職員が自ら受給資格の確認と支給申請を行うことも、1つの支給対象月について1か月ごとに申請することもできる。ただし、育児時短就業開始時賃金の届出は事業主が行う

園が確かめる順序

  1. 時短の理由が2歳未満の子の養育かを確かめる

    職員の申出と、園が講じた所定労働時間の短縮措置の内容を、勤務表と就業規則で確かめます。

  2. 育児休業から続けて時短に入るかを確かめる

    育児休業を終えた日と時短を始めた日の間が14日以内かで、賃金証明書の要否が変わります。

  3. 受給資格(前2年の完全月12か月)を確かめる

    育児休業から続けない職員は、時短を始めた日の前2年間(疾病などで30日以上賃金が支払われない期間があれば最長4年間まで加算)の賃金支払の記録を確かめます。

  4. ハローワークに、賃金の届出と受給資格の確認を出す

    管轄のハローワークで、必要な書類をパンフレットで確かめて提出します。

  5. 2か月ごとに、賃金の支払状況をもとに支給申請を行う

    時短中の各月の賃金額を給与台帳から出し、申請の期限を台帳に残します。

よくある質問

育児・介護休業法の短時間勤務(1日6時間)でないと、対象になりませんか。

パンフレットによると、対象になる時短の1週間当たりの所定労働時間に上限・下限はなく、育児・介護休業法の短時間勤務に限りません。2歳に満たない子を養育するために1週間当たりの所定労働時間を短縮していれば、育児時短就業として扱います。ただし、短縮後が週20時間を下回る場合は、週20時間以上の労働条件への復帰が就業規則等の書面で確認できなければ、対象になりません。

パートの保育士も対象になりますか。

受給資格の①は、雇用保険の一般被保険者と高年齢被保険者です。雇用保険の被保険者であるかどうかは、勤務の条件で決まるため、個別にハローワークで確認してください。

この給付金は、公定価格の試算に関係しますか。

関係しません。この試算ツールは公定価格(施設型給付費・委託費)の算定のみを行います。短時間勤務の保育士を最低基準の人数に数えられる範囲は、勤務時間短縮の保育士と定数の通知で整理しています。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事は、雇用保険法第61条の12と、厚生労働省パンフレット(令和8年8月1日時点版)の「支給対象者」「支給額」「支給申請手続」を扱います。省令の細目、金額の改定、添付書類の様式、個別の職員への適用は照合していません。その後の改正も照合していません。

次に知りたいこと:育児期の柔軟な働き方の措置、育児休業の申出と拒絶(1歳・2歳・出生時)、所定外労働の制限(残業免除)。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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