同じ使用者との有期契約が通算5年を超えると、職員は無期転換を申し込める
労働契約法第18条第1項は、同一の使用者との2つ以上の有期労働契約の契約期間を通算して5年を超える職員が、現在の契約の期間が満了する日までに申込みをしたときは、使用者が申込みを承諾したものとみなすと定めています。
申込みが成立すると、満了する日の翌日から、期間の定めのない労働契約になります。
申込みができるのは通算5年を超えた契約の期間の中です。年度初めから切れ目なく1年契約を更新している場合は、6年目の契約が始まった時点から申込みが可能になります。
同一の使用者は法人を指すため、複数の園を運営する法人では、園が替わっても契約期間は通算されます。
| 項目 | 条文の内容 |
|---|---|
| 対象になる契約 | 同一の使用者との間で締結された2つ以上の有期労働契約 |
| 申込みができる条件 | 契約期間を通算した期間(通算契約期間)が5年を超えること |
| 申込みの期限 | 現に結んでいる有期労働契約の契約期間が満了する日まで |
| 使用者の対応 | 申込みを承諾したものとみなされる(承諾を断れない) |
| 転換後の労働条件 | 契約期間を除き、現在の有期労働契約と同一。ただし別段の定めがある部分は除く |
この記事は、労働契約法が適用される民間の保育園などの職員が対象です。同法は国家公務員と地方公務員には適用されないため(第21条第1項)、公立保育所の職員の任用は所属の自治体に確認します。高度な専門的知識を持つ職員や定年後に継続雇用される職員には、事業主が国の認定を受けた場合に使える別の法律の特例があり、この記事は取り上げません。
無期転換は、正職員になることではない
条文が無期にするのは契約期間の定めだけで、給与や勤務時間などは、別段の定めがない限り現在の契約のままです。無期転換の申込みを受けた園が、正職員の給与体系を適用する義務は、この条文にはありません。
就業規則に、無期転換した職員の労働条件を定めているかを確認します。定めがなければ、現在の契約と同一の条件になります。
通算契約期間は、契約の間に空白があると途切れることがある
同条第2項は、有期労働契約の間に、どちらの契約期間にも含まれない空白期間があり、その空白期間が6か月以上のときは、空白期間より前の契約期間を通算契約期間に算入しないと定めています。
直前に満了した契約の期間が1年未満のときは、6か月ではなく、その契約期間の2分の1を基礎として省令が定める期間になります。
毎年3月末に契約を終えて4月に結び直す園では、間の空白期間が数日なら6か月に届かず、通算は続きます。
契約の間に空白期間があっても、契約が連続すると認められる基準に当たる場合は、その期間を空白期間に数えないと条文は定めています。基準は厚生労働省令にあり、この記事は取り上げません。自園の職員の通算が途切れるかは、所轄の労働基準監督署か都道府県労働局に確認します。
契約を結ぶときは、更新の基準と無期転換の申込みを書面で示す
労働基準法第15条第1項は、使用者が労働契約の締結時に賃金や労働時間などの労働条件を明示するよう求めています。
有期労働契約では、労働基準法施行規則第5条が、更新する場合の基準と、更新の回数や通算契約期間の上限があればその上限も、明示する事項に含めています。
就業の場所と業務についても、将来の変更の範囲まで示すことが必要です。
| 場面 | 示す事項 |
|---|---|
| すべての有期契約 | 契約期間、就業の場所と従事する業務(変更の範囲を含む)、始業・終業の時刻、休憩・休日・休暇、賃金、退職(解雇の事由を含む)に関する事項 |
| 契約期間の満了後に更新する場合があるもの | 更新する場合の基準(更新回数や通算契約期間の上限があれば、その上限を含む) |
| 無期転換の申込みができる契約を結ぶとき | 無期転換の申込みに関する事項 |
| 無期転換の申込みができる契約を結ぶとき | 申込みで成立する無期の労働契約の労働条件(契約期間を除く項目のうち、規則が定める事項) |
契約期間、更新の基準、就業の場所と業務、始業・終業の時刻、休憩・休日・休暇、賃金(昇給を除く)、退職に関する事項などは、書面の交付で示すことが規則で求められています。
無期転換の申込みに関する事項も、規則が書面で示す事項に含めています。
職員が希望した場合は、ファクシミリや電子メールなど、規則が認める方法も使えます。
園の労働条件通知書の様式に、更新の基準と無期転換の欄があるかを確認します。
契約を更新しないときも、職員が更新を期待する合理的な理由があれば制限される
労働契約法第19条は、契約期間が満了する日までに職員が更新を申し込んだ場合か、満了後遅滞なく契約の締結を申し込んだ場合に、使用者がそれを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないときは、従前と同じ労働条件で申込みを承諾したものとみなすと定めています。
この制限が及ぶのは、2つの場合のどちらかに当たる有期契約です。
1つは、反復して更新されていて、更新しないことが期間の定めのない職員を解雇することと社会通念上同視できる場合です。もう1つは、職員が更新を期待することに合理的な理由がある場合です。
2つの類型のどちらに当たるかは、条文だけでは決まらない
条文は2つの類型の要件を挙げるだけです。更新の回数や勤務の実態がどちらに当たるかは、個別の事情で判断されるため、条文だけで、特定の職員の雇止めが許されるかどうかを決めることはできません。
更新しない方針の職員には、契約時に更新の基準と上限を書面で示した記録を残します。個別の判断が必要な場合は、労働基準監督署や社会保険労務士に相談します。
契約期間の上限と、期間中の解雇の制限
労働基準法第14条第1項は、期間の定めのある労働契約の期間を、原則として3年が上限としています。
高度な専門的知識を持つ職員と、満60歳以上の職員との契約は、5年が上限です。
労働契約法第17条第1項は、有期労働契約の期間中の解雇を、やむを得ない事由がある場合に限っています。
同条第2項は、使用者が必要以上に短い期間を定めて、有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮する義務を定めています。
契約期間は、その職員を使う目的に照らして決めます。
園で確認しておく順序
有期契約の職員の契約期間を一覧にする
職員ごとに、最初の契約日、更新の回数、各契約の開始日と終了日を表にします。通算契約期間が5年に近い職員が、いつ申込みを可能にするかを確認します。古い契約が通算に入るか迷うときは、労働基準監督署に確認します。
契約更新の通知書に、更新の基準と上限の欄があるかを確認する
更新する場合の基準、更新回数や通算期間の上限、就業の場所と業務の変更の範囲を書面に載せます。無期転換の申込みができる契約には、申込みに関する事項も載せます。
無期転換した職員の労働条件を就業規則で決める
条文は、契約期間以外を現在の条件と同一としています。別の定めを置くなら、就業規則や契約書に書く必要があります。
更新しない職員には、理由と経過の記録を残す
第19条の判断は個別に行われるため、更新の基準を満たさなかった事実を、記録で説明できるようにします。
次に知りたいこと:短時間勤務、年休、書類
有期契約の定めを押さえたら、短時間の職員の扱い、年次有給休暇、労働条件の書類の順に確認します。
パートなど短時間の保育士の扱いは、短時間勤務の保育士の最低基準上の扱いで整理しています。年次有給休暇の付与日数と年5日の取得義務は、保育園の職員の年次有給休暇の付与日数と年5日の取得義務で整理しています。
職員の人数で変わる安全衛生の体制は、保育園の職員数別の安全衛生体制で整理しています。休憩と時間外労働の上限は、保育士の休憩時間の与え方と時間外労働の上限で整理しています。
よくある質問
- 無期転換を申し込まれたら、園は断れますか。
通算契約期間が5年を超え、契約期間の満了日までに申し込まれた場合、断れません。労働契約法第18条第1項は、要件を満たす申込みを使用者が承諾したものとみなすと定めています。
- 無期転換した職員は、正職員の給与になりますか。
条文は、契約期間を除き現在の労働条件と同一としています。別段の定めがある部分は除かれるため、正職員の給与体系を適用するかは、園の就業規則や契約の定めによります。
- 年度ごとに契約を結び直せば、通算は0に戻りますか。
戻りません。通算契約期間が途切れるのは、契約の間に6か月以上の空白期間がある場合などです(直前の契約が1年未満のときは別の基準)。結び直しただけで通算が途切れるとは、条文から言えません。
- この記事で、自園の職員の雇止めの可否を判定できますか。
できません。この記事は、法令の定めを整理したものです。個別の職員の契約や更新の判断は、労働基準監督署や社会保険労務士に確認します。
公定価格を試算する
所在地、利用定員、年齢別の園児数を入力します。職員の契約形態は、試算結果に含まれません。
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この記事が参照した一次資料
- 労働契約法(平成19年法律第128号)第17条・第18条・第19条、労働基準法(昭和22年法律第49号)第14条、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第5条
平成19年法律第128号、昭和22年法律第49号、昭和22年厚生省令第23号/対象外対象外/確認日 2026-10-17