解説

保育所の短時間勤務職員の社会保険・雇用保険の加入要件(週20時間・4分の3基準)

保育所のパート保育士や調理員などが、健康保険・厚生年金保険・雇用保険に入る要件を、健康保険法・厚生年金保険法・雇用保険法の条文と厚生労働省の資料で整理します。週の所定労働時間、4分の3基準、令和8年10月の賃金要件の撤廃、従業員数の要件の段階的な撤廃、雇用保険の週10時間への拡大の時期を扱います。

この記事が答えること:パートの職員は、どの保険に入るのか

保育所では、午前だけ、夕方だけなど、短い時間で働く職員が多くいます。

健康保険・厚生年金保険と、雇用保険は、加入の条件が別々に定められています。

短時間の職員の加入は、通常の職員の所定労働時間の4分の3という基準と、週20時間などの条件を、順に確かめて決まります。

この記事は、条文と厚生労働省の資料の整理です。個別の職員が加入対象になるかの判断や、手続の代行はできません。判断に迷うときは、年金事務所と公共職業安定所に確認してください。

健康保険・厚生年金保険は、まず4分の3基準で分かれる

所定労働時間と所定労働日数の両方が、同じ事業所の通常の労働者の4分の3以上の職員は、通常の被保険者です。

どちらか一方でも4分の3未満の職員は、さらに追加の条件を満たしたときに、短時間労働者として被保険者になります。

条文は、健康保険法第3条第1項第9号と厚生年金保険法第12条第5号です。

4分の3未満の職員が被保険者になる条件(現行の条文)
確かめること内容根拠
週の所定労働時間20時間未満であれば、被保険者としない厚生年金保険法第12条第5号イ
学生高等学校の生徒、大学の学生などは、被保険者としない同号ロ
雇用の見込み2か月以内の期間を定めて使われ、その期間を超えることが見込まれない人は、被保険者としない同法第12条第1号ロ
賃金月額賃金の要件は、令和8年10月に撤廃された厚生労働省の社会保険適用拡大Q&A

賃金の要件は、令和8年10月に撤廃されています。

現行の条文にも、月額賃金の要件は置かれていません。

最低賃金の減額特例の許可を受けた人など、例外があります。日本年金機構の案内で確認してください。

従業員数の要件は、段階的に小さくなる

短時間労働者を加入させる義務は、事業所の規模によって決まります。

厚生労働省は、現在の従業員51人以上という要件を、令和9年10月から令和17年10月までの間に段階的に撤廃するとしています。

数える人数は、短時間労働者を含まない厚生年金保険の被保険者の数で、法人は同じ法人番号の全事業所を合計します。

従業員数の要件の段階(厚生労働省の資料)
時期対象となる従業員数
現在51人以上
令和9年(2027年)10月36人以上
令和11年(2029年)10月21人以上
令和14年(2032年)10月11人以上
令和17年(2035年)10月10人以下の事業所も対象

複数の園を運営する法人は、全園を合計して数える

従業員数は、事業所ごとではなく、同じ法人番号の全事業所の被保険者を合計します。1園では少なくても、法人全体では要件を超えることがあります。国や地方公共団体の事業所は、人数にかかわらず対象です。

法人全体の被保険者の人数を、年金事務所の資料で確認する。

雇用保険は、週20時間と31日以上の見込みで見る

雇用保険法第6条は、週の所定労働時間が20時間未満の人と、同じ事業主に31日以上雇用される見込みがない人を、適用の対象から外しています。

学校の学生や生徒も、一定の場合を除いて対象外で、第1号・第2号にも例外が置かれています。

現行は週20時間以上が条件で、週10時間以上への拡大は令和10年(2028年)10月1日に施行される予定です。

健康保険・厚生年金保険と雇用保険の違い
項目健康保険・厚生年金保険雇用保険
通常の職員との比較4分の3以上かどうかを先に確かめる4分の3の基準はない
週の所定労働時間4分の3未満のとき、20時間以上が条件20時間以上(令和10年10月から10時間以上の予定)
雇用の見込み2か月以内の契約で更新の見込みがない人は対象外31日以上の見込みがない人は対象外(例外あり)
事業所の人数の要件短時間労働者は、従業員数の要件がある(段階的に撤廃)なし

雇用保険の拡大の時期は、厚生労働省の改正法の概要に基づきます。

条文の改正後の文言は、新旧対照表で確認できます。

職員ごとに確かめる順番

職員ごとに、4つの項目を順に確かめて、確認表に書き留めます。

  1. 4分の3基準を確かめる

    同じ事業所の通常の職員の所定労働時間と所定労働日数に対して、その職員の所定労働時間と所定労働日数が4分の3以上かを見ます。

  2. 週の所定労働時間を確かめる

    雇用契約書の週の所定労働時間を、20時間と比べます。残業を含まない所定の時間です。

  3. 雇用の見込みと学生かどうかを確かめる

    契約期間と更新の見込み、学校に通っているかを確かめます。

  4. 法人全体の人数を確かめる

    短時間の職員が社会保険の対象になる規模かを、法人全体の被保険者数で確かめます。不明なら年金事務所に確認します。

よくある質問

賃金が低いパート職員は、社会保険に入らなくてよいですか。

令和8年10月に賃金の要件が撤廃されたため、賃金の低さだけでは対象から外れません。週20時間以上、4分の3未満、学生でないなどの条件と、事業所の規模を確かめます。

社会福祉法人と株式会社で、要件は違いますか。

短時間労働者の被保険者の条件は、法人の種類で変わりません。個人が経営する事業所は、強制適用の範囲が別に定められています。

法人の事業所は、従業員が1人でも社会保険の強制適用です。従業員数の要件は、同じ法人番号の事業所を合計して数えます。

この記事で、加入の対象かを判断できますか。

個別の判断はできません。契約の内容や事業所の状況によって結論が変わるため、年金事務所と公共職業安定所に確認してください。

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