解説

保育士等キャリアアップ研修とは(6分野・各15時間以上・処遇改善区分3)

保育士等キャリアアップ研修は、専門分野別研修・マネジメント研修・保育実践研修の3種類で、専門分野は6分野、研修時間は1分野15時間以上です。園内研修の短縮、修了の評価、修了証、処遇改善等加算の区分3で必要になる修了者の数え方を、厚生労働省のガイドラインと処遇改善等加算の通知で整理します。

保育士等キャリアアップ研修とは。リーダー的職員を育てる、3種類の研修

保育士等キャリアアップ研修は、保育現場のリーダー的職員を育てるための研修で、国のガイドラインが水準を定めています。

厚生労働省の通知「保育士等キャリアアップ研修の実施について」の別紙ガイドラインは、研修を専門分野別研修、マネジメント研修、保育実践研修の3種類に分けています。令和8年3月6日にも一部改正されています。

ガイドラインが定める3種類の研修と対象者(確認日 2026-10-15)
研修の種類主な対象者
専門分野別研修保育所等の保育現場で、それぞれの専門分野のリーダー的な役割を担う者(担うことが見込まれる者を含む)
マネジメント研修専門分野のリーダーとしての経験があり、主任保育士の下でミドルリーダーの役割を担う者(担うことが見込まれる者を含む)
保育実践研修保育現場での実習経験が少ない者(保育士試験合格者など)、または長期間保育現場で保育をしていない者(潜在保育士など)

処遇改善等加算の区分3で職員を数える方法は、処遇改善等加算(区分3)は人数A・Bで試算の記事で説明しています。この記事は、その前提になる研修そのものの決まりを扱います。

専門分野別研修は6分野。1分野あたり15時間以上

専門分野別研修の分野は6つで、研修時間は1分野につき15時間以上です。

6分野は、乳児保育、幼児教育、障害児保育、食育・アレルギー対応、保健衛生・安全対策、保護者支援・子育て支援です。研修の内容は、ガイドラインの別添1「分野別リーダー研修の内容」の「ねらい」欄と「内容」欄を満たしたものでなければなりません。

専門分野別研修の6分野(確認日 2026-10-15)
分野ガイドラインの表記
乳児保育乳児保育
幼児教育幼児教育(主に3歳以上児向けの保育内容)
障害児保育障害児保育
食育・アレルギー対応食育・アレルギー対応
保健衛生・安全対策保健衛生・安全対策
保護者支援・子育て支援保護者支援・子育て支援

講師は、指定保育士養成施設の教員、または研修内容に十分な知識と経験があると都道府県知事が認める者です。

実施方法は、講義のほか、演習やグループ討議を組み合わせることが望ましいとされ、eラーニングで行う場合の参考資料も示されています。

研修を行うのは都道府県と、都道府県知事が指定した研修実施機関

実施主体は、都道府県または都道府県知事が指定した研修実施機関です。

研修実施機関になれるのは、市町村(特別区を含む)、指定保育士養成施設、就学前の子どもに対する保育に関する研修の実績を有する非営利団体に限られます。

研修実施機関は、研修会場の所在地の都道府県に、実施予定日の2か月前までに申請書を出して指定を受けます。指定は指定を受けた年度のみ有効で、翌年度も実施するときは更新の届出をします。

都道府県は、委託や指定を行った研修も含めて、ホームページへの掲載などで保育所等と対象者に周知することとされています。

どの研修がガイドラインに沿った研修かは、実施する都道府県の案内で確かめます。

園内研修を使うと、1分野で最大4時間短縮される

保育所や地域型保育事業所が自分の園で行う園内研修は、都道府県が確認した場合に限り、1分野で最大4時間まで研修時間を短縮できます。

都道府県が確認する要件には、園内研修の講師がガイドラインの定める講師であること、研修の目的と内容が明確で、ガイドラインの研修分野に沿っていることなどがあります。

つまり、園内研修を使っても、必要な時間が自動的に4時間減るわけではありません。施設・事業者が申請し、都道府県が内容と時間を確認することが前提です。

園内研修を行っただけで、キャリアアップ研修の修了とは言えない

短縮されるのは1分野あたり最大4時間で、残りの時間は研修を受ける必要があります。修了の評価は、15時間以上の研修を全て受講していることの確認と、受講後のレポートで行われます。園内研修の修了者は、園内研修の修了証明で受講を確認します。

園内研修を計画するときは、先に所在地の都道府県へ、短縮が認められる内容かどうかを確認します。

修了の評価はレポートの提出。理解度で合否を決める試験ではない

修了の評価は、15時間以上の研修を全て受講したことの確認と、受講後のレポート提出で行います。

レポートには、研修で学んだことや理解したこと、自分が担う保育内容と結びつけて今後役に立つことなどを書くことが想定されています。

レポートそのものを採点して修了の可否を決めることまでは想定していません。ただし、受講態度が不適切な場合や、研修内容の理解を著しく欠いている場合は、修了の評価を行わないことができます。

  1. 研修を受講する

    専門分野別研修なら、1分野15時間以上(園内研修の短縮が認められた場合は、その分を除く)を全て受けます。

  2. レポートを提出する

    研修で学んだ内容と、自分の担う保育内容を結びつけて書きます。

  3. 修了証を受け取る

    都道府県または研修実施機関が、修了者に修了証を交付します。

修了証は他の都道府県でも有効。番号は12桁で、不正があれば取り消される

修了証は、研修が行われた都道府県以外の都道府県でも効力を持ちます。

都道府県と研修実施機関は、修了者に様式第1号の修了証を交付します。虚偽や不正の事実に基づいて修了証の交付を受けた場合は、修了を取り消すことができます。

修了証番号は、都道府県番号2桁、修了証の発行年2桁(西暦の下2桁)、研修指定番号3桁、番号5桁の12桁です。

研修を実施した側は、修了者名簿に、修了した研修分野、修了証番号、修了年月日などを記録して管理します。氏名の変更や紛失の申し出があったときは、修了証が再交付されます。

修了者の情報は、他の都道府県や市町村へ提供されることがあります。ガイドラインは、提供について受講の申し込み時に本人から同意を得ることとしています。

処遇改善区分3では、4月1日時点の研修修了者が1人以上必要

処遇改善等加算の区分3は、研修修了者が少なくとも合計1人以上いることが要件の一つです。

研修修了者は、副主任保育士等のうち概ね7年以上の経験年数があり別に定める研修を修了している職員、職務分野別リーダー等のうち概ね3年以上の経験年数があり6分野(乳児保育、幼児教育、障害児保育、食育・アレルギー、保健衛生・安全対策、保護者支援・子育て支援)のいずれかを担当して別に定める研修を修了している職員、または園長や主任保育士などで副主任保育士を対象とした別に定める研修を修了している職員です。

この要件は、加算当年度の4月1日時点の研修修了者の人数で判断します。年度内に研修を修了する予定の「研修修了見込みの者」は、この1人以上の数に含みません。

4月1日時点で研修修了者がいない施設でも、年度の途中で1人以上を確保できたときは、要件を満たした日の属する月の翌月から加算を適用できます。

区分3の「研修修了者」と「賃金改善の対象」の違い(確認日 2026-10-15)
見るもの研修修了見込みの者
研修修了者が1人以上いる要件含まない
区分3-①②で賃金改善を行う職員含む

賃金改善の対象になる職員と、要件の研修修了者の数を同じ基準で数えない

通知は、区分3-①(副主任保育士等)と区分3-②(職務分野別リーダー等)の賃金改善の対象には、研修修了見込みの者を含むと定めています。一方、研修修了者が1人以上いるかの判断には、研修修了見込みの者を含みません。

4月1日時点で、修了証のある職員が1人以上いるかを先に確かめ、そのうえで賃金改善の対象を決めます。

家庭的保育事業と居宅訪問型保育事業は、副主任保育士等と職務分野別リーダー等の経験年数が「概ね」ではなく、それぞれ7年以上、3年以上と読み替えられます。職位の発令や職務命令も要りません。

よくある質問

迷いやすいのは、分野の数、他の都道府県の修了証、修了見込みの者の扱いの3点です。

専門分野別研修は、6分野を全て受ける必要がありますか。

ガイドラインは、研修時間を1分野15時間以上と定めており、6分野全てを受けることまでは、この通知からは読み取れません。区分3で必要な分野や数は、処遇改善等加算の通知が「別に定める研修」として示す内容と、所轄の自治体の案内で確認します。

他の都道府県で受けた研修の修了証は、使えますか。

使えます。ガイドラインは、修了証は研修が行われた会場の所在地の都道府県以外の都道府県でも効力を持つと定めています。

研修の修了見込みの職員は、区分3の研修修了者に数えられますか。

研修修了者が1人以上いる要件には数えません。4月1日時点の研修修了者の人数で判断します。賃金改善の対象としては、区分3-①②で修了見込みの者を含みます。

この試算で、研修の修了や区分3の認定を判定できますか。

判定できません。この試算は、確認済みの人数A・Bを入力して区分3の内訳を出すモデル計算です。研修の修了や認定の可否は、所轄の市町村などへ確認してください。

関連する記事

次に確認するなら、区分3の職位の発令と、人数A・Bの数え方です。

職位の発令の扱いは処遇改善区分3(処遇改善等加算の質の向上分)の対象職位と発令の扱い、賃金改善の対象になる職員の範囲は処遇改善等加算の賃金改善は誰が対象か(区分ごとの範囲と非常勤・派遣・独自加配)、配分の考え方は処遇改善等加算の賃金改善の配分方法(基本給・手当・賞与・一時金、毎月払いの基準、国の給与改定時の追加支払)にまとめています。

対象職員・配分・実績報告の違いを、区分ごとに並べています。

処遇改善等加算の区分1・2・3の比較を開く

認可保育所の公定価格を試算する

確認済みの人数A・Bを入力して、区分3の内訳を確認します。研修の修了や認定の可否は、試算結果に含まれません。

処遇改善区分3の試算を開く

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

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    この記事の「つまずきやすい確認事項」2件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

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