解説

保育士数の「おおむね」と端数の扱い(基準第33条第2項)

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第33条第2項は、年齢ごとに「おおむね◯人につき一人以上」と定め、最低でも2人を置くとしています。条文の言葉と、端数の決まりが条文にあるかどうかを原文で確かめます。

第33条第2項は年齢ごとに「おおむね」の比率を置いている

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号。以下「最低基準」)第33条第2項は、保育所の保育士の数を年齢区分ごとに定めています。

どの区分にも「おおむね」が付き、「◯人につき一人以上」と続きます。e-Gov法令検索の現行の条文では、比率は次のとおりです。

第33条第2項の保育士の数(条文の文言)
年齢区分条文の定め
乳児おおむね3人につき1人以上
満1歳以上満3歳に満たない幼児おおむね6人につき1人以上
満3歳以上満4歳に満たない幼児おおむね15人につき1人以上
満4歳以上の幼児おおむね25人につき1人以上

3歳児と4歳以上児の比率は令和6年度の改正後の条文です。改正前の比率を当分の間使える扱いは、『基本分単価の保育士数は年齢区分ごとの比率で決まる』の注記で触れています。この記事は条文の言葉の読み方だけを扱います。

条文に書かれているのは比率と下限の2人まで

同じ項のただし書は、保育所一つにつき2人を下ることはできない(条文は「保育所一につき二人を下ることはできない」)と定めています。在籍する子どもが少なく、比率で計算した人数が2人に届かない場合でも、置く保育士は2人以上です。

第33条第3項は、保育士の数の算定に当たり、一定の経験や資格を持つ特定理学療法士等を、一人に限り保育士とみなせるとしています。みなしても、保育を行う場面では保育所の保育士による支援を受けられる体制の確保が条件です。

「端数」という言葉は、最低基準のどの条文にもない

在籍数が比率で割り切れないとき、切り上げるのか、四捨五入するのかが気になります。

最低基準の本則121条のうち、「端数」の語を含む条は0件でした(e-Gov法令検索で2026年11月4日に検索)。第33条第2項にも、端数の処理を定める文はありません。

「おおむね」を端数の切り捨ての根拠と読まない

条文は「おおむね」と書くだけで、0.5人未満は数えないといった処理を示していません。ここから端数の処理を断定することはできません。

最低基準上の人数の数え方は、施設の所在地の都道府県・指定都市・中核市の担当課に確認する。

確かめられたのは、条文に端数の決まりが書かれていないことまでです。自治体ごとの運用や、条例での扱いは、この記事では確認していないため書きません。

端数の決まりがあるのは公定価格の算定のほう

端数の処理が明文で出てくるのは、最低基準ではなく、公定価格の留意事項通知です。保育所の基本分単価の必要保育士数について、年齢区分ごとの人数に比率を掛け、小数点第1位まで計算して第2位以下を切り捨て、合計の小数点以下を四捨五入する算式が示されています(令和8年度の通知)。

「端数」の置き場所の違い
最低基準 第33条第2項公定価格の留意事項通知(基本分単価)
比率の書き方おおむね◯人につき1人以上◯人につき1人(3歳児20人・4歳以上児30人など)
端数の処理条文に定めなし区分ごとに第2位以下を切り捨て、合計を四捨五入
何のための数か置かなければならない保育士の数基本分単価に含まれる職員構成の人数

通知の算式で出る人数は、基本分単価の前提となる人数で、最低基準上の保育士の数とは別の物差しです。通知の算式の計算例は『基本分単価の保育士数は年齢区分ごとの比率で決まる』にあります。

割り切れない数の見方(計算の例)

条文の比率をそのまま割り算すると、次の例のように小数が出ます。これは条文の比率で割っただけの算数で、最低基準上の人数を確定する計算ではありません。

条文の比率で割った値(例:計114人)
年齢区分人数割り算結果
乳児5人5÷31.66…
1、2歳児29人29÷64.83…
3歳児21人21÷151.4
4歳以上児59人59÷252.36
合計114人10.26…

合計は10人に近い値ですが、条文は「おおむね」と書くのみで、小数をどう人数にするかは示していません。人数を決める前に、所轄の担当課の扱いを確かめてください。

この記事で扱わないこと

自園の保育士の数が最低基準を満たすかどうかの判定は行いません。基準を下回ったときの行政上の扱いは、『保育士が配置基準を割り込んだときの行政上の扱い(改善勧告・命令・事業停止)』で説明しています。短時間勤務の保育士を数に入れられる範囲は、『短時間勤務の保育士は、最低基準の保育士定数にどこまで充てられるか』をご覧ください。

よくある質問

「おおむね」とあるので、比率より少し少なくても基準を満たしますか。

条文は比率を「おおむね」と書いていますが、どの程度のずれまで認められるかは条文に書かれていません。少ない人数でよいと読める根拠は確認できないため、少なくする前に所轄の担当課へ確認してください。

在籍する子どもが10人でも、保育士は2人必要ですか。

第33条第2項のただし書が「保育所一につき二人を下ることはできない」と定めているため、2人以上です。

公定価格の通知にある四捨五入は、最低基準の保育士数にも使えますか。

通知の算式は公定価格の基本分単価の職員構成を確認するためのものです。最低基準の条文には端数の定めがなく、通知の算式をそのまま最低基準に当てはめるとは書かれていません。

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