分園の設備基準は本園と同じ。違うのは調理室と医務室を設けなくてよい点
保育所の分園は、構造と設備について、中心保育所と分園のどちらも児童福祉施設の基準を満たすことが原則です。違いは1点だけです。調理室と医務室は、中心保育所にあれば分園に設けないことができます。
乳児室・ほふく室・保育室などの面積の基準を、分園だけ緩める記載は、国の通知にありません。
この記事の出どころは、厚生省児童家庭局長通知「保育所分園の設置運営について」(平成10年4月9日児発第302号)の別紙「保育所分園設置運営要綱」です。
分園の語は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(省令)の条文には出てきません。
そのため、省令の第32条の基準を土台に、分園についての通知の取扱いを足して読みます。
通知を掲載している厚生労働省の通知データベースでは、基準の名称が旧称の「児童福祉施設最低基準」のままです。この記事では、現在の名称の「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」に読み替えて説明しています。
国の通知でいう分園:中心保育所を経営する主体が設ける
通知は、分園を、認可保育所の設置が困難な地域での保育の実施を目的に、保育所に設ける分園と位置づけています。
設置・経営する主体は、本体となる保育所(中心保育所)を設置経営する地方公共団体や社会福祉法人等で、保育所を現に経営していない主体が分園を設置することは認められないとされています。
| 項目 | 通知の書き方 |
|---|---|
| 規模 | 一分園の規模は原則として30人未満。中心保育所の規模や距離などから一体的な運営ができれば30人以上とすることもできる |
| 管理・運営 | 中心保育所の所長のもとで、中心保育所と一体的に運営する |
| 中心保育所との距離 | 通常の交通手段で30分以内の距離を目安とする |
30人未満と30分以内は、通知では原則・目安
規模は「原則として」、距離は「目安」と書かれています。自治体がこれを要件として運用する場合もあるため、条例や手引きの書き方は別に確かめる必要があります。
分園の設置を検討する段階で、所轄の自治体に、規模と距離の取扱いを問い合わせる。
本園と分園の設備の比較:面積は同じ、調理室と医務室は条件つき
通知の「構造及び設備」は、中心保育所と分園のいずれもが基準を満たしていることとしたうえで、調理室と医務室については、中心保育所にあることから設けないことができるとしています。
基準の第32条が定める設備は次のとおりで、分園でも、この表の面積は同じに読みます。
| 設備 | 第32条の基準 | 分園での取扱い |
|---|---|---|
| 乳児室 | 乳児または満2歳に満たない幼児1人につき1.65平方メートル以上 | 本園と同じ |
| ほふく室 | 乳児または満2歳に満たない幼児1人につき3.3平方メートル以上 | 本園と同じ |
| 保育室または遊戯室 | 満2歳以上の幼児1人につき1.98平方メートル以上 | 本園と同じ |
| 屋外遊戯場 | 満2歳以上の幼児1人につき3.3平方メートル以上(付近の屋外遊戯場に代わるべき場所を含む) | 本園と同じ |
| 調理室 | 乳児・2歳未満の幼児を入所させる場合も、2歳以上の幼児を入所させる場合も設ける | 中心保育所にあることを理由に、設けないことができる |
| 医務室 | 乳児または満2歳に満たない幼児を入所させる場合に設ける | 中心保育所にあることを理由に、設けないことができる |
調理室と医務室を設けない扱いにする場合、通知は留意事項を付けています。
中心保育所の調理室の能力を十分に考えて、衛生上と防火上の不備が生じないようにすることと、分園で医薬品を備えることです。
分園が夜間保育を行う場合は、仮眠のための設備など、夜間保育に必要な設備と備品を備えることも求めています。
職員と費用は別の資料で確かめる
通知は職員についても、中心保育所と分園のどちらにも第33条の職員を配置するとしています。
嘱託医と調理員は中心保育所にいることから分園には置かないことができ、分園でも入所児童の安全のため常時2名以上の保育士を置くこととされています。
公定価格で分園の職員がどう扱われるかは、分園で充足する職員の範囲(嘱託医と調理員の扱い)で整理しています。
分園の定員区分と基本分単価の調整は、公定価格の側の資料で決まります。
この記事で見た通知の費用に関する記載は、従来の制度のものなので、公定価格の算定には使いません。
自治体の条例・手引きで確かめること
条例の面積基準
保育所の設備は、各自治体の条例でも定められています。国の省令と数字が同じとは限らないため、分園にも適用される条例の基準を、所轄の自治体の条例で確かめます。
調理室を設けないときの条件
通知は、調理室の能力や衛生・防火の留意事項を示しているだけです。搬入の方法や設備の要件は、自治体が手引きで具体的に定めている場合があります。
規模と距離の取扱い
30人未満と30分以内を、自治体が要件として運用していないかを確かめます。
自治体の手引きの例として、大阪市の認可保育所の分園の設置要件があります。
全国共通の部分はこの記事の通知、個別の要件は自治体の条例と手引きという順で読み分けます。
この記事・試算で扱わないこと
この記事は、国の通知が示す分園の設備の枠組みを説明するもので、個別の物件が基準に適合するかどうかの判定や、認可の可否の判断は行いません。
通知の掲載版が現行の最終版と同じかどうかは、この記事では照合していません。分園の設置は、事前に所轄の自治体へ相談してください。
よくある質問
- 分園は、本園より保育室の面積が小さくてもよいですか。
国の通知には、分園だけ面積を緩める記載はありません。通知は、中心保育所と分園のどちらも基準を満たすこととしています。自治体の条例の基準は、別に確かめます。
- 分園に調理室は必ず必要ですか。
通知は、調理室を中心保育所にあることから設けないことができるとしています。ただし、中心保育所の調理室の能力を考えて、衛生上と防火上の不備が生じないようにする留意事項があります。
- 分園には嘱託医や調理員を置く必要がありますか。
通知は、嘱託医と調理員は中心保育所に配置されていることから、分園には置かないことができるとしています。分園では、常時2名以上の保育士を置くこととされています。
- この試算ツールで、分園の設備基準を判定できますか。
できません。この試算は公定価格(委託費)の算定に特化しており、設備基準の適合判定は試算の対象外です。
自園の条件で試算する
次に知りたいこと:保育所の面積基準と定員の関係、保育所に必要な部屋と被服室の扱い、分園がある保育所の定員区分の確認。
ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧
この記事が参照した一次資料
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準
昭和23年厚生省令第63号/複数年度対象外/確認日 2026-09-28