解説

保育所の3歳未満児の健康診断は学校と同じ項目・方法か(令和7年9月16日の通知)

保育所の健康診断は学校保健安全法の健康診断に「準じて」行うものです。令和7年9月16日のこども家庭庁等の通知は、3歳未満児について尿検査やランドルト環による視力検査などを求めなくてよいとし、乳幼児健康診査の結果で健康診断の全部または一部を行わないこともできるとしています。通知の原文に沿って、対象施設の違いと同意の要件まで整理します。

3歳未満児の検査は、学校と同じ項目・方法でなくてよい

保育所等の健康診断は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第12条等を参酌して都道府県等が定める条例に基づいて行います。

保育所等の健康診断は学校保健安全法の健康診断に「準じて」行うもので、通知はこの「準じて」を、異なる検査項目や方法で行うことを妨げないという意味で読んでいます。

令和7年9月16日の通知(こども家庭庁と文部科学省の課長連名)が、その考え方を3歳未満児について具体的に示しました。

この通知は、地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的助言と書かれています。自園の実際の取扱いは、所在地の都道府県・市区町村の条例と、嘱託医の考えによって決まります。園での運用は、所轄の市区町村の保育主管課に確認してください。

通知が挙げている3歳未満児の例(尿・視力・聴力)

通知は、嘱託医等と相談・連携しつつ、子どもの発達段階や施設の性格に応じて検討することを前提に、3つの例を挙げています。

3歳未満児では、尿の検査は求めないこととして差し支えなく、視力と聴力は学校と同様の方法で行うことは求めないこととして差し支えないとされています。

通知が挙げている3歳未満児の例
検査項目通知の内容通知が挙げる理由・補足
尿3歳未満児の健康診断の検査の項目として実施することは求めないこととして差し支えない採尿自体が困難で、保育所等で実施できる検査方法では期待される病態の発見に対する妥当性が認められないと考えられる
視力ランドルト環による視力検査など、学校と同様の方法で行うことは求めないこととして差し支えない斜視や弱視等の早期発見・早期対応の観点を踏まえ、自治体や嘱託医、子どもの状況に応じた方法で行うことが期待される
聴力オージオメータによる聴力検査など、学校と同様の方法で行うことは求めないこととして差し支えない難聴等の早期発見・早期対応の観点を踏まえ、自治体や嘱託医、子どもの状況に応じた方法で行うことが期待される

通知は、視力と聴力を「やらなくてよい」とは書いていません。学校と同じ方法を求めないとしたうえで、早期発見の観点を踏まえた方法で行うことを期待しています。方法の具体例として、通知は別添の「保育所等における低年齢児の健康診断に関する取組事例集」を適宜参考にするよう案内しています。

乳幼児健康診査の結果で、健康診断の全部または一部を行わないことができる

通知の3は、改正府令を踏まえた取扱いを示しています。第12条第2項で健康診断に代えられる健診の一覧は保育所の健康診断(入所時・年2回以上の定期・臨時)と嘱託医の条件で整理しています。

母子保健法第12条または第13条に規定する健康診査の内容が、保育所等の健康診断の全部または一部に相当すると認められ、保育所等の長等がその結果を把握するときは、その健康診断の全部または一部を行わないことができます。

通知は、改正府令によりこの取扱いを定めた基準として、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準、指定通所支援の基準、指定障害児入所施設等の基準、家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準の4つを挙げています。

健康診査の結果を使うには、保護者の同意が必要

通知は、その際に、健康診査の内容に係る情報提供について保護者の同意を得ることが必要であることにも留意するよう書いています。

健康診断を省く場合は、保護者から情報提供の同意を得る。どの検査項目が健康診査の内容で代わりになるかは、嘱託医等と相談して確かめる。

幼保連携型認定こども園の満3歳未満児は、通知の2が別に定めている

通知の1は保育所等を対象とし、幼保連携型認定こども園は含まれないと書いています。

幼保連携型認定こども園の満3歳未満の園児については、通知の2が別に定めています。

これまで検査の「方法及び技術的基準」は「準ずる」ものとされていた一方、検査の「項目」は学校保健安全法施行規則第6条第1項各号の項目を行うこととされていました。

改正府省令により、満3歳未満の園児の検査の「項目」も、発達段階等を踏まえて各園が判断できるよう、同項各号に規定する項目に「準ずる」ものとされました。

「準ずる」際の考え方は、保育所等と同じに扱うとされています。

母子保健法の健康診査の内容を使う取扱いについても、幼保連携型認定こども園は同様の取扱いとして差し支えないとされています。

よくある質問

3歳未満児の視力や聴力の検査は、まったく行わなくてよいのですか。

通知は、学校と同様の方法で行うことは求めないとしています。一方で、斜視や弱視、難聴等の早期発見・早期対応の観点を踏まえ、自治体や嘱託医、子どもの状況に応じた方法で行うことが期待されると書いています。検査そのものを省いてよいとは書かれていません。

乳幼児健康診査を受けていれば、園の健康診断は必ず省けますか。

通知は、健康診査の内容が園の健康診断の全部または一部に相当すると認められ、園の長等が結果を把握する場合に、全部または一部を行わないことができるとしています。保護者の同意も必要です。相当すると認められるかは、嘱託医等と相談して確かめてください。

この取扱いは、公定価格の試算に関係しますか。

通知は公定価格には触れていません。この試算ツールは公定価格(委託費)の算定のみを行い、健康診断の実施方法は試算に含めていません。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事は、令和7年9月16日の通知の本文に書かれた範囲だけを扱います。通知のその後の改正の有無は確認していません。園ごとの取扱いは、所轄の市区町村と嘱託医に確認してください。

次に知りたいこと:保育所の健康診断(入所時・年2回以上の定期・臨時)と嘱託医の条件、保育所の感染症の意見書と登園届は全員に必要か、保育所の衛生管理と感染症・食中毒予防の研修・訓練(第10条)

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

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    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

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