解説

保育所の備付帳簿の例:板橋区の令和8年度指導検査の様式(運営管理・保育内容・会計経理)

保育所が整備する「帳簿」について、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第14条の条文と、東京都板橋区の令和8年度の指導検査で求められる私立保育所の備付帳簿(運営管理・保育内容・会計経理の3区分)を整理します。

第14条は帳簿の種類ではなく、4つの事項を明らかにすることを求める

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第14条は、「児童福祉施設に備える帳簿」という見出しの1文だけの条文です。

児童福祉施設には、職員、財産、収支及び入所している者の処遇の状況を明らかにする帳簿を整備しておかなければならない、と書かれています。

保育所は児童福祉施設の1つなので、この条文の対象です。保存期間など条文の読み方は別の記事で整理しているので、この記事は自治体の様式の実例に絞ります。

条文は帳簿の名前を並べていません。職員・財産・収支・入所している者の処遇の4つの事項が帳簿で分かる状態にしておく、という書き方です。

第14条の4つの事項と、板橋区の備付帳簿の3区分の対応(筆者の整理)
条文の事項板橋区の備付帳簿で近い区分帳簿名の例
職員運営管理職員履歴書、資格証明書、労働者名簿、勤務割表、出勤簿、給与(賃金)台帳
財産・収支会計経理仕訳日記帳、総勘定元帳、現金出納帳、財産目録、計算書類
入所している者の処遇の状況保育内容児童名簿、児童票、保育日誌、児童出欠簿、事故簿・ヒヤリハット

この対応表は、条文の4つの事項と区の様式の区分を並べて読みやすくした整理です。区が条文のどの事項をどの帳簿に当てているかを、区が明示しているわけではありません。

板橋区の例:令和8年度の私立保育所の備付帳簿

東京都板橋区は、保育施設の指導検査の準備資料として、認可保育所向けの「備付帳簿」の一覧をPDFで掲載しています。

私立保育所向けの令和8年度版は、帳簿を運営管理・保育内容・会計経理の3区分に分けています。

運営管理は番号1〜28、保育内容は番号1〜36の帳簿名が並び、会計経理には経理規程から計算書類、財産目録、附属明細書などが並んでいます。

各帳簿には対象の期間(8年度、7・8年度、現行、直近など)が添えられ、事前提出の書類には【事前提出】と付いています。

板橋区の私立保育所向け備付帳簿(令和8年度)の主な帳簿名
区分帳簿名の例(一覧にある名称)
運営管理事業計画書、事業報告書、管理規程(保育所運営規程等)、業務分担表、職員会議録、就業規則、職員履歴書、資格証明書、労働者名簿、勤務割表、出勤簿、年次有給休暇整理簿、給与(賃金)台帳、労働条件通知書、職員健康診断記録、研修関係書類、業務日誌、消防署関係書類、避難・消火訓練記録、苦情の記録、安全計画、業務継続計画
保育内容児童名簿、入所関係書類、全体的な計画、長期的指導計画、短期的指導計画、保育所児童保育要録、児童出欠簿、保育日誌、児童票、食事献立表、給食日誌、検食簿、調理・調乳担当者の検便検査結果票、児童の定期健康診断記録、生活管理指導表、保健計画、事故簿・ヒヤリハット、午睡チェック表
会計経理経理規程、仕訳伝票、仕訳日記帳、総勘定元帳、現金出納帳、利用料徴収簿、固定資産管理台帳、月次報告書、証憑書類、委託費・補助金請求書、予算書、預金通帳、計算書類、財産目録、附属明細書

一覧の注記には、社会福祉法人以外の設置者は、社会福祉法人の計算書類にあたる項目の代わりに、園の決算書類(保育所拠点にかかる資金収支計算書または損益計算書など)を出す、という書き方もあります。

設置者の種類によって、会計経理の帳簿の組み合わせが変わる点は、自園の設置者に当てはめて確認します。

自園の帳簿の範囲を決める手順

帳簿の範囲は、第14条の4つの事項を軸に、所轄の自治体の様式を手がかりに決めます。

条文だけでは帳簿の名前が決まらないため、次の4段階で点検します。

  1. 所轄の自治体の様式を探す

    指導検査を行うのは自治体です。板橋区のように、備付帳簿の一覧や施設調査書の様式を自治体のページで公開している場合があります。自園の所在地の自治体のページを確認します。

  2. 第14条の4つの事項で抜けを点検する

    職員・財産・収支・入所している者の処遇の状況のそれぞれについて、どの帳簿でその事項が分かるかを書き出します。分からない事項があれば、そこが整備の抜けです。

  3. 対象の期間と事前提出の有無を確かめる

    板橋区の一覧のように、帳簿ごとに「8年度」「7・8年度」「現行」「直近」と期間が分かれ、事前提出の帳簿もあります。当日に出せる状態にする帳簿と、先に出す帳簿を分けて管理します。

  4. 帳簿の項目を保育士の配置や加算の確認と結ぶ

    勤務割表や出勤簿、資格証明書は、職員配置や加算の要件を確認するときにも使う帳簿です。公定価格の加算を申請する園は、要件を裏づける書類が同じ帳簿から出せるかも確かめます。

板橋区の一覧を、全国共通の必須帳簿一覧と読まない

この記事の帳簿名は、板橋区の令和8年度の指導検査で使われる様式の例です。他の自治体の様式は、項目も名称も異なる場合があります。また、第14条の条文は帳簿の名前を定めていません。

自園の所在地の自治体の指導検査の資料と、その自治体の条例(児童福祉施設の基準を定めたもの)で、求められる帳簿を確認します。

よくある質問

第14条が求める帳簿は、会計の帳簿だけですか。

会計の帳簿だけではありません。条文は、職員、財産、収支、入所している者の処遇の状況の4つを明らかにする帳簿としています。会計の帳簿は財産・収支にあたり、職員や入所している者の処遇の状況を示す帳簿も対象に含まれます。

板橋区の一覧にある帳簿をすべて作らないと、第14条に反しますか。

この記事では判断できません。区の一覧は指導検査で用意する書類の様式であり、条文は帳簿の名称や数を定めていません。自園に必要な帳簿は、所轄の自治体に確認してください。

帳簿は電子データで保管してもよいですか。

この記事で確認した条文と板橋区の一覧には、保管の形式の定めは出ていません。紙か電子かの扱いは、所轄の自治体に確認してください。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事は、設備運営基準第14条の条文と、板橋区の令和8年度の私立保育所向け備付帳簿の一覧に書かれた範囲だけを扱っています。ほかの自治体の様式と条例は確認していません。

次に知りたいこと:保育所に備える帳簿(第14条)と、運営基準の記録の整備・5年保存との違い、保育所の業務の質の評価(自己評価の義務と外部評価・結果の公表の努力義務)、保育所の非常災害対策と毎月の避難訓練

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

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