第14条が整備を求める帳簿は、職員・財産・収支・処遇の状況の4種類
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第14条は、児童福祉施設に、職員、財産、収支及び入所している者の処遇の状況を明らかにする帳簿を整備しておくことを求めています。
保育所は児童福祉施設の1つなので、この条の対象になると読めます。
条文は1文だけで、帳簿の名前や様式、保存期間は書かれていません。
| 明らかにする対象 | 条文の書き方 | 条文が定めていないこと |
|---|---|---|
| 職員 | 職員を明らかにする帳簿 | 帳簿の様式、記載する項目 |
| 財産 | 財産を明らかにする帳簿 | 財産の範囲、評価の方法 |
| 収支 | 収支を明らかにする帳簿 | 会計の方式、帳簿の名称 |
| 入所している者の処遇の状況 | 処遇の状況を明らかにする帳簿 | 記録の頻度、保存期間 |
条文は「帳簿を整備する」ことだけを定め、様式と保存期間は書いていない
第14条は、4つの対象を明らかにする帳簿が整備されていることを求める条で、帳簿の様式や保存期間を決める条ではありません。
何を記載すれば「明らかにする」ことになるかは、条文の文言だけでは決まりません。
保存期間も、この条には書かれていません。
第14条に保存期間の定めがないことを、保存しなくてよい意味に読まない
第14条に期間が書かれていないだけで、ほかの規定や自治体の指導が保存期間を定めている場合があります。この条だけを読んで、廃棄の時期を決めることはできません。
帳簿ごとに、保存期間を定めている規定(次の節の運営基準の第34条、会計や労務に関する別の法令、自治体の指導)がないかを一覧にして確かめます。
運営基準の第34条は、諸記録の整備と、5種類の記録の5年保存を求める
施設型給付を受ける特定教育・保育施設には、特定教育・保育施設の運営基準の第34条が、第14条とは別に記録の整備を求めています。
第1項は、職員、設備及び会計に関する諸記録の整備を求めています。
第2項は、教育・保育給付認定子どもに対する特定教育・保育の提供に関する5種類の記録を、整備したうえで、その完結の日から5年間保存することを求めています。
| 号 | 記録の内容 |
|---|---|
| 第1号 | 第15条第1項各号に定めるものに基づく特定教育・保育の提供に当たっての計画 |
| 第2号 | 第12条の規定による特定教育・保育の提供の記録 |
| 第3号 | 第19条の規定による市町村への通知に係る記録 |
| 第4号 | 第30条第2項に規定する苦情の内容等の記録 |
| 第5号 | 第32条第3項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録 |
「完結の日から5年間」という期間は、第34条第2項の5種類の記録にかかるもので、第14条の4種類の帳簿すべてに当てはまると読むことはできません。
職員や財産、収支の帳簿の保存期間は、第34条第2項の列挙には入っていません。
2つの条は対象も根拠も違う。重ねて読むが、同じものとは扱わない
| 見るところ | 設備運営基準 第14条 | 運営基準 第34条 |
|---|---|---|
| 対象の施設 | 児童福祉施設(保育所を含む) | 特定教育・保育施設(施設型給付を受ける施設) |
| 整備を求める記録 | 職員、財産、収支、入所している者の処遇の状況を明らかにする帳簿 | 第1項:職員、設備、会計の諸記録。第2項:特定教育・保育の提供に関する5種類の記録 |
| 保存期間 | 条文に定めなし | 第2項の記録は完結の日から5年間 |
第14条の「収支」と第34条第1項の「会計」、第14条の「職員」と第34条第1項の「職員」は、近い言葉ですが、どこまでが同じ記録を指すかは条文からは分かりません。
1つの帳簿が両方の条を満たすかどうかは、条例と所管の自治体の案内で確かめる事項です。
実際に適用されるのは条例。第14条は参酌すべき基準にあたると読める
設備運営基準の第1条は、条例を定めるときに従うべき基準を第1号から第3号で列挙し、それ以外を第4号の参酌すべき基準としています。
第1条の第1号から第3号の列挙には、第14条が出てきません(第3号には第14条の2が挙がっています)。
そのため、第14条は第4号の参酌すべき基準にあたると読めます。
参酌すべき基準は、自治体が地域の事情を踏まえて条例の内容を定める余地のある部分です。
帳簿についての条例の書き方は、国の省令と同じとは限りません。
施設の所在地の条例と、所管の自治体の案内で確認する必要があります。
自園の記録の一覧を作る順序
一覧は、どの条が根拠かを分けて、記録ごとに作ると、整備の抜けと保存期間の取り違えが減ります。
第14条の4種類に、自園の帳簿を当てはめる
職員、財産、収支、処遇の状況のそれぞれを、自園のどの帳簿や台帳で明らかにしているかを書き出します。当てはまる帳簿がない対象があれば、条例の文言を確かめます。
運営基準 第34条第2項の5種類を別の列に書く
提供の計画、提供の記録、市町村への通知の記録、苦情の内容等の記録、事故の状況と処置の記録を、5年間保存する記録として分けます。
完結の日の決め方を記録ごとに決める
5年の起算日となる「完結の日」の考え方は、条文だけでは決まりません。所管の市町村の案内で確かめて、記録ごとに書いておきます。
条例と所管の案内で照らす
国の省令と条例の文言を並べ、帳簿や保存期間について自治体が追加で示している内容がないかを確かめます。
苦情の記録と保存は『保育所の苦情対応』、指導監査で確認される書類は『指導監査の確認事項の表』で整理しています。
児童に関する記録のうち保育要録の扱いは、保育所児童保育要録の作成・送付・保存で別に確認できます。
よくある質問
- 保育所に備える帳簿の種類は、決まっていますか。
第14条は、職員、財産、収支及び入所している者の処遇の状況を明らかにする帳簿を整備することを求めています。帳簿の名称や様式は条文に書かれていないため、所在地の条例と所管の案内で確認してください。
- 帳簿は何年間保存しますか。
第14条には保存期間の定めがありません。運営基準の第34条第2項は、提供の計画・提供の記録・市町村への通知の記録・苦情の内容等の記録・事故の記録を、完結の日から5年間保存することを求めています。それ以外の帳簿は、別の規定や自治体の指導で確認してください。
- 第14条と運営基準の第34条は、同じことを定めていますか。
同じではありません。第14条は児童福祉施設の帳簿の整備を、第34条は特定教育・保育施設の記録の整備と5年保存を定めています。重なる部分がどこまでかは、条文からは分かりません。
- この記事で、自園の帳簿が基準に適合しているか分かりますか。
分かりません。この記事は条文の構造の説明で、適合の判定や指導監査の結果の見込みを示すものではありません。所管の自治体に確認してください。
確認したうえで、公定価格を試算する
確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。帳簿の整備や記録の保存は、試算結果に含まれません。
利用定員を入れて公定価格を試算するほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧
この記事が参照した一次資料
- 特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の運営に関する基準
平成26年内閣府令第39号(最終改正: 令和8年内閣府令第29号、令和8年4月1日施行)/複数年度対象外/確認日 2026-08-20
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準
昭和23年厚生省令第63号/複数年度対象外/確認日 2026-09-28