保育室の窓は、建築基準法の採光と換気の基準を満たす必要がある
保育所の保育室には、児童福祉施設の面積基準とは別に、建築基準法が窓の大きさの下限を定めています。
建築基準法第28条は、居室に採光のための窓を設けることを求めています。保育所の保育室は、施行令第19条第2項第1号で、この規定の対象になる居室に挙げられています。
面積基準が「子ども1人あたり何平方メートルか」を決めるのに対し、この基準は「その部屋の床面積に対して窓がどれだけ要るか」を決めます。保育室を新設する、賃貸物件を保育所に変える、間仕切りを動かして保育室の広さを変えるといった場面で、確かめる項目です。
ここでの整理は条文の案内で、自園の図面が基準に合うかの判定ではありません
窓の有効面積は、用途地域・隣の建物との距離・窓の位置で変わります。個別の適合は設計者が計算し、建築主事または指定確認検査機関(建築確認を行う機関)が確認します。
採光は、保育室の床面積の5分の1以上の有効な窓が必要
採光に有効な窓の面積は、保育室の床面積の5分の1以上にします。
建築基準法第28条第1項は、採光に有効な部分の面積を「床面積に対して5分の1から10分の1までの間で、居室の種類に応じて政令で定める割合以上」と定めています。
その割合は施行令第19条第3項の表にあり、保育所の保育室は、幼稚園・小学校などの教室と同じ5分の1の区分に入っています。住宅の居住のための居室は7分の1、同じ表に10分の1の区分もあるため、保育室は住宅より厳しい割合です。
表のただし書きには緩和があります。国土交通大臣が定める基準に従って照明設備の設置や有効な採光方法の確保などの措置を講じた居室は、5分の1から10分の1までの範囲で、国土交通大臣が別に定める割合にできます。使える条件は告示の内容によるため、設計者に確かめます。
法第28条第1項のただし書きは、地階・地下工作物内の居室や、用途上やむを得ない居室を対象から外しています。保育室を地階に置く計画は、この別の整理に当たるかを、設計者と建築主事に確認します。
窓の面積はそのまま数えない。採光補正係数をかけた有効面積で数える
採光に有効な面積は、窓ごとの面積に採光補正係数をかけて合計した値です。
施行令第20条第1項が、この算定の方法を定めています。窓が大きくても、隣の建物が近い、庇が深いなどで係数が小さくなると、有効な面積は窓の面積より小さくなります。
係数は同条第2項で、用途地域の区分ごとに、隣地境界線や同一敷地内の他の建物までの距離などから計算します。天窓は計算した数値を3倍にでき、外側に幅90センチメートル以上の縁側(ぬれ縁を除く)などがある窓は0.7倍にします。係数の上限は3.0です。
係数の計算式は用途地域ごとに異なり、道に面する窓かどうかでも扱いが分かれます。式の細部は条文と設計者の計算書で確かめるもので、このページでは式を写しません。
割合をかける床面積は、施行令第2条第1項第3号により、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(壁芯)で数えます。児童福祉施設の面積基準で使う内法の面積とは数え方が違うため、同じ部屋でも2つの数字が出ます。内法の数え方は『保育室・ほふく室の面積の数え方:内法・有効面積・収納の扱いを3市で比較』にあります。
換気は、床面積の20分の1以上の窓か、換気設備のどちらか
換気に有効な窓の面積は、居室の床面積の20分の1以上にします。
建築基準法第28条第2項は、居室に換気のための窓その他の開口部を設けることを求めています。採光の対象の居室より広く、居室全般に適用される規定です。
同項のただし書きは、政令の技術的基準に従って換気設備を設けた場合は、この割合によらなくてよいと定めています。窓を大きく取れない保育室は、換気設備を入れる設計で対応する道があります。換気設備の技術的基準は、施行令第20条の2にあります。
調理室の扱いは別です。同条第3項は、建築物の調理室などで、こんろなど火を使う設備や器具を設けたものに、政令の技術的基準に従った換気設備を求めています(政令で定めるものを除く)。園の調理室がこの対象になるかは、設計者と建築主事に確認します。
ふすま・障子など随時開放できるもので仕切られた二室は、採光と換気の規定では一室とみなされます(法第28条第4項)。可動の間仕切りで保育室を分ける計画は、この規定の影響を受けます。
割合の早見表と、床面積に当てはめる例
| 項目 | 根拠 | 割合 | 数え方の要点 |
|---|---|---|---|
| 採光に有効な部分 | 法第28条第1項、令第19条第3項 | 床面積の5分の1以上 | 窓の面積×採光補正係数の合計(令第20条) |
| 採光の緩和 | 令第19条第3項ただし書き | 国土交通大臣が別に定める割合(10分の1まで) | 照明設備の設置などの措置を講じた居室 |
| 換気に有効な部分 | 法第28条第2項 | 床面積の20分の1以上 | 換気設備を技術的基準に従い設ければ、この割合によらない |
| 調理室の換気設備 | 法第28条第3項 | 火を使う設備・器具があれば設備が必要 | 政令で定めるものは除く |
壁芯で60㎡の保育室なら、採光に有効な面積は12㎡以上、換気に有効な面積は3㎡以上が目安になります。
12㎡は有効面積なので、窓の実際の面積は補正係数が小さいほど大きく必要です。これは割合の当てはめ方の例で、自園の数字は設計者の計算によります。
表は条文の本則の割合を並べたもので、自治体の建築指導の運用や、告示による緩和の条件は含みません。設計や改修の前に、建築主事または指定確認検査機関へ確認します。
よくある質問
- 保育所の保育室の窓は、床面積の何分の1以上必要ですか。
採光に有効な部分は床面積の5分の1以上、換気に有効な部分は20分の1以上です。根拠は採光が施行令第19条第3項の表、換気が法第28条第2項です。ただし、窓の面積に採光補正係数をかけた有効面積で数えるため、窓の実寸だけでは判断できません。
- 遊戯室や乳児室にも、この採光の基準は当たりますか。
施行令第19条第2項第1号が挙げているのは、保育所の保育室です。乳児室・ほふく室・遊戯室がどの区分に当たるかは条文の文言から直接は読み取れないため、設計者と建築主事に確認します。
- 照明を付ければ、窓を小さくしてよいのですか。
表のただし書きに緩和の定めがあります。国土交通大臣が定める基準に従って照明設備の設置などの措置を講じた居室は、5分の1から10分の1までの範囲で別に定める割合にできます。使える条件は告示に従うため、事前に設計者へ確かめます。
- 窓の費用や改修費は公定価格の試算に入りますか。
試算結果には含まれません。設備の改修費は、施設整備の補助など別の仕組みで確認します。
次に知りたいこと:面積の数え方、部屋の種類、2階以上の建物要件
保育室の面積基準は『保育所の保育室の面積基準は1人1.98㎡以上|ほふく室3.3㎡・乳児室1.65㎡』、設ける部屋の種類は『保育所の設備基準で設ける部屋の一覧(第32条):年齢別の部屋と被服室の扱い』、2階以上に置く場合の建物の要件は『保育室等を2階・3階以上に設ける保育所の建物要件(耐火・避難階段)』で整理しています。
確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。窓や換気設備の改修費は、試算結果に含まれません。
利用定員を入れて公定価格を試算するほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧
この記事が参照した一次資料
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)
法令ID 325AC0000000201、325CO0000000338/対象外対象外/確認日 2026-10-21