解説

保育所の保育の内容(第35条)と保護者との連絡(第36条)の違い

保育の内容と保護者との連絡について、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第35条(保育の内容は指針に従う)と第36条(保護者と密接に連絡をとり理解と協力を得る努力義務)を、条文の書きぶり、従うべき基準にあたるかどうか、保育所保育指針の第1章・第4章との対応で整理します。義務の項目と努力義務の項目を分けて、自園の確認に使えます。

第35条は保育の内容、第36条は保護者との連絡。書きぶりが違う

第35条は、保育の内容を内閣総理大臣が定める指針に従うものとする規定で、第36条は、保育所の長に保護者との連絡を求める努力義務の規定です。

二つは条文が隣り合っていますが、守り方の強さが異なります。

第35条と第36条の比較(e-Gov で確認、確認日 2026-10-13)
条条文の要点書きぶり第1条での位置づけ
第35条(保育の内容)保育は養護及び教育を一体的に行うことをその特性とし、内容は内閣総理大臣が定める指針に従う「従う」第1条第1項第3号に挙がる(都道府県が条例を定めるときに従うべき基準)
第36条(保護者との連絡)保育所の長は、常に入所している乳幼児の保護者と密接な連絡をとり、保育の内容等につき保護者の理解及び協力を得るよう努める「努めなければならない」第1号から第3号には挙がらない(第4号の参酌すべき基準にあたる)

第1条の分類は、同条第1項の各号に条番号が挙がっているかどうかで読みました。実際に施設に適用されるのは所在地の条例なので、条例の文言も確認してください。

第35条は、保育の内容を「指針」に委ねている

第35条は、保育の具体的な内容を条文に書かず、内閣総理大臣が定める指針に従うと定めています。

ここでいう指針は保育所保育指針で、告示の本文は、設備運営基準の第35条の規定に基づくものとして示されています。

指針は、平成29年3月31日に告示され、平成30年4月1日から適用された厚生労働大臣告示(平成29年厚生労働省告示第117号)が確認できます。

条文の現在の文言は「内閣総理大臣」で、2017年の告示は厚生労働大臣名義です。

指針を引用するときは、いつ告示された版か、その後に改正されていないかを、国の公表ページで確認します。

指針の告示番号を、現行の版の番号として使わない

この記事で確認したのは、2017年の告示の本文と構成です。その後の改正や、所管の移り変わりにともなう版の扱いは確認していません。

指針を根拠として書類に引く場合は、国が公表している現在の版を開き、告示の日付と番号をそのまま写します。

指針は5つの章で、保育の内容と運営に関する事項を定める

指針は、保育所における保育の内容とこれに関連する運営に関する事項を定める告示で、第1章から第5章までで構成されています。

自園が何を確かめたいかで、開く章が決まります。

保育所保育指針(2017年告示)の構成と、自園の確認の使いどころ
章内容の概要確認の使いどころ
第1章 総則基本原則、養護に関する基本的事項、保育の計画及び評価、幼児教育を行う施設として共有すべき事項「養護及び教育を一体的に行う」という考え方、保護者や地域への説明、苦情への対応の努力
第2章 保育の内容乳児、1歳以上3歳未満児、3歳以上児の保育のねらいと内容年齢ごとの保育の計画を作るとき
第3章 健康及び安全子どもの健康支援、食育、環境と衛生管理・安全管理、災害への備え健康診断・食事・避難訓練などの運営基準の各条を、保育の内容の側から見るとき
第4章 子育て支援保育所における子育て支援の基本、利用している保護者への支援、地域の保護者への支援第36条の保護者との連絡を、日常の保育でどう行うかを確かめるとき
第5章 職員の資質向上職員の資質・専門性の向上、施設長の責務、職員の研修等職員の研修を、第7条の2と合わせて整理するとき

第36条の「密接な連絡」と「理解及び協力」は、努力義務

第36条の主語は保育所の長で、求めているのは、入所している乳幼児の保護者と常に密接な連絡をとり、保育の内容等についての理解と協力を得ることです。

書きぶりは「努めなければならない」で、連絡の回数、方法、記録の有無は条文に書かれていません。

指針の第4章は、利用している保護者への子育て支援の最初に、「保護者との相互理解」を置いています。

内容は、日常の保育に関連したさまざまな機会を活用して、子どもの日々の様子の伝達や収集、保育所保育の意図の説明を通じて、相互の理解を図るよう努めることです。

保育の活動への保護者の参加を促すことも書かれています。

第36条を日常の保育で形にするときの、確かめ先は第4章です。

第36条の努力義務を、連絡の手段や頻度の基準として読まない

条文にも指針にも、連絡帳・面談・アプリなどの手段や回数の指定は、この記事で確認した範囲にはありません。

園で実際に行っている連絡の場面(送迎時、連絡帳、面談、行事)を書き出し、所管の自治体が示している指導監査の確認項目と照らします。

運営規程や苦情対応など、隣の条との関係

第36条の「保護者の理解及び協力を得る」は、運営規程の説明や苦情への対応と、保護者に向き合う場面が重なります。

条文の根拠が別々なので、確認する条も分けておくと抜けが減ります。

  1. 契約時の説明・同意

    運営規程の重要事項の説明と同意は、別の記事で整理しています。第36条とは根拠の条が異なります。

  2. 苦情への対応

    窓口の設置等は第14条の3の規定です。指針の第1章は、保護者の苦情などに対し解決を図るよう努めることも書いています。

  3. 保育時間

    保育時間は第34条の規定で、保育所の長が定めます。第36条の連絡とは別の項目です。

運営規程の説明は『保育所の運営規程と重要事項の説明・同意、掲示とインターネット公表』、苦情対応は『保育所の苦情対応(窓口・記録・指導への改善)』、保育時間は『保育時間・開所時間・保育必要量の違い』で整理しています。

自園の保育の内容と保護者との連絡を点検する順序

点検は、指針の版の確認、保育の計画、保護者との連絡の場面、条例の順に進めると抜けが減ります。

  1. 国が公表している現在の指針を開く

    告示の日付と番号、適用日を書き写します。古い版を手元に置いたままにしないためです。

  2. 保育の計画と、年齢別の保育の内容を指針と照らす

    指針の第1章(保育の計画及び評価)と第2章(年齢ごとのねらいと内容)に沿って、自園の計画を確かめます。

  3. 保護者との連絡の場面を書き出す

    子どもの様子の伝達、保育の意図の説明、保育への参加の機会を、指針の第4章に沿って整理します。

  4. 条例の文言と所管の案内を並べる

    第35条は従うべき基準にあたるため、条例の文言が国の省令とどう対応するかを確かめます。第36条は、条例で追加の定めがないかを確かめます。

よくある質問

保育所の保育の内容は、園が自由に決められますか。

第35条は、保育の内容を内閣総理大臣が定める指針に従うものとしています。園の特色を出す余地があるかどうかは、指針の本文と所管の案内で確認してください。

第36条の保護者との連絡は、義務ですか。

第36条は「努めなければならない」という努力義務の書きぶりです。連絡の手段や回数は条文に書かれていないため、所管の自治体に確認してください。

保育所保育指針は、どこで読めますか。

国が公表している告示の本文と解説があります。この記事は、2017年の告示本文を厚生労働省の公表資料で確認しました。現在の版は国の公表ページで確かめてください。

この記事で、自園の保育が指針や基準に適合しているか分かりますか。

分かりません。この記事は条文と指針の構造の説明で、適合の判定や指導監査の結果の見込みを示すものではありません。所管の自治体に確認してください。

確認したうえで、公定価格を試算する

確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。保育の内容や保護者との連絡が基準に適合しているかは、試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」2件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

  • 公定価格とは・決まり方:保育所の計算方法と基本分単価の内訳

    保育園の公定価格の決まり方を解説。公定価格とは、特定教育・保育等に要する費用の額で、保護者の保育料とは別の施設側の総額です。基本分単価の内訳は地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4つで決まります。計算は基本分単価・加算・減算・園児数の4手順で、試算画面の入力欄も確認できます(子ども・子育て支援法第27条第3項)。

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    他の社会福祉施設を併設するときの設備と職員の兼用について、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第8条が認める範囲を、第1項の原則、第2項の適用除外、保育所だけに付くただし書に分けて整理します。従うべき基準にあたる部分と、条例・所管の確認が必要な点も確認できます。

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  • 保育所の運営の一般原則(第5条):人権配慮・地域連携・自己評価・設備・採光換気

    保育所の運営の一般原則について、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第5条が定める5つを、義務(「なければならない」)と努力義務(「努めなければならない」)に分けて整理します。人格の尊重、地域社会との交流と運営内容の説明、自己評価と公表、必要な設備、採光・換気・危害防止の考慮を確認できます。

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