解説

保育時間・開所時間・保育必要量の違い(8時間・11時間と公定価格)

保育所の「保育時間(8時間原則)」「開所時間(11時間の想定)」「保育必要量(標準時間・短時間)」は、定める人も使われ方も別です。設備運営基準、子ども・子育て支援法施行規則、公定価格のFAQ(第32版)の原文で、三つの時間を区別して整理します。

「8時間」「11時間」は、三つの別の時間に出てくる

保育所の時間には、似た数字の三つの決まりがあります。

保育時間・開所時間・保育必要量は、定める人も、使われる場面も別です。

公定価格の試算で園児数を分けて入力するのは、子どもごとの保育必要量です。土曜日に閉所する日数は、別の項目として入力します。

三つを一つの「保育の時間」として扱うと、土曜日の減算や、標準時間・短時間の園児数の入力を誤るもとになります。

三つの時間の比較(令和8年度、確認日 2026-10-10)
時間の名前定めるもの・定める人示されている数字公定価格での使われ方
保育時間児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第34条。保育所の長が定める一日につき8時間を原則単価の区分としては使わない
開所時間公定価格の考え方(FAQ No.118)。2・3号認定の子どもを受け入れる施設で想定土曜日も含め基本的に11時間開所土曜日に閉所する場合の調整(減算)の判断に関わる
保育必要量子ども・子育て支援法施行規則の第4条。市町村が子どもごとに認定する標準時間は一日11時間まで、短時間は一日8時間まで基本分単価の列(保育標準時間・保育短時間)を選ぶ

この表は、国の府令・省令と、こども家庭庁のFAQ(第32版、2026年7月24日時点)の文言を整理したものです。自園の保育時間や開所時間の実際の取扱いは、所在地の条例と市町村の案内で確認してください。

保育時間は、園の長が定める「1日8時間」が原則

設備運営基準の第34条は、保育所における保育時間を、一日につき8時間を原則としています。

そのうえで、地域の保護者の労働時間その他の家庭の状況を考慮して、保育所の長が定めると書かれています。

第34条は保育時間の原則を定める条文で、子ども一人ひとりの保育必要量の区分は、次に見る施行規則の第4条が定めています。

実際の基準が都道府県等の条例に置かれる点は、記事「保育所の面積基準(乳児室・ほふく室・保育室)と利用定員を決める順序」で整理した設備の基準と同じ構造です。

保育必要量は、市町村が子どもごとに認定する区分

子ども・子育て支援法施行規則の第4条は、保育必要量の認定を、原則として二つの区分に分けて行うと定めています(保護者の事由によっては、条文に但書や区分に分けない場合の定めもあります)。

一つは、一月当たり平均275時間まで(一日当たり11時間までに限る)の区分です。もう一つは、一月当たり平均200時間まで(一日当たり8時間までに限る)の区分です。

公定価格の表で保育標準時間・保育短時間と呼ばれる列は、この認定区分に対応します。

留意事項通知(保育所)も、基本分単価は地域区分、定員区分、認定区分、年齢区分、保育必要量区分に応じて定めると書いています。

第34条の「8時間」と、短時間認定の「8時間」を同じものとして読まない

第34条の8時間は、保育所の保育のあり方の原則です。短時間認定の8時間は、子ども一人ひとりに市町村が認める保育必要量の上限です。名前が似ていても、定める人と対象が違います。

試算に入れる園児数は、園の保育時間から推測せず、市町村の認定通知に書かれた保育標準時間・保育短時間の別で数えます。

認定の主体や、区分を変更したときの扱いは、記事「保育標準時間・短時間は、園が推測せず認定区分を確認する」にまとめています。

開所時間は、公定価格が「11時間」を想定している点で関わる

FAQ(第32版)のNo.118は、公定価格上、2・3号認定の子どもを受け入れる施設について、土曜日も含め、基本的に11時間開所を想定していると答えています。

そのため、土曜日の利用ニーズがあるのに半日だけ開所するなど、開所時間が11時間に満たない場合は、基本的に土曜閉所の減算の対象になります。

ただし、地域のニーズに合わせて必要とされる時間(例:午前中のみ)だけ開所する場合は、減算の対象になりません。

FAQが話題にしているのは、施設が土曜日にどれだけ開所するかです。子ども一人ひとりの認定区分を決める話とは、別の論点です。

判定の細かい場合分けは、記事「土曜日の閉所減算:半日開所・利用希望なし・共同保育は閉所になるか」で整理しています。

開所時間が11時間に満たない場合の個別の判断は、通知とFAQだけでは決められません。土曜日の利用希望の有無と開所時間の根拠を整理して、市町村に確認します。

11時間を超える時間は、公定価格の外にある別の事業で考える

保育標準時間の上限は、一日11時間までです。

それを超える預かりを公定価格の中で扱えるかは、別の制度の問題です。

延長保育事業の補助が公定価格の加算に含まれるかは、記事「延長保育事業の補助は、公定価格の加算に含まれるか」で整理しています。

試算ツールの結果には、公定価格以外の補助や保護者から徴収する費用は含まれません。

標準時間認定の子どもが利用する施設に基本分単価で見込まれる保育士の配置は、記事「休けい保育士・標準時間認定分の保育士は年齢別配置基準とは別に置くのか」で整理しています。

三つの時間を取り違えないための確認順

試算に入れる区分は、園の時間ではなく、子どもごとの認定から確認します。

次の4段階で、三つの時間を別々に確かめます。

  1. 園の保育時間と開所時間を、別の項目として書き出す

    園の長が定めている保育時間と、曜日ごとの開所時間を別々に控えます。土曜日と平日で開所時間が違う場合は、曜日ごとに書きます。

  2. 子どもごとの保育必要量を、市町村の認定から確認する

    認定通知などに書かれた保育標準時間・保育短時間の別を、年齢別に数えます。園の利用予定や登園・降園の時刻から推測しません。

  3. 土曜日に閉所する日、または半日だけ開所する日があれば分けて確認する

    土曜日の利用希望の有無と、開所時間の根拠を整理して、市町村に調整の扱いを確認します。

  4. 試算ツールに、認定にもとづく人数と閉所日数を入れる

    標準時間・短時間の園児数は認定の人数、土曜日の閉所日数は市町村の認定の結果を入れます。時間の長さそのものは入力しません。

よくある質問

保育時間が8時間の園は、保育短時間の単価を使いますか。

いいえ。単価の列は、園の保育時間ではなく、子どもごとの保育必要量の認定で決まります。

標準時間認定の子どもには標準時間の列を使います。どの区分に当たるかは市町村の認定で確認します。

開所時間が11時間に満たない園は、必ず減算になりますか。

必ずとは限りません。FAQ No.118は、土曜日の利用ニーズがあるのに半日開所するなど11時間に満たない場合は基本的に減算の対象とし、地域のニーズに合わせて必要とされる時間だけ開所する場合は対象にならないとしています。自園がどちらに当たるかは市町村に確認します。

標準時間の子どもが11時間より長く園にいる場合は、どうなりますか。

標準時間の区分は、一日11時間までです。それを超える預かりの費用や補助の扱いは、公定価格とは別の制度になります。自園の扱いは市町村に確認します。

この記事で、自園の区分や減算の有無を判定できますか。

できません。この記事は、府令・省令とFAQの定めを区別して整理したものです。認定や調整の適用は市町村が行うため、自園の扱いは所在地の市町村に確認します。

公定価格を試算する

試算ツールには、年度年齢と保育標準時間・保育短時間別の月初在籍数を入れる欄があります。入力する人数は、園の保育時間や開所時間ではなく、市町村の認定にもとづいて数えます。

保育標準時間・短時間別の園児数を入力して公定価格を試算する

次に知りたいこと:保育を必要とする事由10項目と就労時間の市町村差、夜間保育加算の対象施設の条件、休日保育加算の確認手順。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

「定員・在籍・利用開始の時期が変わるとき」の解説一覧へ