解説

札幌市・広島市の保育所条例:乳児室の面積は国の1.65平方メートルでなく3.3平方メートル

札幌市条例の第43条第2号と広島市条例の第9条第4項(第10条第6項で保育所に準用)は、乳児室を1人3.3平方メートル以上と定めます。国の省令は1.65平方メートルです。広島市の既存園の経過措置と、条文・手引きの所在を整理します。

この記事が答えること:札幌市と広島市は、乳児室の面積が国の省令の2倍

国の省令(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第32条)は、乳児室を乳児または満2歳に満たない幼児1人につき1.65平方メートル以上、ほふく室を同じく3.3平方メートル以上と定めます。

札幌市と広島市の条例は、乳児室の面積も3.3平方メートル以上としています。同じ内容の横浜市・福岡市・大阪市の例は、記事「指定都市の条例が国の省令と異なる実例(横浜市・福岡市・大阪市)」にあります。

国の省令と札幌市・広島市の違い(条文で確認できた項目)
基準乳児室(1人あたり)ほふく室(1人あたり)保育室(2歳以上)確認した資料
国の省令(第32条)1.65平方メートル以上3.3平方メートル以上1.98平方メートル以上e-Gov(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準)
札幌市3.3平方メートル以上3.3平方メートル以上1.98平方メートル以上条例第43条第2号・第5号、市の令和4年度版の手引き
広島市3.3平方メートル以上(既存園は経過措置で1.65)条例に独自の面積の定めは確認していない条例に独自の面積の定めは確認していない条例第9条第4項・第10条・附則第3項

札幌市の条文は平成24年の制定時の原文で、その後の改正は確認していません。広島市のほふく室と保育室は、国の省令を引用する規定から国と同じと読めますが、省令本文との照合はしていません。札幌市の手引きは別の条例名(平成24年条例第62号)を挙げているため、最新の条文は市の例規集で確認してください。

札幌市:条例第43条第2号は、乳児室とほふく室を同じ3.3平方メートルにする

札幌市児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例(平成24年札幌市条例第9号)の第43条は、保育所の設備の基準を定めます。第2号は、乳児室とほふく室の面積を、乳児または満2歳に満たない幼児1人につきそれぞれ3.3平方メートル以上とします。

国の省令では乳児室が1.65平方メートルなので、ほふくをしない乳児でも、札幌市ではほふく室と同じ面積が求められます。

札幌市が公表する「札幌市認可保育所の施設の整備について(令和4年度版)」の設備の基準の表も、乳児室はほふくしない2歳未満児1人あたり3.3平方メートル以上、ほふく室はほふくする2歳未満児1人あたり3.3平方メートル以上としています。面積は、内法で測り棚などを除いた有効面積で確保するよう求めています。

保育室または遊戯室は2歳以上児1人あたり1.98平方メートル以上で、国の省令と同じです。

国の1.65平方メートルでほふくしない乳児の定員を数えると、札幌市では約2倍に見込む

乳児室の面積を国の1.65平方メートルで割ると、同じ部屋で数えられる乳児の人数は、3.3平方メートルで割った場合の約2倍になります。札幌市の園がこの数え方をすると、条例の面積に足りない定員を見込むことになります。

札幌市の園は、乳児室の有効面積を3.3平方メートルで割った人数を、乳児の定員の上限の目安にする。

広島市:第9条第4項を保育所に読み替えて、乳児室を3.3平方メートルにする

広島市児童福祉施設設備基準等条例は、第9条第4項で保育所型事業所内保育事業所の乳児室の面積を、乳児または満2歳に満たない幼児1人につき3.3平方メートル以上と定めます。

保育所には、第10条第6項が第9条第4項を準用します。このとき「保育所型事業所内保育事業所」を「保育所」と読み替えます。条文が保育所の章にまとまっておらず、準用の規定を経由して読む形です。

第10条第1項は、保育所を含む児童福祉施設の基準として、国の省令の第2条から第36条の2までなどを引用します。ほふく室と保育室の面積は、この引用で国の省令に従うと読めます。広島市の条例に、これらの面積の独自の数字は確認していません。

附則第3項は経過措置を置きます。条例の施行(平成25年4月1日)の際に現に存する保育所は、その後に増築または全面的に改築されたものを除き、乳児室の「3.3平方メートル」を「1.65平方メートル」と読み替えます。

つまり、施行時から存する園は国と同じ1.65平方メートルのままで、増築や全面改築をした園は3.3平方メートルが適用されます。

既存園が経過措置の対象かどうかは、自分では決められない

附則第3項の対象かどうかは、建物が施行の際に存在し、その後に増築や全面的な改築をしていないかで決まります。増築の範囲や改築の程度は、園ごとの経緯によって変わります。

広島市の園は、自園の建物が附則第3項の対象になるかを、増築や改築の前に広島市へ確認する。

川崎市・呉市も乳児室を3.3平方メートルにし、既存園には経過措置がある

川崎市児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例(平成24年条例第56号)の第45条第1項第2号は、乳児室又はほふく室の面積を、乳児または満2歳に満たない幼児1人につき3.3平方メートル以上と定めます。

呉市児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例(令和7年条例第20号)の第3条も、保育所の乳児室又はほふく室を1人につき3.3平方メートル以上とします。両市とも、国の省令の乳児室1.65平方メートルより広い基準です。

川崎市・呉市の条例の乳児室(各市の例規集で2026年10月19日に確認)
市条文乳児室の面積既存園の経過措置
川崎市第45条第1項第2号1人につき3.3平方メートル以上附則第5項。施行時に現存し、施行日以後に増築・改築していない保育所は、乳児室1.65平方メートル以上・ほふく室3.3平方メートル以上
呉市第3条1人につき3.3平方メートル以上付則第2項。平成28年4月1日に現存し、同日以後に増築・改築していない保育所は、乳児室1.65平方メートル以上・ほふく室3.3平方メートル以上

両市とも、既存園の経過措置の対象かどうかは、増築・改築の時期や現存の日を、市の窓口で確かめてください。この記事では個別の園が対象かどうかを判断しません。北九州市と相模原市は、現行の条文を確認できていないため扱いません。

自園の所在地の条例で乳児室の面積を確かめる手順

確認の基本は、国の省令第32条と、市の条例の保育所の条を、同じ項目で並べて読むことです。

指定都市と中核市で、どの条例を読むかの考え方は、記事「保育所の設備運営基準の条例を定める自治体」にあります。

  1. 市の例規集で条例を探す

    児童福祉施設の設備及び運営の基準を定める条例(名称は市によって異なります)を、市の例規集で探し、保育所の条を開きます。

  2. 乳児室の面積を国の1.65平方メートルと比べる

    条例の乳児室の面積が、国の省令第32条第2号と同じか、広いかを確かめます。広島市のように、別の条を準用している場合は、準用先の条まで読みます。

  3. 附則の経過措置を読む

    既存の建物に特例がないかを、附則で確かめます。広島市のように、施行時から存する園を別扱いにする市があります。

  4. 有効面積の測り方を市の手引きで確かめる

    札幌市は、内法で測り棚などを除いた有効面積で確保するよう手引きで求めています。測り方は、市の手引きや確認の窓口で確かめます。

よくある質問

札幌市と広島市以外の指定都市も、乳児室を3.3平方メートルにしていますか。

この記事で条文を確認できたのは札幌市・広島市・川崎市・呉市です。横浜市と福岡市は別の記事で確認しています。ほかの市は、所在地の市の条例の条文で確かめてください。

市の条例が国の省令より広い面積を求めるとき、国の面積を満たしていればよいですか。

児童福祉法第45条第5項は、設置者に、条例で定めた基準を守ることを求めています。条例が国の省令より厳しい部分では、条例の基準を守る必要があります。

公定価格の試算は、乳児室の面積基準に影響を受けますか。

試算ツールは、入力された定員や年齢別の人数からモデル計算をします。条例の面積基準で定員が変わる場合は、確認した定員を入力してください。条例の基準を満たしているかの判定はしません。

試算ツールで公定価格を見積もる前に

市の条例の面積基準で確認した利用定員と年齢別の人数を入力して、公定価格をモデル計算します。条例の基準への適合は判定しません。

公定価格の試算結果を見る

試算結果は、基準への適合や給付の支給を保証するものではありません。次に知りたいこと:保育室・乳児室・ほふく室の面積の数え方、保育所の面積基準と利用定員。

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    この記事の「つまずきやすい確認事項」2件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

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