解説

保育所の設備運営基準の条例を定める自治体(都道府県・指定都市・中核市)

保育所の人員・面積などの基準は、国の省令ではなく自治体の条例で決まります。条例を定める主体が都道府県から指定都市・中核市に読み替わる仕組みを、児童福祉法第45条、設備運営基準第14条の4、地方自治法施行令の条文で整理します。

この記事が答えること:基準を定める条例は、どの自治体のものか

保育所の職員数や保育室の面積は、国の設備運営基準を直接守るのではなく、自治体が条例で定めた基準を守る形になっています。

条例を定めるのは原則として都道府県ですが、指定都市と中核市では、その市が定めます。児童相談所設置市などの扱いは後の節で触れます。

所在地が政令指定都市や中核市の場合、都道府県の条例ではなく市の条例を読む必要があります。

この記事は、条文が決めている「誰が条例を定めるか」の整理です。個別の園にどの基準が当てはまるか、基準を満たすかどうかの判断は、所在地の自治体が行います。

児童福祉法第45条は、都道府県に条例の制定を義務づける

児童福祉法第45条第1項は、都道府県は児童福祉施設の設備及び運営について、条例で基準を定めなければならないと定めています。

第2項は、条例を定めるときの国の基準との関係を、事項ごとに分けています。

従業者とその員数、居室などの床面積を含む設備の一部、保育所の保育の内容を含む運営の一部は、内閣府令の基準に「従う」とされ、それ以外の事項は内閣府令の基準を「参酌する」とされています。

児童福祉法第45条の項ごとの内容
項内容
第1項都道府県は、児童福祉施設の設備及び運営について、条例で基準を定める
第2項従業者・員数、床面積などの設備、保育の内容などの運営は内閣府令の基準に従い、その他は参酌する
第5項児童福祉施設の設置者は、第1項の基準を遵守する
第6項設置者は、設備及び運営の水準の向上を図るよう努める

第5項が遵守を求めているのは、国の省令ではなく「第1項の基準」、つまり条例の基準です。

園が守る相手は、所在地の自治体の条例です。

「従うべき基準」と「参酌すべき基準」の区別は、保育所の最低基準の目的と、基準を理由にした低下の禁止の記事でも説明しています。

設備運営基準第14条の4は、指定都市・中核市の読み替えを置く

国の設備運営基準(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準)の第14条の4は、「大都市等の特例」として、基準中の「都道府県」を市に読み替える規定を置いています。

指定都市は、都道府県を指定都市と読み替えます。中核市は、助産施設・母子生活支援施設・保育所の3つ(条文上の「特定児童福祉施設」)について、都道府県を中核市と読み替えます。

第14条の4の読み替え(保育所の場合)
所在地条文の読み替え読む条例
指定都市「都道府県」を「指定都市」、「都道府県知事」を「指定都市の市長」と読む(第1項)指定都市の条例
中核市保育所を含む特定児童福祉施設については、「都道府県」を「中核市」と読む(第2項)中核市の条例
上記以外の市町村(児童相談所設置市を除く)読み替えなし通常は都道府県の条例

第14条の4の第3項は、児童相談所設置市についても同様の読み替えを置いています。児童相談所設置市で保育所の事務がどこまで及ぶかは、この記事では扱いません。所在地の自治体に確認してください。

中核市が保育所の条例を定めるのは、地方自治法施行令が除外していないから

中核市が児童福祉の事務を担う根拠は、児童福祉法第59条の4と、児童福祉法施行令第45条が指す地方自治法施行令第174条の49の2です。

同条第1項は、中核市が処理する児童福祉の事務を、児童福祉法等で都道府県が処理するとされている事務から、列挙した事務を除いたものとしています。

除外の列挙のうち、施設の設置認可、条例の制定、報告の徴収に関する項目は「特定児童福祉施設以外」と限定されています。保育所は特定児童福祉施設なので、これらは除外されず、中核市の事務になります。

地方自治法施行令第174条の49の2第1項の除外の読み方(保育所に関する部分)
除外の項目除外される範囲保育所の場合
設置の認可等(児童福祉法第35条)特定児童福祉施設以外の施設除外されない(中核市の事務)
条例の制定(同法第45条第1項)特定児童福祉施設以外の施設除外されない(中核市の事務)
報告の徴収等(同法第46条)特定児童福祉施設以外の施設と、中核市が設置する特定児童福祉施設への質問等・検査報告の徴収は中核市に残る。中核市が設置する保育所への質問等・検査は、都道府県の事務として残る

中核市が設置する保育所の指導監督窓口を取り違えない

市立保育所については、報告の徴収等のうち質問等・検査が、中核市の事務から除かれています。民間の保育所と市立の保育所で、確認の窓口が異なる場合があります。

公立・私立の別を含めて、所在地の自治体に、基準の確認と指導監査の窓口を確認する。

自園が読むべき条例を決める手順

どの条例を読むかは、所在地の区分で決まります。

次の4つの順で確認します。

  1. 所在地の区分を確かめる

    自園の所在地が、指定都市、中核市、児童相談所設置市、それ以外の市町村のどれに当たるかを、自治体の公式サイトで確かめます。

  2. 条例の名称を探す

    該当する都道府県、指定都市、中核市の例規集で、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定めた条例を探します。

  3. 従うべき基準の部分を読む

    従業者の員数と床面積などは国の基準に従う部分です。国の基準の内容は保育所の面積基準と利用定員を決める順序などで説明しています。

  4. 参酌部分の独自の上乗せを確かめる

    それ以外の部分は自治体が独自に定められるため、全国共通ではありません。自治体差の確認は記事「保育所の公定価格試算で、対象外の手続を別に確認する」で整理しています。

よくある質問

中核市にある園は、都道府県の条例を読まなくてよいのですか。

保育所については、設備運営基準第14条の4第2項により、基準の中の「都道府県」が「中核市」と読み替わります。条例を定める主体は中核市です。保育所以外の児童福祉施設は都道府県の条例の場合があります。

個別の事務の窓口は、所在地の自治体に確認してください。

国の設備運営基準を満たしていれば、条例は読まなくてよいですか。

児童福祉法第45条第5項は、設置者に第1項の基準、つまり条例の基準の遵守を求めています。従うべき基準の部分は条例も国と同じ水準になりますが、参酌の部分は自治体が定めています。

公定価格の試算には、この条例の違いは反映されますか。

試算ツールは、入力された職員数や定員からモデル計算をします。条例の基準を満たしているかどうかの判定はしません。

試算ツールで公定価格を見積もる前に

試算ツールは、入力された条件で公定価格をモデル計算します。条例の基準への適合は判定しません。

公定価格の試算結果を見る

試算結果は、基準への適合や給付の支給を保証するものではありません。次に知りたいこと:株式会社が認可保育所を設置するときの「経済的基礎」、私立の認可保育所の廃止・休止の承認、保育所の指導監査で確認される事項。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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