この記事が答えること:指定都市の条例は、乳児室の面積などで国の省令と違う
指定都市にある保育所の設備は、市の条例で定められます。
横浜市・福岡市・大阪市では、乳児室の面積が国の省令(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第32条)より広く定められていました。国の省令は、乳児室を乳児または満2歳に満たない幼児1人につき1.65平方メートル以上、ほふく室を同じく3.3平方メートル以上と、別の号で定めています。
三つの市の確認結果を、次の表にまとめます。
| 市 | 乳児室の面積(1人あたり) | そのほかの違い | 確認した資料 |
|---|---|---|---|
| 国の省令(第32条) | 乳児室1.65平方メートル以上、ほふく室3.3平方メートル以上 | 屋外遊戯場に代わるべき場所の定めに、市長の認定の要件はない | e-Gov(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準) |
| 横浜市 | 乳児室またはほふく室を一つの基準にして3.3平方メートル以上 | 屋外遊戯場に付近の代わるべき場所を含めるのは市長が特に認めた場合。既存の建物には当分の間2.475平方メートルとする附則がある | 条例の第42条・附則第5項 |
| 福岡市 | 乳児室またはほふく室を一つの基準にして3.3平方メートル以上 | 確認した範囲で、このほかに国の第32条と違う面積はない | 条例の第44条 |
| 大阪市 | 0歳児5.00平方メートル、1歳児・2歳児3.30平方メートル | 調乳設備(0歳児)、沐浴設備(0・1歳児)、シャワー設備(2歳児)が必要 | 市の手引き(令和8年4月) |
この記事は、横浜市・福岡市・大阪市で確認できた項目に限って並べたものです。ほかの指定都市や中核市が国の省令と同じか違うかは、この記事からは分かりません。個別の園が基準を満たすかどうかの判断は、所在地の市への確認が必要です。
乳児室の面積:国1.65、横浜福岡3.3、大阪0歳児5.00平方メートル
国の省令第32条第2号は、乳児室の面積を乳児または第1号の幼児(満2歳に満たない幼児)1人につき1.65平方メートル以上と定めます。第3号は、ほふく室の面積を同じ対象者1人につき3.3平方メートル以上と定めます。
横浜市の条例第42条第2号と福岡市の条例第44条第2号は、どちらも「乳児室又はほふく室の面積は、乳児又は前号の幼児1人につき3.3平方メートル以上」と定めています。乳児室とほふく室が一つの基準にまとまり、乳児室にも3.3平方メートルが求められます。
大阪市は、市が公表する「認可保育所の開設・運営の手引き 令和8年4月」の設備の基準の表で、乳児室またはほふく室を0歳児5.00平方メートル、1歳児と2歳児は3.30平方メートルとしています。
同じ表で、保育室または遊戯室は3歳児から5歳児まで1.98平方メートルです。この1.98平方メートルは、国の省令第32条第6号の保育室または遊戯室の面積と同じです。
大阪市の数字は、市の手引きの表の記載です。条例そのものの条文との照合は、大阪市の例規集で行ってください。手引きは、面積を建築基準法施行令で定める方法(壁芯)で算出し、柱や固定式の家具など建物に固定されているものは面積に含めないと注記しています。
国の面積だけで計算すると、市の条例の定員に足りないことがある
乳児室の面積を国の1.65平方メートルで割って乳児の定員を考えると、横浜市や福岡市では約2倍、大阪市の0歳児では約3倍の面積が必要になります。国の省令だけを見て設備と定員を決めると、市の条例と食い違うことがあります。
乳児を預かる園は、所在地の市の条例(大阪市は手引きと条例)の面積の条を確かめてから、定員を決める。
横浜市の特例:既存の建物の経過措置と屋外遊戯場
横浜市の条例の附則第5項は、条例の施行の日前から存する保育所の建物(同日以後に全面的に改築されたものを除く)について、第42条第2号の「3.3平方メートル」を、当分の間「2.475平方メートル」と読み替えると定めています。
既存の建物には、乳児室またはほふく室の面積を2.475平方メートルとする経過措置があります。新しく建てた建物や、全面的に改築した建物は、この経過措置の対象外です。
屋外遊戯場にも違いがあります。国の省令第32条第5号は、屋外遊戯場に「保育所の付近にある屋外遊戯場に代わるべき場所」を含めると定めます。横浜市の条例第42条第4号は、この代わるべき場所を含められる場合を「市長が特に認めた場合」としています。
福岡市の条例第44条第4号は、確認した範囲で、国の省令と同じく市長の認定を条件にしていません。
既存の園が経過措置の対象かどうかは、自分では決められない
附則第5項の対象かどうかは、建物が条例の施行の日前から存するか、その後に全面的に改築されていないかで決まります。改築や増築の経緯によって扱いが変わる可能性があります。
横浜市の園は、自園の建物が附則第5項の対象になるかを、横浜市に確認する。
設備の追加:大阪市の調乳設備・沐浴設備・シャワー設備
国の省令第32条第1号は、乳児または満2歳に満たない幼児を入所させる保育所に、乳児室またはほふく室、医務室、調理室、便所を設けると定めます。
大阪市の手引きの設備の基準は、これらに加えて、調乳設備(0歳児を保育する場合)、沐浴設備(0・1歳児を保育する場合)、シャワー設備(2歳児を保育する場合)を挙げています。年齢ごとに必要な設備が増える点が、国の省令の列挙と違います。
埼玉県の条例にも調乳室と沐浴室の定めがあります。県の例は記事「保育所の設備運営基準で、条例が国の省令と異なる実例(秋田県・埼玉県・千葉県)」で整理しています。
面積から受け入れられる人数の目安を出す順序は記事「保育所の面積基準(乳児室・ほふく室・保育室)と利用定員を決める順序」で説明しています。
自園の所在地の条例で違いを確かめる手順
確認の基本は、国の省令第32条の号と、市の条例の保育所の章の号を、並べて読むことです。
指定都市と中核市で、どの条例を読むかの判断は記事「保育所の設備運営基準の条例は都道府県・指定都市・中核市のどこが定めるか」で説明しています。
市の例規集で条例を探す
児童福祉施設の設備及び運営の基準を定める条例(名称は市によって異なります)を、市の例規集で探し、保育所の章を開きます。
乳児室とほふく室の面積を並べる
国の省令第32条第2号・第3号の面積と、市の条例の面積の号を比べ、乳児室に求められる面積が同じかを確かめます。
附則と経過措置を読む
既存の建物に特例がないかを、附則で確かめます。横浜市のように、当分の間の読み替えを置く市があります。
市の手引きや独自基準の資料を探す
市が認可の手引きを公表している場合は、条文と合わせて読みます。大阪市のように、年齢ごとの面積や設備を表にしている市があります。
よくある質問
- 横浜市・福岡市・大阪市以外の指定都市や中核市の条例も、国の省令と違いがありますか。
この記事で確認できたのは3市の例だけです。他の市が国の省令と同じか違うかは、この記事からは分かりません。所在地の市の条例の条文で確かめてください。
- 市の条例が国の省令より広い面積を求めるとき、国の面積を満たしていればよいですか。
児童福祉法第45条第5項は、設置者に、条例で定めた基準を守ることを求めています。条例が国の省令より厳しい部分では、条例の基準を守る必要があります。
- 公定価格の試算は、条例の面積基準に影響を受けますか。
試算ツールは、入力された定員や職員数からモデル計算をします。条例の面積基準で定員が変わる場合は、確認した定員を入力してください。条例の基準を満たしているかの判定はしません。
試算ツールで公定価格を見積もる前に
市の条例の面積基準などで確認した利用定員と年齢別の人数を入力して、公定価格をモデル計算します。条例の基準への適合は判定しません。
公定価格の試算結果を見る試算結果は、基準への適合や給付の支給を保証するものではありません。次に知りたいこと:保育所の公定価格試算で、対象外の手続を別に確認する。
ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧
この記事が参照した一次資料
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準
昭和23年厚生省令第63号/複数年度対象外/確認日 2026-09-28
- 横浜市児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例
横浜市条例(累次改正。例規集の本文に令和7年条例第49号の改正表示を確認)/対象外対象外/確認日 2026-10-14
- 福岡市児童福祉施設の設備及び運営の基準を定める条例
福岡市条例(累次改正。例規集の本文に令和8年条例第21号の改正表示を確認)/対象外対象外/確認日 2026-10-14
- 認可保育所の開設・運営の手引き 令和8年4月
該当なし/対象外対象外/確認日 2026-10-14