解説

私立の認可保育所の廃止・休止は知事の承認が必要

私立の認可保育所を廃止・休止するときは、児童福祉法に基づく都道府県知事の承認が要ります。給付の確認を辞退する場合の3か月以上の予告、利用者への便宜の提供、委託費の扱いがわかります。

私立保育所の廃止・休止に必要な知事の承認

児童福祉法第35条は、国・都道府県・市町村以外の者が設置した児童福祉施設を廃止し、または休止しようとするときは、内閣府令の定めるところにより都道府県知事の承認を受けなければならないと定めています(第12項)。

私立の認可保育所は、届け出るだけでは廃止・休止できず、承認を受ける手続きが必要です。

設置者による廃止・休止の手続きの違い
設置者必要な手続き根拠
市町村(公立)廃止・休止の日の3か月前までに、内閣府令で定める事項を都道府県知事へ届け出る児童福祉法第35条第11項
国・都道府県・市町村以外(私立)都道府県知事の承認を受ける児童福祉法第35条第12項

条文の「都道府県知事」は、指定都市・中核市・児童相談所設置市の区域では、政令で定める事務についてその市の長に読み替わります(児童福祉法第59条の4第1項)。承認の申請書類や提出の時期は、内閣府令と自治体の運用で決まるため、所在地の担当課で確認してください。

確認の辞退に必要な予告期間(3か月以上)

私立保育所は、子ども・子育て支援法の特定教育・保育施設として市町村長の確認を受けています。同法附則第6条は、当分の間、私立保育所には施設型給付費ではなく、市町村が委託費として費用を支払い、その場合は第27条を適用しないと定めています。

支払いの名称は委託費でも、確認を受けた特定教育・保育施設であることは変わりません。なお、同法の本則には休止を定めた規定がなく、休止と確認の関係は条文からは読み取れないため、休止を考えるときは市町村へ確認してください。

  1. 確認の辞退は3か月以上の予告期間が要る

    特定教育・保育施設の設置者は、3か月以上の予告期間を設けて確認を辞退できます(同法第36条)。予告なしに辞退する仕組みではありません。

  2. 利用していた子どもへ便宜を提供する

    確認を辞退するときは、辞退の予告期間の開始日の前1か月以内に保育を受けていた子どもで、辞退の日以後も保育を希望する人に対し、必要な保育が継続して提供されるよう、他の施設の設置者その他の関係者との連絡調整その他の便宜を提供しなければなりません(同法第34条第5項)。

  3. 児童福祉法の承認と、確認の辞退は別の手続き

    承認は児童福祉法に基づいて都道府県知事が行い、確認の辞退は子ども・子育て支援法に基づいて市町村長の確認を外す手続きです。根拠法と窓口が異なるため、両方の担当課に時期をそろえて相談します。

取消しの手続き中に廃止すると、新たな認可に影響する

児童福祉法第35条第5項第4号は、認可の取消し処分の手続き(聴聞の通知)の後、または取消しの可否を決める検査の日から聴聞決定予定日までの間に、第12項の承認を受けて保育所を廃止した者を、新たな保育所の認可の欠格事由に挙げています(ほかの欠格事由は認可の欠格事由の一覧を参照)。当時の法人の役員等や管理者だった者も、同じ期間は欠格事由に当たります。

該当すると、廃止の承認の日から5年を経過するまで、新たな保育所の認可を受けられません。

「相当の理由がある廃止」は除かれるが、判断は条文だけでは決まらない

条文は、廃止について相当の理由がある者を欠格事由から除いています。どのような事情が相当の理由に当たるかは、条文には書かれていません。

取消しや指導監査の手続きが進んでいる施設は、廃止の時期を決める前に、承認の窓口である都道府県・指定都市等へ、新たな認可への影響を確認してください。

廃止・休止のときの委託費は、通知から読み取れない

施設型給付費等の支弁を定めた実施上の留意事項の通知は、月の途中で利用を終了した子どもの分を、翌月の支給時に併せて支弁または精算すると定めています。これは子ども1人ごとの月途中の終了の扱いです。

施設そのものを廃止・休止するときの委託費の精算や返還の方法は、この通知からは読み取れません。

廃止年度の委託費は、市町村の取扱いを先に確認する

委託費の使い道を定める経理の通知にも、廃止・休止のときの精算を定めた箇所は確認できませんでした。残った資金や積立金の扱いも、この記事では説明できません。

廃止・休止を決める前に、所在市町村の担当課へ、廃止の日が属する月の委託費の支払い方法と、年度の途中で廃止する場合の精算の有無を確認してください。

委託費の支払いの流れは、委託費・施設型給付費の請求書と支払時期で、積立資産などの扱いは委託費の弾力運用で説明しています。

試算での扱い

この試算ツールは、運営を続ける認可保育所の公定価格を、定員と年齢別の園児数から試算するものです。廃止・休止の手続き、廃止年度の委託費の精算、利用者の転園の調整は、試算の対象外です。

定員を減らして運営を続ける場合は、利用定員を変更したときの基本分単価で確認できます。事業を他の法人へ引き継ぐ場合は、合併・事業譲渡と利用定員の引き継ぎを参照してください。

よくある質問

私立の認可保育所は、届出だけで廃止できますか。

できません。児童福祉法第35条第12項は、都道府県知事の承認を受けることを求めています。届出で足りるのは、市町村が設置する施設の廃止・休止です。

確認の辞退は、いつまでに伝えればよいですか。

子ども・子育て支援法第36条は、3か月以上の予告期間を設けることを求めています。承認の申請書類や時期は、所在地の都道府県・指定都市等と市町村へ確認してください。

廃止する年度の委託費は、どう精算されますか。

この記事が確認した通知には、施設の廃止・休止のときの精算を定めた箇所がありません。市町村の取扱いを、廃止を決める前に確認してください。

運営を続ける場合の公定価格を試算する

定員と年齢別の園児数を入力すると、運営を続ける場合の公定価格の基本分単価を試算します。廃止・休止の手続きと委託費の精算は含まれないため、所在地の担当課へ確認してください。

公定価格の試算を開く

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」2件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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