解説

保育所の施設型給付費の額の通知・提供証明書と不正受給の通知(第14条・第19条)

確認を受けた保育所は、法定代理受領で施設型給付費を受けたときは保護者へその額を通知し、受けないときは提供証明書を交付します。保護者が偽りその他不正な行為で給付を受けたときは、市町村へ通知します。特定教育・保育施設の運営基準の第14条と第19条を、条文に沿って整理します。

給付額の通知と提供証明書は第14条、不正受給の通知は第19条に書かれている

市町村の確認を受けた保育所は、運営基準の第14条で保護者への給付額の通知か提供証明書の交付を、第19条で保護者の不正受給の市町村への通知を求められています。

運営基準は、特定教育・保育施設(保育所を含みます)が守る基準を定めた内閣府令です。

第14条は、施設が給付を受けた場合に保護者へ知らせる義務、第19条は、保護者の不正を市町村へ知らせる義務を定めています。

第14条と第19条の中身(確認日 2026-10-13)
条文求めていることどんな場面か
第14条第1項施設型給付費の額を、保護者へ通知する法定代理受領で施設型給付費の支給を受けたとき
第14条第2項提供した教育・保育の内容、費用の額その他必要な事項を記載した特定教育・保育提供証明書を、保護者へ交付する法定代理受領を行わずに、費用の額の支払を受けたとき
第19条遅滞なく、意見を付して、その旨を市町村へ通知する保護者が偽りその他不正な行為で施設型給付費の支給を受け、または受けようとしたとき

第14条:法定代理受領か、そうでないかで、保護者へ渡すものが変わる

第14条は、施設が給付を受ける方法によって、保護者へ通知するものと交付するものを分けています。

法定代理受領とは、子ども・子育て支援法第27条第5項に基づき、市町村が保護者に代わって、施設型給付費として保護者に支給すべき額の限度で、施設へ支払う仕組みです。

施設がこの方法で支給を受けたときは、第1項に従い、施設型給付費の額を保護者へ通知します。

施設が法定代理受領を行わず、費用の額の支払を受けたときは、第2項に従い、提供した教育・保育の内容、費用の額その他必要と認められる事項を書いた特定教育・保育提供証明書を、保護者へ交付します。

通知の方法・時期・様式は、条文には書かれていない

第14条は、通知する事項(施設型給付費の額)と、証明書に書く事項の骨格しか示していません。書面か電子かといった方法、通知する時期、様式は条文にありません。

通知や証明書の具体的な扱いは、所轄の市町村の条例・要綱や、市町村から示された様式で確かめます。この記事は様式を示しません。

第19条:保護者の不正は、遅滞なく、意見を付けて市町村へ通知する

第19条は、保護者の不正受給について、施設に市町村への通知を求めています。

対象は、特定教育・保育を受けている子どもの保護者が、偽りその他不正な行為によって施設型給付費の支給を受け、または受けようとしたときです。

施設は、遅滞なく、意見を付してその旨を市町村へ通知します。

条文は「遅滞なく」とだけ書いており、何日以内といった日数は示していません。

不正に当たるかの判断は、施設ではなく市町村の領域

第19条は通知の義務を定める条で、個別のできごとが「偽りその他不正な行為」に当たるかを判断する基準は示していません。

疑いのある事案に直面したときは、記録を整えたうえで所轄の市町村に相談します。この記事は個別の事案の判定をしません。

第19条の通知の記録は、完結の日から5年間保存する

運営基準の第34条第2項は、第19条の通知に係る記録を、完結の日から5年間保存する記録の1つに挙げています。

同じ項には、第12条の特定教育・保育の提供の記録、第30条第2項の苦情の記録、第32条第3項の事故の記録も並んでいます。

第14条の通知や証明書の写しを保存するかどうかは、第34条第2項の列挙には出てきません。保存の扱いは、市町村や会計の決まりに合わせて確かめます。

記録の整備と保存期間は保育所に備える帳簿と運営基準の記録の整備で、提供の記録は保育所の支給認定の確認と提供の記録で整理しています。

条例では「参酌すべき基準」で、自治体の定めを確かめる

第14条と第19条は、市町村が条例を定めるときに「従うべき基準」ではなく、「参酌すべき基準」の側に入っています。

運営基準の第1条は、従うべき基準として第5条、第6条(第5項を除く)、第7条、第13条、第15条、第24条から第27条まで、第32条、第35条、第36条などを列挙しています。第14条と第19条はこの列挙に入っていません。

条例を定めるときの位置づけ(運営基準 第1条)
区分第1条の定め第14条・第19条
従うべき基準第5条、第6条(第5項を除く)、第7条、第13条、第15条、第24条から第27条まで、第32条など含まれない
参酌すべき基準上記以外の運営基準の規定第14条・第19条が該当

参酌すべき基準は、市町村が条例を定めるときに参考にする基準です。通知や証明書、不正受給の通知の実際の定めは、所轄の市町村の条例で確かめます。

確認の順序

条例の定め、自園の給付の受け方、通知の流れの順に確かめます。

  1. 所轄の市町村の条例に、第14条・第19条に当たる定めがあるか確かめる

    参酌すべき基準のため、条例の書き方は自治体で異なることがあります。条例の該当箇所を、実際に開いて確かめます。

  2. 自園が施設型給付費をどの方法で受けているかを確かめる

    法定代理受領か、そうでないかで、保護者へ渡すものが通知か証明書かに分かれます。市町村との取り決めの書類で確かめます。

  3. 保護者への通知や証明書の方法・時期・様式を、市町村に確かめて一覧にする

    条文に書かれていない方法・時期・様式を、市町村の要綱や示された様式で確かめ、園内の手順として書き出します。

  4. 不正が疑われる事案が起きたときの連絡先と記録の取り方を、あらかじめ決めておく

    第19条の通知は「遅滞なく」とされているため、誰が、どの窓口へ、どの記録を添えて連絡するかを、事前に決めておきます。

次に知りたいことは、利用者負担額と上乗せ・実費の徴収の違いを整理した実費徴収と上乗せ徴収、保護者の申込みを断れない規定を整理した保育所の利用の申込みの拒否の禁止と選考、指導監査で見られる項目を整理した指導監査の確認表です。

この記事・試算で扱わないこと

この記事は運営基準の条文の説明で、個別の事案が不正に当たるかや、通知・証明書の様式の判定は行いません。

条例の内容と運用は、所轄の市町村に確認してください。

試算ツールも、運営基準を満たすかどうかの判定は対象外です。

よくある質問

施設型給付費の額は、保護者に通知する必要がありますか。

第14条第1項は、法定代理受領で施設型給付費の支給を受けたときに、保護者へその額を通知するよう定めています。法定代理受領を行わない場合は、第2項で提供証明書の交付を定めています。

法定代理受領とは何ですか。

子ども・子育て支援法第27条第5項に基づき、市町村が保護者に代わって、施設型給付費として保護者に支給すべき額の限度で、施設へ支払う仕組みです。

不正受給を市町村へ通知するのは、何日以内ですか。

第19条は「遅滞なく」とだけ書いており、日数は示していません。具体的な扱いは、所轄の市町村に確認してください。

第14条と第19条は、条例でも同じ内容になりますか。

運営基準の第1条では、第14条と第19条は参酌すべき基準の側にあります。実際の内容は、所轄の市町村の条例で確認してください。

この試算ツールで、通知や証明書の義務を確認できますか。

できません。この試算は公定価格(委託費)の算定に特化しており、運営基準を満たすかどうかの判定は対象外です。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていないことも表示されます。

公定価格の試算を開く

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」2件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

  • 公定価格とは・決まり方:保育所の計算方法と基本分単価の内訳

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    関連する理由:

  • 保育所が利用の申込みを断れない場合(運営基準第6条・第7条)

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  • 小規模保育事業A型・B型の管理者を配置していない場合の調整(要件・兼務・認定)

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