虐待等の禁止と秘密保持は、2つの省令に同じ趣旨で書かれている
保育所の職員の虐待等の禁止は、特定教育・保育施設の運営基準の第25条と、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第9条の2に定められています。秘密保持は、運営基準の第27条と、児童福祉施設の基準の第14条の2です。
どちらの省令も、子どもに有害な影響を与える行為をしないことと、業務上知った秘密を漏らさないことを、職員に求めています。
| 内容 | 運営基準(特定教育・保育施設) | 児童福祉施設の基準 |
|---|---|---|
| 虐待等の禁止 | 第25条 | 第9条の2 |
| 秘密保持等 | 第27条 | 第14条の2 |
運営基準は、市町村が条例を定めるときの基準として内閣府令が示すものです。第1条第2号は、条例を定めるときに従うべき基準の条として第25条と第27条を挙げています。第3条は、その列挙に入っていません。
禁止されるのは、児童福祉法第33条の10第1項各号の行為と有害な行為
運営基準の第25条は、職員が子どもに対して、児童福祉法第33条の10第1項各号に掲げる行為その他の心身に有害な影響を与える行為をしてはならないと定めています。
児童福祉施設の基準の第9条の2も、同じ書き方です。
第33条の10第1項の各号は、次の4つです。
| 号 | 行為 |
|---|---|
| 第1号 | 身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加えること |
| 第2号 | わいせつな行為をすること、またはさせること |
| 第3号 | 心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、長時間の放置、同居人や他の児童による前2号・次号の行為の放置、そのほか養育や業務を著しく怠ること |
| 第4号 | 著しい暴言、著しく拒絶的な対応など、著しい心理的外傷を与える言動を行うこと |
具体的な保育の場面が、この4つに当たるかは、記事では判断できない
条文は行為の類型を挙げるだけで、個々の場面の線引きは書いていません。「その他心身に有害な影響を与える行為」も、事実に即した判断が要ります。
園内の事例の検討は、所轄の市町村や児童福祉の担当窓口が示す資料や、園の規程にもとづいて行います。この記事は個別の判定をしません。
運営規程の第10号に、虐待の防止のための措置を書く
運営規程に定める事項のうち第10号が、虐待の防止のための措置に関する事項です。
これは運営基準の第20条と、児童福祉施設の基準の第13条第2項の両方に入っています。
運営基準の第3条第4項は、人権の擁護と虐待の防止のため、責任者を設置するなどの体制の整備と、職員への研修などの措置を講ずるよう努めることを求めています。努力義務の書き方です。
運営規程の11項目と、保護者への説明・掲示は保育所の運営規程と重要事項の説明・掲示で整理しています。児童福祉施設の基準の第13条第2項にも、保育所の規程の11項目が同じ並びで書かれています。
秘密保持は、在職中の職員と管理者、退職した職員、情報の提供先に分けて読む
運営基準の第27条は、秘密保持について3つのことを定めています。
第1項は、職員と管理者が、正当な理由なく、業務上知った子どもや家族の秘密を漏らさないことです。
第2項は、園が、職員だった者が秘密を漏らさないよう、必要な措置を講じることです。
第3項は、小学校、他の特定教育・保育施設など、地域子ども・子育て支援事業を行う者、そのほかの機関に子どもの情報を提供するとき、あらかじめ文書で保護者の同意を得ておくことです。
| 項 | 対象 | 求めていること |
|---|---|---|
| 第1項 | 職員・管理者(在職中) | 正当な理由なく、業務上知った子どもまたは家族の秘密を漏らさない |
| 第2項 | 園(職員だった者について) | 正当な理由なく秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じる |
| 第3項 | 園(情報の提供先の機関について) | 小学校、他の特定教育・保育施設等、地域子ども・子育て支援事業を行う者その他の機関に情報を提供するときは、あらかじめ文書で保護者の同意を得ておく |
児童福祉施設の基準の第14条の2は、職員の秘密保持(第1項)と、職員だった者への措置(第2項)を定めています。
他の機関へ情報を提供するときの文書による同意は、この条文には書かれておらず、運営基準の第27条第3項の定めです。
「正当な理由」と「必要な措置」の中身は、条文では決まらない
どの場合が正当な理由に当たるか、職員だった者への措置として何をするかは、条文に書かれていません。
就業規則や入職・退職時の取り決めに、秘密保持の内容を書いているかを確かめ、情報提供の同意書の様式は市町村の指導の資料と見比べます。
確認の順序
禁止される行為の周知、運営規程、秘密保持の取り決め、情報提供の同意書の順に確かめます。
職員が、禁止される行為の類型を知る機会があるか確かめる
第33条の10第1項各号の4類型と、その他の有害な行為を、研修や園内の資料で共有しているかを見ます。
運営規程の第10号に、虐待の防止の措置が書かれているか確かめる
書かれた措置の中身が、実際の運用と合っているかを見ます。
秘密保持の取り決めが、在職中と退職後の両方に及ぶか確かめる
第27条の第1項と第2項に当たる内容を、例えば就業規則や誓約書でどう扱っているかを見ます。
小学校などへ情報を渡すときの、保護者の文書による同意の様式を確かめる
渡す相手と情報の範囲が、同意書から読み取れるかを見ます。
この記事・試算で扱わないこと
この記事は省令の条文の説明で、個別の事案が虐待等に当たるかどうかや、個々の園の取り決めが基準を満たしているかの判定は行いません。
条例の内容と運用は、所轄の市町村に確認してください。
試算ツールも、運営基準を満たすかどうかの判定は対象外です。
よくある質問
- 保育所の職員が子どもにしてはいけない行為は、どこに書かれていますか。
運営基準の第25条と、児童福祉施設の基準の第9条の2です。児童福祉法第33条の10第1項各号の行為と、そのほか心身に有害な影響を与える行為が対象です。
- 退職した職員の秘密保持も、園の義務ですか。
運営基準の第27条第2項は、園が、職員だった者が正当な理由なく秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じることを求めています。措置の中身は、条文には書かれていません。
- 小学校へ子どもの情報を伝えるとき、保護者の同意は要りますか。
運営基準の第27条第3項は、小学校などの機関に子どもの情報を提供するときは、あらかじめ文書で保護者の同意を得ておくことを求めています。
- 虐待の防止の研修は、義務ですか。
運営基準の第3条第4項は、責任者の設置などの体制整備と、職員への研修などの措置を講ずるよう努めることを求めており、努力義務の書き方です。条例の定めは、市町村で確認してください。
- この試算ツールで、虐待防止や秘密保持の基準を確認できますか。
できません。この試算は公定価格(委託費)の算定に特化しており、運営基準を満たすかどうかの判定は対象外です。
自園の条件で試算する
ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧
この記事が参照した一次資料
- 特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の運営に関する基準
平成26年内閣府令第39号(最終改正: 令和8年内閣府令第29号、令和8年4月1日施行)/複数年度対象外/確認日 2026-08-20
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準
昭和23年厚生省令第63号/複数年度対象外/確認日 2026-09-28