最初の違い:員数の比率は同じ、学級と面積が加わる
保育所の基準は「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」、幼保連携型認定こども園の基準は「幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準」(内閣府・文部科学省・厚生労働省令)にあります。年齢別の職員の員数は、どちらも同じ比率です。違いは、認定こども園が学校としての性格を併せ持つため、学級ごとの担当職員と、学級数に応じた園舎・園庭の面積が追加で求められる点にあります。
この記事は国の基準(省令)を比べたものです。実際の認可や運営では、自治体の条例や指導監査の運用が重なることがあるため、個別の園の判断は所轄の自治体に確認してください。
職員配置:年齢別の員数は同じ比率
| 園児の区分 | 保育所(保育士) | 幼保連携型認定こども園(教育・保育に直接従事する職員) |
|---|---|---|
| 満4歳以上 | おおむね25人につき1人以上 | おおむね25人につき1人以上 |
| 満3歳以上満4歳未満 | おおむね15人につき1人以上 | おおむね15人につき1人以上 |
| 満1歳以上満3歳未満 | おおむね6人につき1人以上 | おおむね6人につき1人以上 |
| 0歳(満1歳未満) | おおむね3人につき1人以上 | おおむね3人につき1人以上 |
| 最低人数 | 保育所1つにつき2人を下れない | 常時2人を下れない |
認定こども園の員数は、区分ごとに園児数に応じて定めた数を合算した数とされています(第5条第3項の表の備考)。また、満3歳以上の区分(満4歳以上と満3歳以上満4歳未満)の員数が学級数を下るときは、学級数に相当する数が員数になります。
保育所の員数を満たす職員は「保育士」、認定こども園は「保育教諭等」などの職名で数えます。1人に限って保育士(保育教諭)とみなす特例には、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員などの専門職を対象とするもの(省令第33条第3項、認定こども園は第5条第3項の表の備考)のほか、別の附則に基づく看護師等の特例があり、施設類型ごとに条件が異なります。みなし保育士(看護師)の特例と、年齢別の確かめ方を扱う年齢別配置基準の確認を参照してください。
認定こども園だけに加わる職員の条件
学級ごとに専任の保育教諭等を1人以上
各学級ごとに、専任の主幹保育教諭、指導保育教諭、主務保育教諭又は保育教諭を1人以上置きます(第5条第1項)。特別の事情があるときは、専任の副園長・教頭が兼ねるか、学級数の3分の1の範囲内で専任の助保育教諭・講師に代えることができます(同条第2項)。
園長が専任でない場合は員数を1人増やす
年齢別の員数の表の備考に、園長が専任でない場合は、原則として表の員数を1人増加するとあります。保育所の基準には、同じ定めはありません。
調理員は、全部を委託する場合を除き置く
調理員を置く定めは保育所と認定こども園の両方にあります。調理業務の全部を委託する場合は、置かないことができます。
保育教諭は、幼稚園教諭免許と保育士資格の併有が原則
幼保連携型認定こども園の保育教諭は、幼稚園教諭免許状と保育士資格の併有が原則です。経過措置として、どちらか一方だけで保育教諭になれる期間が令和11年度末(2030年3月31日)まで設けられています(認定こども園法附則第5条。内閣府・文部科学省の資料で確認)。
「保育所と同じ比率」を「同じ人数で足りる」と読まない
比率は同じでも、認定こども園は学級数に応じた専任の保育教諭等が別に必要で、園長が専任でなければ員数が1人増えます。保育所の人数をそのまま当てはめると、不足になる場合があります。
自園の学級数、園長の専任・兼任、満3歳以上の園児数を並べ、員数と学級数の大きいほうを確認する。
設備:保育室の面積は同じ、園舎・園庭は追加
| 項目 | 保育所 | 幼保連携型認定こども園 |
|---|---|---|
| 乳児室 | 1人につき1.65平方メートル以上 | 満2歳未満でほふくしない園児1人につき1.65平方メートル以上 |
| ほふく室 | 1人につき3.3平方メートル以上 | 満2歳未満でほふくする園児1人につき3.3平方メートル以上 |
| 保育室・遊戯室 | 満2歳以上の幼児1人につき1.98平方メートル以上 | 満2歳以上の園児数に1.98平方メートルを乗じた面積以上 |
| 屋外の遊び場 | 満2歳以上の幼児1人につき3.3平方メートル以上(付近の代替場所も可) | 園庭を備える。面積は学級数の表と、3.3平方メートル×満3歳以上の園児数のうち大きいほう、に満2歳児分(3.3平方メートル×人数)を加えた面積以上 |
| 園舎の面積 | 全体の面積を定める規定は別になし(上の室ごとの面積) | 学級数の表の面積(1学級180、2学級以上は320+100×(学級数−2)、単位は平方メートル)と、満3歳未満の園児数による面積の合算以上 |
| 保育室の数 | 定めなし | 満3歳以上の園児に係る保育室の数は学級数以上 |
| 必要な設備 | 乳児・2歳未満は乳児室等・医務室・調理室・便所、2歳以上は保育室等・屋外遊戯場・調理室・便所 | 職員室、保育室、遊戯室、保健室、調理室、便所、飲料水用設備等(満2歳未満の保育を必要とする園児を入園させる場合は乳児室又はほふく室) |
園庭の学級数の表は、2学級以下で330+30×(学級数−1)、3学級以上で400+80×(学級数−3)平方メートルです(第6条第7項)。
園舎は2階建以下、保育室等は1階に設けるのが原則です。条件を満たす場合に、保育室等を2階以上に設けられます。この条件は、保育所の設備の基準(耐火建築物など)を準用します。
調理室は、満3歳以上の園児の食事を外部搬入する場合や、園内調理の園児が20人に満たない場合などに、備えなくてよい例外があります(第7条第3項・第4項)。
移行を考える保育所が見落としやすい点
保育所の基準には、学級数に応じた園舎・園庭の面積や、学級数以上の保育室という定めがありません。認定こども園へ移行する場合は、職員の員数だけでなく、面積と保育室の数の条件を、現在の園舎・園庭で満たせるか確認する必要があります。
学級の編成案を作り、園舎・園庭の面積を表の式に当てはめて、不足の有無を所轄の自治体に確認する。
確認に使った資料と、この記事で扱わない点
確認した資料は、国の省令と、内閣府・文部科学省の資料です。
具体的には、e-Gov法令検索の「幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準」第5条〜第7条と、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第32条・第33条です(2026年10月15日確認)。保育教諭の資格の特例は、認定こども園法附則第5条に関する内閣府・文部科学省の資料によります。
この記事は、国の省令の比較です。自治体の条例で定める基準、年齢別の配置を満たしたときの公定価格の加算、副園長・教頭・養護教諭など努力義務の職員は扱いません。移行に伴う手続きは認定こども園へ移行するときの試算で整理しています。
- 幼保連携型認定こども園の職員配置は、保育所より厳しいですか。
年齢別の員数の比率は同じです。ただし、学級ごとに専任の保育教諭等が必要なことと、園長が専任でない場合に員数が1人増えることは、認定こども園だけの条件です。
- 園庭の面積はどう決まりますか。
学級数に応じた表の面積と、3.3平方メートルに満3歳以上の園児数を乗じた面積のうち大きいほうに、満2歳児の人数分(1人3.3平方メートル)を加えた面積以上です。
認可保育所の公定価格を試算する
この試算が扱うのは認可保育所です。認定こども園の給付額や、職員配置・設備基準の適合は試算結果に含まれません。
認可保育所の公定価格を試算するほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧
この記事が参照した一次資料
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準
昭和23年厚生省令第63号/複数年度対象外/確認日 2026-09-28
- 幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準
平成26年内閣府・文部科学省・厚生労働省令第1号/複数年度対象外/確認日 2026-09-28
- 認定こども園法附則第5条(保育教諭等の資格の特例)/内閣府・文部科学省の保育教諭の資格特例に関する資料
令和6年法律第53号による改正後の認定こども園法附則/複数年度対象外/確認日 2026-09-16