解説

保育士登録の欠格事由・取消し・名称独占の罰則(児童福祉法第18条の5ほか)

保育士として働くには、資格を持つだけでなく保育士登録が必要です。児童福祉法が定める保育士になれない人(欠格事由)、登録が取り消される場合、取消し後に再び登録できる条件、保育士の名称を使えない人への罰則を、e-Govの条文で整理します。保育所の配置基準で保育士に数えられる人との関係も確認します。

保育士になるには、資格のほかに保育士登録が必要

保育士は、保育士登録を受けて保育士の名称を用いて保育を業とする者と、児童福祉法が定義しています(第18条の4)。

資格を得る道は、指定保育士養成施設の卒業、保育士試験の合格、地域限定保育士としての一定期間の従事の3つです(第18条の6)。ただし資格を得ただけでは足りず、保育士となる資格を有する者が保育士となるには、都道府県の保育士登録簿に氏名、生年月日などの登録を受けなければなりません(第18条の18第1項)。登録簿は都道府県に備えられ、登録をすると保育士登録証が交付されます(同条第2項・第3項)。

保育士になるまでの条文の流れ(児童福祉法。e-Gov 確認日 2026-10-15)
段階内容条文
資格を得る養成施設の卒業・保育士試験の合格・地域限定保育士としての従事第18条の6
欠格事由に当たらない第18条の5の各号に当たる者は保育士になれない第18条の5
登録を受ける都道府県の保育士登録簿に登録し、登録証が交付される第18条の18

登録の時期と、配置基準の保育士の数え方との関係は保育士の登録時期と配置基準の数え方で整理しています。この記事は、登録が認められない場合と取り消される場合を扱います。

保育士になれない人は、第18条の5の5つの号に定められている

欠格事由は、心身の故障、拘禁刑以上の刑、罰金刑、2種類の登録取消しの5つです。

条文は、次のいずれかに当たる者は保育士となることができないと定めています(第18条の5)。

保育士の欠格事由(児童福祉法第18条の5。e-Gov 確認日 2026-10-15)
号内容期間の定め
第1号心身の故障により保育士の業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの条文に期間の定めなし
第2号拘禁刑以上の刑に処せられた者条文に期間の定めなし
第3号児童福祉法などの児童の福祉に関する法律のうち政令で定めるものにより罰金の刑に処せられた者刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない間
第4号保育士登録を第18条の19第1項(第2号・第3号に係る部分)または第2項により取り消された者取消しの日から3年を経過しない間
第5号地域限定保育士登録を取り消された者(第4号と同じ考え方)取消しの日から3年を経過しない間

第2号に期間の定めがないことと、刑の効力が消える仕組みは別の問題

第18条の5の条文は、拘禁刑以上の刑について期間を置いていません。刑の言渡しの効力が一定期間で失われる刑法上の仕組みとの関係は、この記事では扱いません。

個別の人が欠格事由に当たるかどうかは、保育士登録を行う都道府県に確認してください。この記事は個別の判断をしません。

登録は、取り消さなければならない3つの場合と、取り消すことができる場合がある

都道府県知事は、取り消さなければならない場合(第1項)と、取り消すことができる場合(第2項)を分けています(第18条の19)。

第1項は、次のいずれかに当たるときは登録を取り消さなければならないと定めています。第2項は、保育士が信用失墜行為の禁止または秘密保持の規定に違反したときに、登録の取消し、または期間を定めた名称の使用停止を命ずることができるとしています。

保育士登録の取消しの場合(児童福祉法第18条の19。e-Gov 確認日 2026-10-15)
場合知事の対応条文
第18条の5第1号〜第3号のいずれかに当たるに至った(心身の故障・拘禁刑以上・罰金刑)取り消さなければならない第1項第1号
虚偽または不正の事実に基づいて登録を受けた取り消さなければならない第1項第2号
登録を受けた日以後に児童生徒性暴力等を行ったと認められる取り消さなければならない第1項第3号
保育士の信用を傷つける行為の禁止、または業務上知り得た秘密の漏えいの禁止に違反した取消し、または期間を定めた名称の使用停止を命ずることができる第2項

第1項第3号の「児童生徒性暴力等」は、条文が、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律(令和3年法律第57号)第2条第3項に規定するものと定めています。

信用失墜行為の禁止は第18条の21、秘密保持は第18条の22です。園の職員としての秘密保持と虐待の禁止は、保育所の職員の虐待等の禁止と秘密保持で運営基準の側から整理しています。

取消しから3年は欠格になりうる。性暴力は3年後も審議会の意見を聴く

取消しの理由が一般の欠格事由か、児童生徒性暴力等かで、再び登録できる条件が違います。

第18条の5第4号により、第18条の19第1項第2号・第3号または第2項で取り消された者は、取消しから3年を経過しない間は保育士になれません。第1項第1号(欠格事由に当たるに至った)による取消しは第4号の対象ではなく、第1号〜第3号のどれかに当たる限り、第18条の5の各号により保育士になれません。

児童生徒性暴力等を理由に取り消された者などを特定登録取消者といい、3年の経過後にも、都道府県知事は、行った内容と改善更生の状況などを踏まえて登録を行うのが適当と認められる場合に限り、登録を行うことができます(第18条の20の2第1項)。

  1. 対象になるのは、第18条の5の欠格事由に当たらない特定登録取消者

    児童生徒性暴力等を行ったことで保育士登録を取り消された者と、取り消された者のうち登録後の行為が児童生徒性暴力等だったと後で判明した者です(第18条の20の2第1項各号)。第18条の5各号に当たる者は除かれます。

  2. 都道府県児童福祉審議会の意見を聴く

    知事は、登録を行うにあたって、あらかじめ都道府県児童福祉審議会の意見を聴かなければなりません(同条第2項)。

  3. 必要なら、取消しをした知事などへ情報の提供を求める

    知事は、必要があると認めるときは、取消しをした都道府県知事などに、行った行為の内容を調査して判断に必要な情報の提供を求めることができます(同条第3項)。

令和8年12月25日に施行されるこども性暴力防止法による犯罪事実確認は、これとは別の仕組みです。認可保育所が採用や配置転換のときに行う確認は、こども性暴力防止法が認可保育所に求める措置で整理しています。

保育士でない人が保育士の名称を使うと、30万円以下の罰金の対象になる

保育士でない者は、保育士またはこれに紛らわしい名称を使ってはならないと定められています(第18条の23)。違反した者は、30万円以下の罰金に処するとされています(第62条第2項第2号)。

名称の使用停止を命じられた者が、停止期間中に保育士の名称を使って保育や保護者への保育指導の業務に従事した場合も、同じ30万円以下の罰金の対象です(同項第1号)。

秘密保持の規定(第18条の22)に違反した者は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金とされ、告訴がなければ公訴を提起できません(第61条の2)。

  1. 名称独占であって、業務独占ではない

    第18条の23が禁じているのは、保育士またはこれに紛らわしい名称の使用です。保育の仕事そのものを保育士に限る規定ではありません。園が保育士以外の人を雇うこと自体は、この条文では制限されていません。

  2. 地域限定保育士には別の定めがある

    地域限定保育士登録を受けた者は、第18条の23にかかわらず、登録をした認定地方公共団体の区域内に限って地域限定保育士の名称を用いることができます(第18条の28)。

配置基準の保育士は登録を受けた人。数えられる例外は別に定める

保育所に置く保育士の数は、設備運営基準の第33条第2項が年齢別の人数で定めています。

乳児おおむね3人につき1人以上、満1歳以上満3歳に満たない幼児おおむね6人につき1人以上、満3歳以上満4歳に満たない幼児おおむね15人につき1人以上、満4歳以上の幼児おおむね25人につき1人以上で、保育所1つにつき2人を下ることはできません。

基準は保育士を別に定義しておらず、条文の読み方としては、児童福祉法が定義する保育士(登録を受けた者)を指すと読めます。その場合、登録のない人は、保育士の資格を持っていても、この条文の保育士には当たりません。

基準が保育士に数えることを認めているのは、同条第3項の特定理学療法士等(1人に限る)のほか、認定地方公共団体の区域内などの保育所での地域限定保育士など、基準に別の定めがある場合です。

配置基準の年齢別の数え方は年齢別の配置基準、みなし保育士の特例は保育士の配置の特例3種類で整理しています。登録が途中で取り消された場合に、公定価格や配置基準がどう変わるかは、所轄の自治体に確認が必要です。

  1. 採用時に確認する

    保育士登録は、都道府県の登録簿への登録と、登録証の交付で成り立っています(第18条の18)。採用する側が登録の有無を確認する方法は、保育士データベースの活用を含め、こども性暴力防止法が認可保育所に求める措置の記事で扱っています。

  2. 自治体の確認を受ける前提で考える

    配置基準を満たしているかどうかは、指導監査などで所轄の自治体が確認します。登録の有効性そのものの判断は、登録をした都道府県が行います。

よくある質問

保育士試験に合格すれば、すぐ保育士と名乗れますか。

名乗れるのは、保育士登録を受けた後です。保育士となる資格を有する者が保育士となるには、保育士登録簿への登録を受けなければなりません(第18条の18第1項)。登録前に保育士の名称を使うと、第18条の23の規定に違反する場合があります。

罰金刑を受けたことがあると、保育士になれませんか。

第18条の5第3号は、児童福祉法などの児童の福祉に関する法律のうち政令で定めるものによる罰金刑について、刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない間は保育士になれないと定めています。どの法律が政令に当たるかや個別の判断は、登録を行う都道府県に確認してください。

登録が取り消されたら、一生保育士になれませんか。

取消しの理由によって異なり、不正な登録や児童生徒性暴力等、信用失墜行為などによる取消しは、取消しから3年を経過しない間が欠格の対象です(第18条の5第4号)。欠格事由に当たるに至った取消しは、その事由に当たる限り保育士になれません。児童生徒性暴力等による取消しなどは、知事が審議会の意見を聴いたうえで、登録が適当と認めた場合に限って登録を行うことができます(第18条の20の2)。

この試算ツールで、保育士の登録や欠格事由を確認できますか。

できません。この試算は公定価格(委託費)の算定に特化しており、個々の職員の登録の有効性や欠格事由は対象外です。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていないことも表示されます。

公定価格の試算を開く

虐待の通報義務は保育所等の職員による虐待の通報義務で、指導監査での確認項目は指導監査の確認表で整理しています。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

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