解説

子育て短期支援事業実施要綱で、保育所と保育士が担える役割(ショートステイ・トワイライトステイ、令和8年4月8日の一部改正)

国の子育て短期支援事業実施要綱が、実施施設に保育所を挙げていること、保育士を「保護を適切に行うことができる者」に含めていること、付き添いや事故報告の留意事項を、こども家庭庁の通知の範囲で整理します。

子育て短期支援事業の要件は、成育局長通知の「実施要綱」に書かれている

子育て短期支援事業の実施について、こども家庭庁成育局長は各都道府県知事へ通知を出しています(こ成環第103号、令和6年3月30日)。

別紙の「子育て短期支援事業実施要綱」は令和6年4月1日から適用され、令和7年4月1日(こ成環第161号)と令和8年4月8日(こ成環第236号)に一部改正されています。

平成26年5月29日付けの旧通知(雇児発0529第14号)は、令和6年3月31日限りで廃止されました。

実施主体は市町村で、市町村が認めた者へ委託を行うことができるとされています。

事業は、保護者の疾病その他の理由で家庭での養育が一時的に困難になった場合などに、児童養護施設その他の実施施設等で、一定期間、養育・保護その他の支援を行うものです。

事業の種類は、短期入所生活援助(ショートステイ)事業と、夜間養護等(トワイライトステイ)事業の2つです。

この記事は、通知のうち、保育所と保育士に関わる部分を扱います。費用の負担や補助の金額は扱いません。実施施設になれるか、委託を受けられるかは、所在地の市町村に確認してください。

ショートステイとトワイライトステイは、預かる時間帯と場面が違う

子育て短期支援事業の2つの種類(通知の記載)
種類どんな場面か支援の内容
短期入所生活援助(ショートステイ)保護者の疾病・疲労、育児の負担の軽減が必要な場合、児童自身が一時的に保護者と離れることを希望する場合、経済的な理由で緊急一時的に親子を保護する場合など実施施設等で養育・保護を行う。必要に応じて親子を短期間入所させる
夜間養護等(トワイライトステイ)保護者が仕事その他の理由で平日の夜間または休日に不在となり、家庭での養育が困難な場合など実施施設等で児童を保護し、生活指導、食事の提供等を行う。必要に応じて親子を短期間入所させる

親子を短期間入所させるときの支援として、通知は保護者のレスパイト・ケア、育児不安の解消や養育技術の提供等のための相談・支援、育児・家事等の協働による保護者のエンパワメント支援などを挙げています。

ショートステイの利用の期間は、保護者の心身の状況や児童の養育環境などを勘案して市町村が必要と認める期間です。ただし、過度に長期間とならないようにすることが求められています。

実施施設の例に保育所が入り、「保護を適切に行うことができる者」に保育士が含まれる

通知が示す実施施設等は2種類です。

1つ目は、児童養護施設、母子生活支援施設、乳児院、保育所、ファミリーホーム等の、住民に身近で適切に保護することができる施設です。

2つ目は、里親や、保護を適切に行うことができる者として市町村長が適当と認めた者などです。

通知は、「その他の保護を適切に行うことができる者」には保育士及び子育て支援員を含むと書いています。

「市町村長が適当と認めた者」については、市町村長が研修を受講するなどして保護を適切に行うことができると考えられる者を認めることが望ましい、とされています。

保育所が実施施設の例に挙がっていても、実施できるとは限らない

通知は実施施設の例に保育所を挙げていますが、個々の保育所が実施施設になれるかどうかは、通知の本文からは決められません。実施主体は市町村であるため、市町村の対応によると考えられます。保育所の設備や人員が、この事業の受け入れに合うかどうかも、通知からは分かりません。

実施を検討するときは、所在地の市町村に、募集の有無、受け入れの条件、費用の負担を確認する。

市町村または実施施設が、里親等へ事業を委託する場合の留意点も書かれています。

事業は、委託された者の居宅で、または児童の居宅に派遣して行います。市町村または施設は、委託先となり得る者の名簿をあらかじめ作成し、委託を受けた里親等には、電話等で養育状況を把握し、必要に応じて助言や相談支援を行います。

付き添い、安全、事故報告:保育所から見て関わる留意事項

通知は、児童の安全性の確保や利用者の負担軽減のため、保護者が児童に付き添うことが困難な場合などに、居宅から実施施設等の間や、実施施設等から保育所や学校等の間について、職員による児童への付き添いの実施に努めるとしています。

この事業を利用する児童が、できる限り日常的な学校生活を送れるよう、必要に応じて通学の際の送迎支援を行うことも書かれています。

事業の実施にあたっての留意事項(通知の記載の一部)
項目通知の内容
安全の確保利用する者と関係者の安全性の確保に十分配慮する
事故が生じた場合「教育・保育施設等における事故の報告等について」(令和7年3月21日付けこ成安第44号・6教参学第51号)に従い、速やかに報告する
事故への備え補償保険に加入するなど、児童の事故に備える
児童から利用の相談を受けた場合実施施設等は、児童の意向を確認し、速やかに、児童の居住市町村へ児童の状況等を連絡する

利用の申請があった場合、市町村は速やかに決定を行います。特に緊急を要する場合は、申請等の手続きを事後にするなど、弾力的な運営に努めるとされています。

ひとり親家庭、低所得世帯、保護者が障害を有する家庭などから申請があった場合は、優先的に取り扱うなど特別の配慮をするとされています。

よくある質問

保育所は、子育て短期支援事業の実施施設になれますか。

通知は、実施施設の例に保育所を挙げています。ただし、個々の保育所が実施施設になれるかどうかは通知から決められません。実施主体は市町村のため、所在地の市町村に、募集の有無と条件を確認してください。

保育士は、この事業で児童の養育・保護を担えますか。

通知は、「その他の保護を適切に行うことができる者」に保育士と子育て支援員を含むとしています。委託を受けられるかどうかや、必要な研修は、市町村の定めによります。

この事業の費用は、公定価格の試算に入りますか。

入りません。この試算ツールは公定価格(施設型給付費・委託費)の算定のみを行い、子育て短期支援事業の補助は試算に含めていません。国の補助事業の全体像は、保育対策総合支援事業などの補助メニュー一覧で整理しています。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事は、令和8年4月8日に一部改正された子育て短期支援事業実施要綱のうち、事業の目的・実施主体・種類・実施施設等と、留意事項の一部を扱います。費用・補助の規定、通知が引用する別の通知の中身、留意事項の全項目は照合していません。その後の改正も照合していません。

次に知りたいこと:ファミリー・サポート・センター事業実施要綱の実施要件、利用者支援事業実施要綱の類型と職員要件、一時預かり事業の補助は、公定価格の加算に含まれるか。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

「公定価格と別の補助・費用の制度を切り分けたいとき」の解説一覧へ