解説

ファミリー・サポート・センター事業実施要綱の実施要件(基本事業・病児・緊急対応強化事業、令和8年4月8日の第二次改正)

国のファミリー・サポート・センター事業実施要綱が定める基本事業の必須事項(会員20人以上・提供会員の講習24時間の目安)と、病児・緊急対応強化事業の要件(医療アドバイザー・1日8時間超の受付・預かりは1人まで)を、こども家庭庁の通知の範囲で整理します。

ファミリー・サポート・センター事業の要件は、成育局長通知の「実施要綱」に書かれている

子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)の実施について、こども家庭庁成育局長は各都道府県知事へ通知を出しています(こ成環第120号、令和6年3月30日)。

別紙の「実施要綱」は令和6年4月1日から適用されます。その後、令和7年4月1日(こ成環第135号)と令和8年4月8日(こ成環第194号)に改正されています。

この通知の適用に伴い、平成26年5月29日付けの旧通知(雇児発0529第17号)は廃止されました。

事業の目的は、乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦等を会員として、児童の預かりの援助を受けたい者と援助を行いたい者の相互援助活動に関する連絡・調整等を行うことです。

実施主体は市町村で、市町村が適切と認めた者へ委託等を行うことができるとされています。

保育所を運営する法人は、この「委託等」の相手になる可能性がありますが、委託するかどうかは市町村が決めます。

この記事は、通知が定める事業の中身と実施の要件を扱います。補助の金額・補助率は扱いません。委託の可否や条件は、所在地の市町村に確認してください。

基本事業:必須の3つの業務と、会員数20人以上

基本事業は、会員組織のファミリー・サポート・センターを設立して行います。

事業内容のうち、ア〜ウの3つは全て実施が必須で、会員数は20人以上とされています。エとオは必須とは書かれていません。

基本事業の事業内容(通知の記載)
項目内容必須かどうか
ア会員の募集、登録その他の会員組織業務必須
イ相互援助活動の調整・把握等(事故が発生した場合に、円滑な解決に向け、会員間の連絡等を行うことを含む)必須
ウ会員に対して相互援助活動に必要な知識を付与する講習会の開催必須
エ会員の交流を深め、情報交換の場を提供するための交流会の開催必須とは書かれていない
オ子育て支援関連施設・事業(乳児院、保育所、児童館、子育て短期支援事業、地域子育て支援拠点事業、病児保育事業等)との連絡調整必須とは書かれていない

保育所は、オの連絡調整の相手として名前が挙がっています。

相互援助活動の内容にも、保育施設の保育開始前や保育終了後のこどもの預かりと、保育施設等までの送迎が、放課後児童クラブ終了後の預かりなどと並んで書かれています。

本部は各市町村に1か所を設置し、支部は政令指定都市では区ごとに1か所、その他の市町村では地域の実情に応じて置くことができます。支部を置いた場合は、別途加算の対象とされています。

借り上げた施設の賃借料や備品購入費は、補助の対象にならない

こどもを預かる場所は、会員の自宅、児童館や地域子育て支援拠点等、こどもの安全が確保できる場所とされています。ファミリー・サポート・センターが借り上げた施設での預かりも可能ですが、その施設の賃借料や備品購入等に係る経費は、補助の対象としないと書かれています。

保育所の空きスペースを預かりの場所として提供する話が出たときは、賃借料や備品費が補助でまかなわれる前提にしない。市町村に、費用の負担の考え方を確認する。

提供会員の要件:預かる人数、講習、虐待や不適切な行為の確認

一度に預かることができるこどもの人数は、提供会員1人につき原則として1人です。やむを得ず複数のこどもを預かる場合は、提供会員の経験やこどもの年齢等を考慮し、安全面に十分配慮するとされています。

相互援助活動は、依頼会員と提供会員との請負または準委任契約に基づくとされ、報酬は原則として会員間で決めます。会則等で、適正と認められる額を報酬の目安として定めることもできます。

会員が行う活動中のこどもの事故に備え、補償保険に加入することも定められています。

提供会員を新たに登録するときは、過去に虐待や不適切な行為を行っていないか、通知の別添1を参考に確認し、できる限り把握に努めます。そのような行為が確認できた場合は、登録を差し控えます。登録済みの会員についても、少なくとも年度に1回は確認・整理し、虐待や不適切な行為を行った提供会員は、速やかに登録を取り消すとされています。

提供会員への講習は、緊急救命講習(AEDの使い方や心肺蘇生の実習を含む)と事故防止に関する講習、虐待防止、ヤングケアラーに関する講習を、提供会員全員に必ず実施するとされています。同じ内容を他の研修等で受講済みで、市町村が適当と認める場合は、この限りではありません。

これらは少なくとも5年に1回、フォローアップ講習として実施します。

参考として示された講習カリキュラム(通知の記載。修了した会員が活動を行うよう努める)
講座項目講師時間の目安
1 保育の心保育士・保健師2時間
2 心の発達とその問題発達心理の専門家4時間
3 身体の発育と病気小児科医2時間
4 小児看護の基礎知識看護師・保健師4時間
5 安全・事故医師・保健師・保育士2時間
6 こどもの世話保健師・保育士2時間
7 こどもの遊び保育士2時間
8 こどもの栄養と食生活栄養・保育学科栄養学の専門家、管理栄養士等3時間
9 事業を円滑に進めるためにファミリー・サポート・センターアドバイザー等3時間

合計は24時間です。子育て支援員研修のうち、基本研修、地域保育コースの共通専門研修、ファミリー・サポート・センター事業専門研修を全て修了した人は、この講習を修了した人とみなされます。

基本研修と地域保育コースを修了していて、ファミリー・サポート・センター事業専門研修だけが未修了の人は、9の「事業を円滑に進めるために」だけを受講すれば、修了とみなされます。

病児・緊急対応強化事業:預かりは1人まで、受付は1日8時間超

病児・緊急対応強化事業は、病児・病後児の預かり、早朝・夜間等の緊急時の預かり、宿泊を伴う預かりに関する事業です。

事業内容のア〜エ(会員組織業務、相互援助活動の調整・把握等、病児・病後児の預かり等に必要な知識を付与する講習会、医療機関との連携体制の整備)は全て実施が必須で、会員数は問わないとされています。

相互援助活動のうち、病児及び病後児の預かりは必ず実施し、病児と病後児の双方を対象とします。

病児・緊急対応強化事業の主な実施方法(通知の記載)
項目通知の内容
提供会員への講習基本事業の24時間の講習カリキュラムの項目・時間を満たした講習を実施し、修了した会員が活動を行う
医療機関との連携市町村長は医師会等へ協力要請を行う。医療アドバイザーとなる医師と、緊急時にこどもを受け入れる協力医療機関を、あらかじめ選定する
依頼の受付体制開所時間の延長、携帯電話や転送電話による受付などにより、1日8時間を超えて依頼を受け付け、調整できる体制をとる
預かる人数病児・病後児の預かりは1人まで(基本事業の「原則1人」にかかわらず)
預かりの可否預かる前、または預かった後直ちに、かかりつけ医に受診させ、保護者と協議のうえ可否を判断する
アドバイザー等の把握預かりを行う会員、依頼会員、時間、場所、内容を把握し、活動中に常に連絡がとれる体制をとる

「病児」は、当面症状の急変は認められないが、病気の回復期に至っていないため集団保育が困難で、保護者が勤務等の都合により保育を行うことが困難な児童です。「病後児」は、病気の回復期にあり集団保育が困難で、同様に保護者が保育を行うことが困難な児童です。

病児保育事業は別の事業です。病児保育事業の補助と公定価格の関係は、病児保育事業の補助と、公定価格の関係で整理しています。

よくある質問

保育所の運営法人は、ファミリー・サポート・センター事業を受託できますか。

通知は、実施主体を市町村とし、市町村が適切と認めた者へ委託等を行うことができるとしています。受託できるかどうかと条件は、市町村の募集や仕様によって決まるため、所在地の市町村に確認してください。

保育所の保育士が、提供会員として預かりを行えますか。

通知から決められるのは、提供会員の登録に虐待や不適切な行為の確認があること、講習の修了が求められることまでです。職員が提供会員になることの可否は、通知の本文からは分かりません。所属する法人の就業規則と、市町村の会則を確認してください。

この要件は、公定価格の試算に入りますか。

入りません。この試算ツールは公定価格(施設型給付費・委託費)の算定のみを行い、ファミリー・サポート・センター事業の補助は試算に含めていません。国の補助事業の全体像は、保育対策総合支援事業などの補助メニュー一覧で整理しています。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事は、令和8年4月8日に第二次改正されたファミリー・サポート・センター事業実施要綱のうち、基本事業と病児・緊急対応強化事業の実施要件を扱います。補助の金額・補助率、本通知の末尾の規定(複数市町村での合同実施の細目や留意事項など)、別添の資料の中身は照合していません。その後の改正も照合していません。

次に知りたいこと:利用者支援事業実施要綱の類型と職員要件、地域子育て支援拠点事業実施要綱の実施要件、一時預かり事業の補助は、公定価格の加算に含まれるか。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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