利用者支援事業の要件は、3局長連名の通知の「実施要綱」に書かれている
利用者支援事業の実施について、こども家庭庁成育局長、同支援局長、文部科学省初等中等教育局長は、各都道府県知事へ連名で通知を出しています(こ成環第131号・こ支虐第122号・5文科初第2594号、令和6年3月30日)。
別紙の「利用者支援事業実施要綱」は令和6年4月1日から適用され、令和7年4月1日(第一次)と令和8年4月8日(第二次)に改正されています。この記事は、令和8年4月8日の第二次改正を反映した本文を扱います。
事業の内容は、子ども・子育て支援法第59条第1号に基づき、こどもまたはその保護者の身近な場所で、教育・保育・保健その他の子育て支援の情報提供と、必要に応じた相談・助言等を行い、関係機関との連絡調整等を実施する事業です。
実施主体は市町村で、市町村が認めた者へ委託等を行うことができると書かれています。保育所や地域子育て支援拠点を運営する法人が、市町村から受託する場面があります。
この記事は、通知が定める類型と職員の要件を扱います。補助の金額と、各加算の中身は扱いません。委託の可否や条件は、所在地の市町村に確認してください。
類型は4つ。保育の利用に向けた相談は「特定型」
実施要綱は、次の4つの類型の一部または全部を実施するとしています。
| 類型 | 通知が書く目的 | 主な実施場所 |
|---|---|---|
| 基本型 | こどもとその保護者等が、教育・保育施設や地域の子育て支援事業等を円滑に利用できるよう、身近な場所で、当事者目線の寄り添い型の支援を実施する | 身近な場所で日常的に利用でき、相談機能を有する施設 |
| 特定型 | 待機児童の解消等を図るため、行政が地域連携の機能を果たすことを前提に、主として保育に関する施設や事業を円滑に利用できるよう支援を実施する | 主として市町村窓口 |
| こども家庭センター型 | 母子保健と児童福祉が連携・協働して、すべての妊産婦とこどもとその家庭等の悩みに円滑に対応するため、保健師等が専門的な見地から相談支援等を実施する | 母子保健と児童福祉に関する専門的な支援機能を有する施設・場所 |
| 妊婦等包括相談支援事業型 | 妊娠時から妊産婦等に寄り添い、出産・育児等の見通しを立てるための面談や継続的な情報発信等を行い、必要な支援につなぐ | 実施場所の項目はありません |
保育所の入所や保育サービスの利用に向けた相談に当たるのは、特定型です。
通知は、特定型の業務内容を基本型の業務に準じるとしています。そのうえで、基本型の業務のうち情報の集約・提供や相談、利用支援などの6つの業務は、主として地域における保育所等の保育の利用に向けた相談支援について実施すると書き、関係機関との連絡・調整、連携、協働の体制づくりは必ずしも実施を要しないとしています。
基本型の職員要件:研修と実務経験、または、こども家庭ソーシャルワーカー
基本型の職員は、次の(ア)と(イ)の両方を満たす者、または(ウ)に当たる者でなければならないとされています。
(ア)子育て支援員基本研修と、子育て支援員専門研修(地域子育て支援コース)の「利用者支援事業(基本型)」の修了。
(イ)相談とコーディネート等を必須とする、市町村長が認めた事業や業務(例として、地域子育て支援拠点事業、保育所における主任保育士業務)の実務経験。
(ウ)児童福祉法施行規則第5条の2の8に規定するこども家庭ソーシャルワーカー。
| 資格の区分 | 実務経験の期間(市町村長が定める際に参酌する期間) |
|---|---|
| 保育士、社会福祉士、その他対人援助に関する有資格者 | 1年 |
| 上記以外の者 | 3年 |
配置は、専任職員を1事業所に1名以上です。
例外として、保育所や地域子育て支援拠点などの既存の施設・事業で配置されている職員だけで「こども家庭センター連携等加算」の要件を満たす場合は、この配置によらない扱いが書かれています。
実務経験の期間は、通知が示す期間を参酌して市町村長が定めるため、実際の期間は市町村によって異なり得ます。
研修についても、受講を要しない場合や、従事後に受講する場合が通知に別途書かれています(ここでは範囲を照合していません)。(ウ)に当たる者は研修の受講を要しませんが、実施主体が事業の意義等の理解を得る対応を行うこととされています。
主任保育士の経験が、そのまま実務経験に数えられるとは限らない
通知は、保育所における主任保育士業務を例として挙げています。ただし、対象になるのは「相談及びコーディネート等の業務内容を必須とする」業務で、市町村長が認めたものです。自園の主任保育士の経験が当たるかどうかは、通知の本文からは決められません。
職員を出す側の法人は、主任保育士業務の内容(相談・コーディネートの有無)を記録に整理して、市町村に当てはまるかを確認する。
特定型の要件:実施計画の採択、市町村窓口、か所数の上限
特定型の実施要件は、「保育提供体制の確保のための実施計画」の採択を受けている市町村が実施する施設であることです。
か所数には上限があります。平成25年から令和6年の各年10月1日時点の0〜5歳児人口を10,000で除した数(小数点以下切上げ)のうち、最も多いものが、1市町村当たりのか所数の上限です。
実施場所は、主として市町村窓口です。
職員は、子育て支援員基本研修と、専門研修(地域子育て支援コース)の「利用者支援事業(特定型)」の修了が望ましいとされ、必須とは書かれていません。
配置は、専任職員を1事業所に1名以上です。
特定型の開設日数・時間の本体規定は、通知の本文から確認できていません。加算の要件にある開所日数・時間(夜間加算・休日加算など)は、この記事では扱いません。
よくある質問
- 保育所の運営法人は、利用者支援事業を受託できますか。
通知は、実施主体を市町村とし、市町村が認めた者へ委託等を行うことができるとしています。受託できるかどうかと条件は、市町村の募集や仕様によって決まるため、所在地の市町村に確認してください。
- 保育士の資格があれば、基本型の職員になれますか。
資格だけでは決まりません。通知は、原則として研修の修了と、市町村長が認めた相談・コーディネート等の実務経験(保育士などの有資格者は1年、それ以外は3年を参酌)を組み合わせて求め、こども家庭ソーシャルワーカーは別の道として書いています。
- この要件は、公定価格の試算に入りますか。
入りません。この試算ツールは公定価格(施設型給付費・委託費)の算定のみを行い、利用者支援事業の補助は試算に含めていません。国の補助事業の全体像は、保育対策総合支援事業などの補助メニュー一覧で整理しています。
自園の条件で試算する
この記事は、令和8年4月8日に第二次改正された利用者支援事業実施要綱のうち、類型(4)、基本型と特定型の職員の要件を扱います。基本Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型の定義、こども家庭センター型の業務、加算の中身、補助額は照合していません。その後の改正も照合していません。
ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧
この記事が参照した一次資料
- 利用者支援事業の実施について(通知)(こども家庭庁成育局長・同支援局長・文部科学省初等中等教育局長)/別紙 利用者支援事業実施要綱
令和6年3月30日 こ成環第131号ほか(第二次改正 令和8年4月8日 こ成環第208号ほか)/令和6年度対象外/確認日 2026-10-31