解説

名古屋市の賃貸保育所:調理室の設計は建築確認申請の前に保健センターへ

名古屋市の『賃貸物件を活用した保育所・幼保連携型認定こども園整備の手引き』(令和7年2月)が示す、調理室の計画で建築確認申請の前に区の保健センターへ図面を持参すること、必ず設けるものと『望ましい』ものの区別、保存食の保存方法をがわかります。

この記事が答えること:名古屋市の手引きは、調理室の設計に何を求めるか

名古屋市の手引きは、調理室の計画ができたら、建築確認申請の前に、給食施設を管轄する各区の保健センターへ図面等を持参し、整備内容の確認を受けるよう求めています。

手引きは、調理室について、必ず設ける設備と、『望ましい』と書いた設備を分けて示しています。

この手引きは、名古屋市子ども青少年局保育部保育企画課の『賃貸物件を活用した保育所・幼保連携型認定こども園整備の手引き』(令和7年2月)です。

屋外遊戯場の面積の特例を扱った記事は『名古屋市の賃貸物件の保育所:屋外遊戯場の面積を半分にできる場合と、設けなくてよい場合』です。

この記事は、名古屋市が公表している手引きの記載を整理するものです。個別の設計が衛生の基準に合うか、確認が通るかの判断は扱いません。手引きは改訂されるため、整備を検討するときは名古屋市と、該当する区の保健センターの最新の案内を確かめてください。

建築確認申請の前に、区の保健センターへ図面を持参する

手引きの順序は、調理室の計画ができる、保健センターに図面等を持参して整備内容の確認を受ける、そのあと建築確認申請、です。

手引きは、この確認を、関係法令を守ることと合わせて求めています。

確認を受ける窓口は、給食施設を管轄する各区の保健センターです。

手引きによると、千種区、中村区、中区、南区は保健管理課、その他の区は健康安全課が管轄しています。

窓口の電話番号も手引きに載っていますが、改訂されることがあるため、この記事には書きません。

共通部分の基準:防除設備・手洗い設備・作業区域の区分

調理室の設備整備基準(名古屋市「賃貸物件を活用した保育所・幼保連携型認定こども園整備の手引き」令和7年2月、3-3共通部分、確認日 2026-10-18)
項目手引きの記載
調理の方法原則として自園調理が必要。そのうえで調理室を設置する
防除設備出入口、窓、排水口に、そ族・昆虫の防除設備を設ける
手洗い設備各作業区域の入口に、流水式の手洗い設備を必ず設置する。自動水栓が望ましい
作業区域『汚染作業区域』と『非汚染作業区域』を分ける。検収場や下処理室が設けられていることが望ましい
便所・休憩室・更衣室隔壁により食品を取り扱う場所と必ず区分する。調理室と隣接しない調理員専用の便所(手洗い設備を含む)を設けることが望ましい

手引きの言い回しには差があります。

『してください』『必ず』と書かれた項目と、『望ましい』と書かれた項目があります。

表の中では、手洗い設備の設置と便所等の隔壁による区分に『必ず』が付いています。

自動水栓、検収場や下処理室、調理員専用の便所は『望ましい』です。

保育室等を3階以上に設ける場合は、共通部分の『保育室等を3階に設ける場合の留意事項』の『エ』も満たす必要があると、手引きに注記があります。

階数の条件は別の記事『保育室等を2階・3階以上に設ける保育所の建物要件(耐火・避難階段)』で整理しています。

設計の技術的助言:仕様と、望ましい設備

調理室の技術的助言(同手引き 3-4、確認日 2026-10-18)
区分手引きの記載
仕様床はドライシステムが望ましい。オープンキッチンの場合も、窓などで調理室を区画できるようにする。床・壁・天井は衛生的に保てる構造と素材にする
環境調理室内は温度25度以下、湿度80パーセント以下になるようにし、明るさにも配慮する
シンクと配置シンクは複数設置し、排水トラップの臭いと害虫にも配慮する。便所等の不衛生な場所とは隣接させない
区域の見分け床の色を変えるなどして、汚染作業区域と非汚染作業区域を明確に区別する

運用面では、器具と食器類を扉つきの収納庫に入れて保管すること、食器消毒保管庫に包丁やまな板も殺菌できるゆとりを持たせることが挙げられています。

食品の収納スペースを確保し、温度と湿度を管理できることが望ましいとも書かれています。

保存食については、保存用の冷凍庫を別に整備し、マイナス20度以下に保てるものが望ましいと書かれています。

あわせて、保存食は原材料と調理済みの食品を食品ごとに50グラム程度、密封して、2週間以上保存する必要があると示されています。

技術的助言の『望ましい』は、そのまま必須ではない

回転釜やスチームコンベクションオーブンなど複数の調理機器の設置は、手引きでは『望ましい』と書かれています。ブラストチラーは、設置するとすばやく安全に冷却できるという添え書きです。必須の設備と混同すると、設計の負担が増えます。

必須か望ましいかは、手引きの言い回しと、保健センターでの確認の内容の両方で確かめます。

よくある質問

調理室の確認は、建築確認申請のあとでもよいですか。

手引きは、建築確認申請の前に、各区の保健センターへ図面等を持参して確認を受けるよう求めています。申請の後に直す手間を避けるための順序と読めますが、理由は手引きに明記されていません。

どの区の保健センターに行けばよいですか。

給食施設を管轄する各区の保健センターです。手引きによると、千種区、中村区、中区、南区は保健管理課、その他の区は健康安全課が管轄です。

他の市でも、同じ順序で確認しますか。

この記事では、名古屋市の手引きしか読んでいません。横浜市の手引きは、設計の段階で区福祉保健センターの生活衛生課に相談するよう書いています。自治体ごとに窓口と順序が違うため、所轄の自治体で確かめてください。

この試算で、調理室の基準に合うか判定できますか。

判定できません。この試算は公定価格のモデル計算で、設備の基準への適合や認可の可否は扱いません。

基準を確かめたうえで、公定価格を試算する

所轄の自治体に確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。設備の基準への適合や認可の可否は試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

次に知りたいこと:横浜市の保育所整備の手引き:有効面積から除く物と、調理室・便所・屋外遊戯場の決まり、保育所の設備基準で設ける部屋の一覧(第32条):年齢別の部屋と被服室の扱い、給食を園外から搬入する保育所の設備基準と、公定価格の調理員の扱い

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

「定員・在籍・利用開始の時期が変わるとき」の解説一覧へ