解説

利用者負担額を誤って徴収した・未納があったとき、市町村からの給付費は変わるか(公定価格FAQ No.75)

保護者から利用者負担額を誤った額で徴収したときや、未納があるときに、市町村から施設に支払われる給付費の額が変わるのかを、公定価格FAQ(第32版)のNo.75と子ども・子育て支援法第27条第3項に沿って整理します。

FAQ No.75の答え(給付費の額は変わらず、公費で補われない)

公定価格に関するFAQ(第32版・令和8年7月24日時点版)のNo.75は、「利用者負担額を誤って徴収したり、未納があった場合は、給付額に反映されるのか」を問うています。

答えは次のとおりです。徴収額を誤った場合や未納の場合であっても、市町村からの給付費の額は変わりません。公費で補填される仕組みでもありません。

No.75の答えの要点
論点FAQの答え
給付費の額の決まり方公定価格から、市町村が定める利用者負担額を控除した額(子ども・子育て支援法第27条等)
徴収額を誤った場合・未納の場合の給付費市町村からの給付費の額は変わらない(公費補填される仕組みではない)
そのあとの対応施設(私立保育所を除く)・事業者において、適正な金額を保護者から徴収する

この質問の事項欄は「その他」で、FAQの対象施設の表では全ての施設・事業の区分に印がついています。

なぜ給付費は変わらないのか(法第27条第3項の組み立て)

子ども・子育て支援法第27条第3項は、施設型給付費の額を、第1号の額から第2号の額を控除した額と定めています。

第1号は、教育・保育に通常要する費用の額を勘案して内閣総理大臣が定める基準で算定した費用の額、つまり公定価格です。

第2号は、政令で定める額を限度に、世帯の所得の状況その他の事情を勘案して市町村が定める額、つまり利用者負担額です。

控除されるのは、市町村が定めた利用者負担額です。

実際に保護者から徴収した額ではありません。

そのため、施設が誤った額を徴収しても、保護者が払わなかったとしても、給付費の計算式の中身は動かない、というのがFAQの読み方です。

地域型保育給付費など、施設型給付費以外の給付の根拠条文は、この記事では確かめていません。No.75はFAQ上、施設・事業の全区分が対象とされています。

誤徴収・未納が起きたときの実務の見方

受取額は変わらないので、差額は施設と保護者の間で整理することになります。

  1. 多く徴収した場合

    給付費は市町村の定めた額を前提に計算されます。FAQの答えだけでは、返金の要否や手順、時期までは分かりません。市町村の定めと施設の規程で確かめます。

  2. 少なく徴収した場合

    FAQは、施設(私立保育所を除く)・事業者に、適正な金額を保護者から徴収するよう求めています。不足分を公費が埋めることはありません。

  3. 未納の場合

    給付費の額は変わらず、公費で補填もされません。未納分の徴収は、FAQでは施設・事業者の対応とされています。

  4. 私立保育所の場合

    FAQの括弧書きは、私立保育所を施設・事業者の徴収の対象から除いています。FAQは理由を述べていません。なお、子ども・子育て支援法附則第6条では、私立保育所の保育料は委託費を支払った市町村が保護者から徴収する仕組みです。詳しくは別の記事で整理しています。

FAQの答えを、徴収の可否や催告の方法の判断に使わない

No.75は、給付費の額が変わらないことと、適正な額を求める立場を示すものです。誤徴収の返金方法、未納の督促の進め方、延滞の扱いは、このFAQでは答えていません。

返金・督促の扱いは、市町村の利用者負担額の定めと、施設の利用規程・契約を確かめ、不明な点は所轄の市町村に確認する。

確認の順序と、この記事が判断しない範囲

市町村が定めた額の確認、実際の徴収額との比較、差額の整理の順に進めます。

  1. 市町村が定めた利用者負担額を確かめる

    対象の月の、その子どもの利用者負担額(階層区分)を、市町村の通知や決定で確認します。

  2. 実際に徴収した額と並べる

    請求書や領収の記録と、市町村が定めた額を、月ごとに並べて差を出します。

  3. 差額の扱いを決める

    少ない場合や未納は、FAQのとおり適正な額の徴収を進めます。多い場合の扱いはFAQに書かれていないため、市町村と施設の規程で確かめます。給付費の額は、この差額で変わりません。

この記事は、公定価格FAQ(第32版、令和8年7月24日時点)のNo.75と、子ども・子育て支援法第27条第3項の整理です。個別の園の返金・督促・給付費の扱いを判定するものではありません。

自園の扱いは、所轄の市町村に確認してください。

よくある質問

誤徴収と未納について、よく聞かれる3点です。

保護者が保育料を払わないとき、その分は市町村が補ってくれますか。

FAQ No.75は、未納の場合でも給付費の額は変わらず、公費で補填される仕組みではないと答えています。

利用者負担額を誤った額で徴収していた場合、市町村への給付費の請求も直しますか。

FAQ No.75は、徴収額を誤っても市町村からの給付費の額は変わらないと答えています。給付費の額は、市町村が定めた利用者負担額を公定価格から控除して決まるためです。

私立保育所も、保護者に適正な額を自分で徴収するのですか。

FAQ No.75は、適正な金額の徴収を求める対象から私立保育所を除いています。私立保育所の保育料の徴収は、別の記事で説明しています。

次に読む記事

徴収と支払いの周辺は別の記事で整理しています。私立保育所の保育料の滞納・未納と委託費の関係は保育料の滞納・未納と私立保育所の委託費、委託費の請求と支払いの時期は委託費の請求と支払いの時期、月の途中で入退園したときの計算は月途中の入園・退園時の公定価格の計算方法で説明しています。

自園の条件で試算する

利用定員などを入力して、公定価格の基本分を確認できます。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

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