解説

療育支援加算の「正当な理由なく保育を拒否しない」の正当な理由とは(公定価格FAQ No.288)

療育支援加算の留意事項通知にある「正当な理由なく、障害を理由として保育の提供を拒否しない」の正当な理由が何を指すかを、公定価格に関するFAQ第32版のNo.288で整理します。FAQの例、判断する人、理由を説明する努力まで確認します。

FAQ No.288が答えている問い(正当な理由とは何か)

公定価格に関するFAQ(第32版・令和8年7月24日時点版)のNo.288は、事項欄が「療育支援加算」の質問です。

質問の要旨は、通知に「正当な理由なく、障害を理由として、保育の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限又は保育標準時間の取扱いに差異を設けることがないように留意すること」とあるが、正当な理由とはどのようなことを言うのか、というものです。

答えは、個別の事案ごとに総合的・客観的に判断して、やむを得ないといえるもの、です。

FAQは例を1つ挙げていますが、「こういう場合は必ず正当」という一覧は示していません。

この記事は、加算の要件のうち「受け入れ」の注意書きだけを扱います。加算の対象や区分は療育支援加算とは?対象・要件・区分A〜D・認定の確認(令和8年度)で説明しています。

通知のどこに書かれている注意書きか

この文は、療育支援加算の要件を並べる前の、前置きにあります。

保育所の部分(別紙2)では、障害児が利用しており、かつ要件を満たす施設に加算する、という書き出しの後に続きます。

留意事項通知(保育所)の注意書きが求めていること
書かれていること通知の文言の要点
受け入れの姿勢加算を取得することで専門性を高め、地域全体のインクルージョンの推進に寄与することが期待されるため、障害児を積極的に受け入れる
避けるべき3つの対応障害を理由に、①保育の提供を拒否する、②提供に当たって場所・時間帯などを制限する、③保育標準時間の取扱いに差異を設ける
例外の言い方「正当な理由なく」とあり、正当な理由がある場合は含まれない
職員の体制主任保育士等や専門職だけでなく、施設の職員がチームとなって取り組む

拒否だけでなく、場所や時間帯を制限することと、保育標準時間の取扱いに差を設けることも、同じ文に入っています。

FAQが挙げる正当な理由の例と、判断する人

FAQの例は、必要な医療器具等がなく、安全な保育を提供できる環境が整っていない場合です。

FAQは、その子どもの保育に必要不可欠な医療器具等がない場合などを、例として書いています。

FAQ No.288の答えの要点
項目FAQの記載
正当な理由の例当該障害児の保育に必要不可欠な医療器具等がなく、安全な保育を提供できる環境が整っていない場合など
判断の仕方個別の事案ごとに、総合的・客観的な判断のもと、やむを得ないといえるもの
参照する資料「保育所等における障害のあるこどもの受入れについて」(令和6年12月5日付け事務連絡)
判断する主体各市町村が適切に判断し、対応する
理由がある場合の姿勢障害のあるこどもや保護者に丁寧かつ具体的にその理由を説明し、理解を得るように努める

施設の判断だけで「正当な理由がある」と決めない

FAQは、各市町村が事務連絡を確認したうえで適切に判断すると述べています。事務連絡の中身は、この記事では取り上げていません。

受け入れを見送る、または場所・時間帯を制限する必要が出たときは、事務連絡の本文を読み、施設が所在する市町村に相談する。

理由がある場合も、説明を尽くす

正当な理由があると認められても、説明は必要です。

FAQは、正当な理由がある場合においても、障害のあるこどもや保護者に丁寧かつ具体的にその理由を説明し、理解を得るように努めるよう求めています。

  1. 何ができない理由かを具体的にする

    「障害があるから」ではなく、どの設備や体制が不足しているのかを説明する。

  2. 保護者に直接説明する

    FAQは、こどもと保護者への説明を求めている。

  3. 見送る前に市町村へ相談する

    FAQは判断する主体を各市町村としています。相談を求める記載はFAQにありませんが、見送る前に施設が所在する市町村へ相談するのが確実です。

FAQには、説明の記録の様式や、説明の回数は書かれていません。

実績報告書で、拒否したケースの有無を書く

この注意書きは、年度の終わりの実績報告書にも出てきます。

別添6の様式には、正当な理由なく障害を理由に保育の提供の拒否等をしたケースの有無を、無または有で書く欄があります。有の場合は理由を書きます。

報告書の項目は療育支援加算の実績報告書(別添6)に書く項目と提出期限(公定価格FAQ No.371)で説明しています。

よくある質問

正当な理由について、よく聞かれる3点です。

正当な理由の一覧表はありますか。

FAQ No.288は、個別の事案ごとに総合的・客観的に判断するとしており、一覧表は示していません。例として、必要不可欠な医療器具等がなく安全な保育を提供できない場合を挙げています。

場所や時間帯を制限するだけでも、注意書きの対象ですか。

通知は、拒否することのほか、提供に当たって場所・時間帯などを制限することや、保育標準時間の取扱いに差異を設けることも、正当な理由なくしないよう留意するとしています。

誰が正当な理由があると判断しますか。

FAQは、令和6年12月5日付けの事務連絡を確認のうえ、各市町村が適切に判断すると答えています。

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