解説

小学校接続加算の要件ⅲ:協議会で「着手」と認められる範囲

小学校接続加算の要件ⅲ(5歳児から小学校1年生のカリキュラムを小学校と協働して編成・実施)は、継続的な協議会で具体的な編成に着手していれば満たすと考えられます。市町村主催の合同協議会、モデルカリキュラム、5歳児が不在の年の扱いを、公定価格FAQ第32版で整理します。(FAQ No.229〜241)

要件ⅲは、小学校と協働したカリキュラムの編成・実施で、「着手」も含む

公定価格に関するFAQ(第32版・令和8年7月24日時点版)のNo.67は、小学校接続加算の要件を3つ示しています。ⅰは小学校との連携・接続に関する業務分掌の明確化、ⅱは授業・行事、研究会・研修等の子ども及び教職員の交流活動の実施、ⅲは小学校と協働した、5歳児から小学校1年生の2年間(2年以上を含む)のカリキュラムの編成・実施です。

ⅰ〜ⅱを満たす場合と、ⅰ〜ⅲを満たす場合では、加算される額が異なります。要件ⅲには、小学校との継続的な協議会の開催等により具体的な編成に着手していると認められる場合を含む、という注書きがあります。

この記事は要件ⅲの読み方の整理です。ⅰ・ⅱの交流活動をオンラインで行った場合は『小学校との交流をオンラインで行った場合、小学校接続加算の要件を満たすか(公定価格FAQ No.210・211)』にまとめています。

FAQが「着手」と認めるものと、認めないもの

FAQは「着手」の判断を、園と小学校がカリキュラム策定に向けた協議を継続して実施していることが確認できるかで示しています。カリキュラムの素案の作成までは必要ありません。

要件ⅲの「着手」の読み方(FAQ第32版No.229・237〜241、確認日 2026-10-18)
場面FAQの考え方No.
小学校との接続を見通した協議会等を継続して実施している具体的な編成に着手していると認められ、要件ⅲを満たすと考えられる。カリキュラムの素案の作成までは直ちに求めない237
年度の途中で着手し、協議が年度をまたぐ協議を継続して実施していることが確認できれば、要件を満たしていると考えて差し支えない238
市町村が協議の場を設け、校区や園と小学校のまとまりで協議する園と小学校が計画的に協議していることが前提で、1園と1小学校の個別協議でなくてもよい。協議会等に各施設と小学校の担当者が参加することが重要239
都道府県主催の大規模な合同協議会に参加するだけで、実際に連携する園と小学校の協議はない協働して策定に着手しているとは言えず、要件の対象とするのは適切ではない240
モデルカリキュラムに沿って園ごとに個別に作成するだけで、小学校と協議しない協働していないため、要件の対象とするのは適切ではない229・241
個別に作ったカリキュラムを持ち寄り、園と小学校で策定に向けた協議をしている「着手している」と認められる場合に当たると考えられる241

No.237〜241の書きぶりは「考えられます」「適切ではないと考えられます」が中心です。認定の判断は加算の認定を行う市町村が行うため、自園の取組が当てはまるかは市町村に確認してください。

協議の相手は、卒園児が通う小学校区を想定する

No.230は、卒園した児童が通学すると想定される全ての小学校と連携・接続する必要があるかを尋ねています。FAQは、例えば小学校区など、卒園した児童が通学すると考えられる小学校との接続・連携を想定していると答えています。

接続先は、全ての小学校でなくてかまいません。No.240が大規模な合同協議会を認めないのも、この考え方によります。不特定多数の小学校との協議では、実際に連携する園と小学校の協議を継続することが難しいとされています。

モデルカリキュラムがあっても、園と小学校の協働が要る

No.229は、市町村が5歳児から小学校1年生までのモデルカリキュラムを策定している場合に、加算の要件を満たすかを尋ねています。モデルカリキュラムがあっても、それをもとに各施設が小学校と協働して2年間のカリキュラムを策定する必要があります。

No.241は、モデルカリキュラムに沿って園ごとに作成し、園と小学校で協議していない場合を尋ねています。個別に作成しているだけでは、対象とするのは適切ではないとされています。持ち寄って園と小学校で協議していれば、着手と認められる場合に当たります。

5歳児がいない年度でも、見据えた策定が確認できれば取得できる

No.231は、当該施設に5歳児が在籍していない場合は要件を満たさないかを尋ねています。答えは、当該年度に5歳児が在籍していなくても、5歳児が在籍した場合を見据えて、小学校と協働してカリキュラムを策定していることが確認できれば、加算を取得できるというものです。

ここでの「確認できる」の方法は、FAQには書かれていません。協議会の開催記録や参加者などの資料を、どの形で市町村に示すかは、市町村に確認してください。以下の手順は、この記事の整理です。

協議の実績を確かめる順序

協議の相手、継続性、記録の3点を、市町村への確認の前に自園で整理します。

  1. 協議の相手が、実際に連携する小学校か確かめる

    卒園児が通う小学校区の学校とのやり取りか、不特定多数が参加する大規模な会だけかを分けて整理します。

  2. 協議の目的がカリキュラム策定か確かめる

    交流行事の打合せだけでなく、小学校との接続を見通した教育課程等の編成のための協議かを確かめます。

  3. 年度をまたぐ継続の経過を残す

    開催日、参加した園と小学校の担当者、協議の内容を、日付つきで記録します。

  4. 市町村主催の場なら、各施設の参加を確かめる

    校区や園と小学校のまとまりでの協議会が計画的に開かれ、自園と小学校の担当者がそろって参加しているかを見ます。

  5. 認定の扱いを市町村に確認する

    取組が要件ⅲに当たるか、どの資料で示すかを、加算の認定を行う市町村に確認します。

次に知りたいこと:認定した取組区分の3月分の試算

要件ⅲの扱いが決まったら、認定された取組区分を3月分の試算にどう入れるかを確かめます。この加算は3月分の単価に加算する扱いで、毎月入る加算とは配分が異なります。

認定済みの区分を試算へ反映する方法は『小学校接続加算の認定済み取組区分を3月分の試算へ反映する方法』、毎月入る加算との違いは『毎月入る加算と3月分だけに入る加算の区別(7加算の配分)』、小学校との連携に関する運営基準は『保育所の相談・援助(運営基準第17条)と、小学校等との連携(第11条)』が参考になります。

よくある質問

カリキュラムの素案ができていないと、要件ⅲは満たせませんか。

いいえ。FAQのNo.237は、小学校との接続を見通した協議会等を継続して実施していれば着手と認められ、素案の作成までは直ちに求めないと答えています。

市町村が開く合同の協議会に出ているだけで足りますか。

市町村が協議の場を設け、校区や園と小学校のまとまりで協議する形は認められます(No.239)。都道府県主催の大規模な会で、実際に連携する小学校との協議がない場合は、対象とするのは適切ではないとされています(No.240)。

市町村のモデルカリキュラムを使えば要件ⅲを満たしますか。

いいえ。モデルカリキュラムをもとに、園が小学校と協働して2年間のカリキュラムを策定する必要があります(No.229)。

5歳児がいない年度は、加算を取得できませんか。

No.231は、5歳児が在籍した場合を見据えて小学校と協働して策定していることが確認できれば、取得できると答えています。

自園の取組が要件ⅲに当たるかを、この記事で判定できますか。

できません。この記事はFAQの整理です。認定は市町村が行うため、取組と資料を市町村に確認してください。

公定価格を試算する

試算画面の「小学校接続加算の認定済み区分」の欄で、市町村に確認した区分を選びます。試算結果は入力に基づくモデル計算で、加算の適用は市町村の認定で決まります。

小学校接続加算の欄で試算に反映する

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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