解説

処遇改善等加算の区分2・3の「改善額」の数え方と特別な事情の届出の時期:給与改定分・超過勤務手当・一時金・改定前の単価(FAQ No.10・67・68・73)

処遇改善等加算の区分2・3で、改善額に何を入れて何を入れないかを、国の通知とFAQ(第4版)の原文で整理します。1つ目は、毎月払いの基準に国家公務員の給与改定分を入れないこと。2つ目は、超過勤務手当と一時金を改善額に入れること。3つ目は、実績報告の加算額を改定前の単価で出すこと。4つ目は、特別な事情の届出書を出す時期です。

改善額の数え方で迷う4つの場面にFAQが答えている

処遇改善等加算通知の第5の2は、区分2と区分3を合わせた加算による改善額のうち、1/2以上を基本給・決まって毎月支払われる手当で改善するよう定めています。

この「改善額」に何を入れるかは、通知の文面だけでは分かりにくい点です。

FAQ(第4版、令和7年9月2日時点版)のNo.10・67・68・73は、改善額の数え方と、特別な事情の届出書の出し方に答えています。

FAQ No.10・67・68・73が答えている4つの場面
FAQ場面答えの要点
No.10国家公務員の給与改定に伴う区分2の加算額の増加分は、1/2の判定の「改善額」に入るか入れない
No.67賃金改善に伴って増える超過勤務手当や一時金は、「改善額」に入るか入る
No.73実績報告で比べる「加算額」は、改定前の単価で出すのか改定前の単価に基づいて出した金額
No.68特別な事情の届出書は、随時でなく認定申請や実績報告のときに受け付けてよいか基本は併せて出す。ただし賃金水準を下げる必要がある場合は、年度途中の届出が受理されず下げられないことがないよう取り計らう

国家公務員の給与改定分は、毎月払い1/2の「改善額」に入れない(FAQ No.10)

通知の第2の2(3)は、加算当年度の途中に国家公務員の給与改定に伴う増額改定が生じたときは、それに応じた賃金の追加的な支払を行うと定めています。

No.10の問いは、この改定に伴う区分2の単価の増額分を、1/2の判定に使う「改善額」に入れるかです。

あわせて、年度途中の改定なので一時金で払うことになり、毎月払いが改善額の1/2を下回った場合の扱いも問うています。

FAQの答えは次のとおりです。

国家公務員の給与改定に伴う公定価格の人件費の改定分には、区分2の加算額の増加分も含まれます。

そのため、区分2と区分3を合わせた改善額には、国家公務員の給与改定に係る区分2の加算額の増加分は含みません。

この答えは、増加分を1/2の判定の計算から外す、という意味です。

増加分そのものを職員の賃金改善に充てる必要があることは、通知の第5の1と第2の2(3)が定めています。

年度途中の改定に伴う人件費の仕組みは、関連記事の公定価格の人件費が年度途中で改定されるときの仕組みで説明しています。

賃金改善に伴って増える超過勤務手当や一時金は、改善額に入る(FAQ No.67)

区分3は全額を基本給・決まって毎月支払われる手当で改善しますが、区分2は全額をそうする決まりではありません。

No.67の問いは、賃金改善に伴って増える超過勤務手当や一時金を、1/2の判定の「改善額」に入れるかどうかです。

賃金改善に伴い増加する超過勤務手当や一時金は、「改善額」に含まれます。

1/2の判定の「改善額」に入るもの・入らないもの(FAQ No.10・67)
項目改善額に
賃金改善に伴って増加する超過勤務手当入る(No.67)
賃金改善に伴って増加する一時金入る(No.67)
国家公務員の給与改定に係る区分2の加算額の増加分入れない(No.10)

実績報告で比べる「加算額」は、改定前の単価に基づく金額(FAQ No.73)

実績報告書(別紙様式6)の「(1)加算額以上の賃金改善について」では、「①加算額」と「②加算による改善等実績総額」を比べます。

No.73の問いは、この「加算額」が、改定前の単価に基づいて出した金額と考えてよいかです。

FAQの答えはお見込みのとおりです。

この問いは、No.10で出てきた国家公務員の給与改定による区分2の増加分を前提にしています。

特別な事情の届出書は、基本は認定申請か実績報告のときに出す(FAQ No.68)

別紙様式7「特別な事情に係る届出書」(FAQでは「特別な事情による届出書」)は、賃金水準を下げる事情があるときに出す届出です。

No.68の問いは、事務の簡素化のために、随時の受付ではなく、認定申請や実績報告のときに併せて受け付けてよいかです。

FAQによると、届出が必要な場面は2つあります。

1つ目は、基準年度の支払賃金の総額を下回らないこと、という要件を満たさないときです。

2つ目は、通知の第5の2が定める、賃金水準を下げる必要があるときです。

いずれも基本的には、認定申請か実績報告のときに併せて届出をしてもらうことを想定しており、受理する時期は自治体の実情に応じて定めて差し支えありません。

賃金水準を下げる必要があるときは、年度途中の届出もありえる

FAQは、第5の2が定める賃金水準を下げる必要があるときの届出は、年度途中で必要になることも想定されるとしています。

届出が受理されないために賃金水準を下げられないことがないよう、取り計らうよう求めています。

FAQは、受理する時期を自治体の実情に応じて定めてよいとしています。賃金水準を下げる必要が出たときは、受理の時期を所轄の自治体に確認してください。

自園で確認すること

改善額を集計する前に、次の4つを確かめます。

  1. 毎月払い1/2の判定から、給与改定に係る区分2の増加分を外す

    国家公務員の給与改定に係る区分2の加算額の増加分は、区分2と区分3を合わせた改善額に含みません。通知は、増加分の全額を職員の賃金改善に充てることを求めています。

  2. 超過勤務手当と一時金を、改善額に入れて集計する

    賃金改善に伴って増加した超過勤務手当や一時金は、改善額に含まれます。

  3. 実績報告の「加算額」の単価を確かめる

    FAQ No.73は、実績報告書で比べる「加算額」を、改定前の単価に基づいて出した金額と考えてよいか、という問いに「お見込みのとおり」と答えています。年度途中に人件費の改定があった年は、この点を確かめて集計します。

  4. 届出書が必要になりそうな場面を確かめる

    基準年度の支払賃金の総額を下回らない要件を満たさないときや、賃金水準を下げる必要があるときが、FAQの挙げる届出の場面です。受け付ける時期は自治体の実情で定められるため、所轄の自治体に確認します。

この記事は、処遇改善等加算通知とFAQ(第4版)の整理です。個別の集計や届出が要件を満たすかどうかを判定するものではなく、計画書や報告書の作成を代行するものでもありません。

最終的な判断は、加算の認定を行う所轄の自治体に確認してください。

よくある質問

改善額の数え方について、よく聞かれる4点です。

国家公務員の給与改定で区分2の加算額が増えた分は、毎月払い1/2の判定に入れますか。

FAQ No.10は、区分2と区分3を合わせた改善額には含まないとしています。国家公務員の給与改定に伴う人件費の改定分には、区分2の加算額の増加分も含まれるためです。

賃金改善で増えた超過勤務手当は、改善額に入りますか。

FAQ No.67は、賃金改善に伴い増加する超過勤務手当や一時金は「改善額」に含まれるとしています。

実績報告の「加算額」は、改定前の単価で出してよいですか。

FAQ No.73は、改定前の単価に基づいて出した金額と考えてよいかという問いに、お見込みのとおりと答えています。

特別な事情の届出書は、いつ出しますか。

FAQ No.68は、基本的には認定申請か実績報告のときに併せて出す想定で、受理の時期は自治体の実情で定めてよいとしています。賃金水準を下げる必要があるときの届出は、受理されないために賃金水準を下げられないことがないよう取り計らうことが求められています。

次に読む記事

賃金改善の方法や基準年度との比較は、別の記事でも整理しています。配分の方法は処遇改善等加算の賃金改善の方法、基準年度との比較の調整は基準年度との賃金比較の調整、実績報告は処遇改善等加算の実績報告を読んでください。

自園の条件で試算する

認定を受けた人数A・Bを入力し、区分3の内訳を確認します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

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ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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