解説

複数の保育所を運営する法人の手続き:施設単位か法人単位か

2園以上を運営する法人が、公定価格の加算の認定、処遇改善等加算の書類、経営情報の報告、委託費の使途と貸付を、どの単位で行うかを通知別に整理します。園ごとの手続きと、同一法人内で認められる範囲を分けて確認できます。

加算の認定は、施設の所在地の市町村が施設ごとに行う

保育所の加算の認定は、施設が所在する市町村(長)が行うと、留意事項通知は定めています。

認定の申請は、その施設の設置者から、施設名・加算の適用年月・利用子ども数の見込みなどを記して出します。法人が複数の園を運営していても、認定は園ごとに行われ、地域区分も施設の所在地で決まります。

分園を設置する施設は、基本分単価・処遇改善等加算(区分1・2)・施設長を配置していない場合の調整に、中心園と分園の利用定員の総和の区分を使います。詳しくは分園がある保育所の定員区分と地域区分の決まり方で説明しています。

処遇改善等加算の書類の単位と、区分2の加算額を他施設へ充てる範囲

処遇改善等加算の通知は、認定に必要な書類を「施設・事業所の設置者・事業者」から徴するとしています。

区分2の加算額の一部は、同一の設置者・事業者が運営する他の施設・事業所の賃金改善に充てることができます。この場合は、認定時に別紙様式4別添2「同一の事業者内における拠出見込額・受入見込額一覧表」を徴するとされています。充当できるのは、同一の設置者・事業者が運営する施設・事業所です。

前年度から区分2の適用を受けている施設は、別紙様式5「賃金改善の誓約書」を出し、設置者がその内容を職員に周知していれば、この別添2を含む様式4関連の書類を省略できます。

処遇改善等加算の手続きの単位(通知の定め)
場面通知が定める内容施設・法人の区別
認定時の書類(区分2)施設・事業所の設置者・事業者から、賃金改善計画書などを徴する施設・事業所ごとに出す
区分2の拠出・受入同一の設置者・事業者が運営する他施設の賃金改善に充てる場合は、別紙様式4別添2を徴する同一の設置者・事業者の中で調整できる
実績報告時複数の施設・事業所間で調整した場合は、施設・事業所ごとの拠出・受入の実績の内訳表(別紙様式6別添2)を添付する内訳は施設・事業所ごとに示す
帳簿と証拠書類区分2・3の適用を受けた施設・事業所は、賃金改善の収入と支出の帳簿と証拠書類を実績報告後5年間保管する施設・事業所ごとに備える

通知は、同一の市町村が管轄する施設・事業所分について、内訳を明らかにした上で一括して申請させるなど、事務処理の簡素化を図って差し支えないとしています。これは市町村が提出のまとめ方を決める話で、内訳は施設・事業所ごとに示します。一括の可否は管轄の市町村に確認します。

書類の種類と提出の時期は処遇改善等加算の実績報告と差額精算で説明しています。

経営情報の報告は、施設・事業者を単位として求められる

こども家庭庁の資料(保育所等における継続的な経営情報の見える化)は、報告・届出を求める情報について「全ての施設・事業者を単位として、毎事業年度の経営情報(収益・費用)」と書いています。

報告は施設・事業者を単位として求められると、資料に書かれています。様式は、それぞれの経営主体の会計基準に応じたものを設けるとされています。報告の対象や期限、入力の方法は保育所の経営情報等の報告制度の対象・報告先・期限で説明しています。

この資料は検討会議に提出された資料で、法令や通知そのものではありません。実際の報告の単位、様式、期限は、報告先の都道府県が示す案内で確認します。

委託費の使途の原則と、同一法人内で使える範囲の条件

私立保育所に対する委託費の経理の通知は、委託費の使途を保育所の運営に関する経費に限ったうえで、一定の要件(児童福祉法の基準の遵守、配置基準の遵守、給与規程の整備など7項目)を満たす保育所について、弾力的な運用を認めています。

同一の設置者が設置する他の保育所等の経費に充てられる範囲は、さらに条件つきです。上の7項目を満たし、延長保育・一時預かりなど通知の別表1に掲げる事業のいずれかを実施する保育所は、処遇改善等加算の区分1「基礎分」として加算された額に相当する額の範囲内で、同一の設置者が設置する保育所等の経費に充てることができます。

充てられる先は、保育所と、子ども・子育て支援法の特定教育・保育施設、特定地域型保育事業です。

資金の貸付については、同一法人内の施設拠点区分・本部拠点区分・収益事業等の事業区分への貸付が、当該法人の経営上やむを得ない場合に、当該年度内に限って認められます。

同一法人内のこれらの区分以外への貸付は、一切認められないと通知は定めています。委託費は、預貯金など安全確実で換金性の高い方法で管理します。

充てられる経費の範囲(別表)、積立資産、3か月分の範囲、要件は委託費の弾力運用の範囲と使途で説明しています。この通知の確認は、所轄庁の指導監査で行われます。自園が要件を満たすかどうかは、所轄庁に確認します。

法人単位でまとめてよい手続きは、通知が個別に定めた場合に限られる

施設ごとの手続きが基本で、同一法人内で調整できるのは通知が個別に認めた項目だけです。

法人で複数園を運営していると、施設長の兼務も論点になります。兼務の扱いは施設長未配置の減算の判定(兼務・急な代行・乳児等通園支援事業)で説明しています。

施設単位と、法人(設置者)内で調整できる範囲の整理
項目基本の単位同一法人(設置者)内で調整できる点
加算・調整の認定施設ごと(施設所在地の市町村)留意事項通知の保育所の認定の項は、いずれも施設が所在する市町村(長)が行うとしており、法人単位の定めは見当たらない
処遇改善等加算の書類施設・事業所ごと区分2の拠出・受入(別添2の一覧表と内訳表)。提出のまとめ方は市町村の簡素化による
経営情報の報告施設・事業者を単位とする(資料の記載)報告先の案内を確認する
委託費の使途・貸付保育所の運営経費に使うのが原則(委託費の通知)要件を満たす場合に限り、同一の設置者が設置する保育所等への充当と、同一法人内の経理区分への当年度内の貸付

法人の1園で通った手続きを、他の園にも当てはめて見込まない

認定は施設ごとに行われ、処遇改善等加算の書類も施設・事業所ごとに出します。1園で認定を受けた加算や、1園で出した書類が、他の園に及ぶとは限りません。

園ごとに、所在地の市町村へ認定の状況と必要書類を確認します。法人内で拠出と受入を調整する場合は、拠出する園と受け入れる園の両方で、別添の一覧表や内訳表を準備します。

試算の単位(1施設ずつ)と、含まれない法人全体の合計・法人内調整

この試算は、所在地・利用定員・年齢別の月初在籍数を入力した1つの施設の公定価格を、モデルとして計算します。

複数園の法人は、園ごとに入力して結果を確認します。区分2の法人内の拠出・受入、委託費の他園への充当、貸付は、試算結果に含まれません。

分園がある施設で、このサイトの試算に計上しない項目を一覧にしたページです。算定の可否を示すものではなく、自治体ごとの扱いは所轄市町村への確認が必要です。

分園があると試算に計上しない項目の一覧を見る

園ごとに所在地・利用定員・年齢別の月初在籍数を入力して、結果を確認します。結果には、計算過程・使った告示や通知・確認日・この試算に含まれていない項目を表示します。

施設ごとの公定価格を試算する

よくある質問

法人で複数の園を運営している場合、加算の認定は法人でまとめて受けますか。

通知は、加算の認定を施設が所在する市町村(長)が行うと定めています。法人単位で認定する定めは、確認した範囲では見当たりません。手続きの詳細は、各園の所在地の市町村に確認してください。

処遇改善等加算の区分2は、他の園の賃金改善に回せますか。

通知は、区分2の加算額の一部を、同一の設置者・事業者が運営する他の施設・事業所の賃金改善に充てることを認めています。認定時に別紙様式4別添2、実績報告時に別紙様式6別添2を出します。前年度から継続して適用を受けている施設は、誓約書を出す場合に認定時の別添2を省略できます。

委託費を法人の他の事業に貸し付けられますか。

通知は、同一法人内の施設拠点区分・本部拠点区分・収益事業等の事業区分への貸付を、法人の経営上やむを得ない場合に、当該年度内に限って認めています。それ以外への貸付は認められません。自園の取扱いは所轄庁に確認してください。

経営情報の報告は、法人で1回出せば足りますか。

こども家庭庁の資料は、全ての施設・事業者を単位として報告を求めると書いています。実際の報告の方法と期限は、報告先の都道府県の案内で確認してください。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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