解説

処遇改善等加算の区分3の算定人数に、法人役員と園長等になった研修修了者を数えるか(FAQ No.72)

区分3の加算額の算定人数に数える研修修了者の3種類を、国の通知で整理します。園長・主任保育士などを含む3つ目の種類を設けた理由と、法人の役員を算定人数に含められるかについてのFAQ(第4版)No.72の答えを、原文に沿って説明します。

区分3の研修修了者は通知で3種類に分かれている

処遇改善等加算通知の第2の3(1)は、区分3の要件として、研修修了者が少なくとも合計1人以上いることを求めています。

通知はこの研修修了者を、次の3種類に分けて定めています。

区分3の研修修了者の3種類(処遇改善等加算通知 第2の3(1))
種類対象主な条件
ⅰ 副主任保育士等副主任保育士・専門リーダー(保育所など)、中核リーダー・専門リーダー(幼稚園・認定こども園)か、これらに相当する職位の人職位の発令や職務命令を受けていること。概ね7年以上の経験年数があり、別に定める研修を修了していること
ⅱ 職務分野別リーダー等職務分野別リーダー(保育所など)、若手リーダー(幼稚園・認定こども園)か、これらに相当する職位の人職位の発令や職務命令を受けていること。概ね3年以上の経験年数があり、担当分野を持ち、別に定める研修を修了していること
ⅲ 園長・主任保育士など園長、主任保育士、副園長、教頭、主幹教諭、主幹保育教諭等副主任保育士・中核リーダー・専門リーダーを対象とした別に定める研修を修了していること

ⅲの条文には、職位の発令や経験年数の文言がありません。園長等の職にあることが前提です。

FAQ(第4版、令和7年9月2日時点版)のNo.72は、このⅲの種類と法人の役員の関係を問うています。

法人の役員は加算額の算定人数に含まれない(FAQ No.72)

No.72の問いは、次のとおりです。

法人の役員は、常勤の場合でも賃金改善の対象になっていません。

それでも、加算額を算定するときに、通知のⅲの人(園長、主任保育士、副園長などで、別に定める研修を修了した人)に含めてよいか、という問いです。

FAQの答えは、次の2点です。

役員については、加算額の算定人数には含まれません。

そのうえで、ⅲの規定の意図を説明しています。副主任保育士・中核リーダー・専門リーダーが園長等にキャリアアップしたときに、加算額の算定人数から除外しないことを念頭に設けたものです。

FAQには、かっこ書きで次の一文もあります。

園長等になってから研修を受けた場合も、加算額の算定対象に含めて差し支えありません。

なお、区分3の研修修了者の人数は、通知の(注1)で加算当年度の4月1日時点で判断するとされています。研修修了見込みの者は含みません。

No.72の答えの整理
場面加算額の算定人数への数え方
副主任保育士などから園長等にキャリアアップした研修修了者算定人数から除外しない(ⅲの規定の目的)
園長等になってから、別に定める研修を受けて修了した人含めて差し支えない
法人の役員含まれない

区分2の賃金改善の対象と、区分3の算定人数は別の問い

施設長が法人の役員を兼ねている園では、「役員は対象外」と「役員兼務の施設長も対象」という2つの答えを見かけることがあります。

この2つは、別の問いへの答えです。

  1. No.13の問い(区分2の賃金改善の対象)

    通常の教育・保育に従事する職員として、施設・事業所が定めた給与規程に基づいて給与が支払われている施設長であれば、法人の役員を兼務していても、区分2の対象としてよいとされています。

  2. No.72の問い(区分3の加算額の算定人数)

    役員は、加算額の算定人数には含まれません。研修修了者の人数を数えるときに、役員を入れるかどうかの答えです。

役員を兼ねる施設長が区分3の算定人数でどう扱われるかは、FAQには書かれていません。

個別の園の判断は、このページでは行いません。加算の認定を行う所轄の自治体に確認してください。

自園で確認すること

研修修了者の人数を数える前に、次の3つを確かめます。

  1. 研修修了者を3種類に振り分ける

    名簿で、ⅰ副主任保育士等、ⅱ職務分野別リーダー等、ⅲ園長・主任保育士などのどれに当たるかを分けます。ⅲは、副主任保育士・中核リーダー・専門リーダーを対象とした研修を修了しているかを確かめます。

  2. 園長等になった人の修了時期を確かめる

    園長等にキャリアアップする前に修了した人も、なった後に修了した人も、算定人数に含めて差し支えありません。研修の修了証や研修計画で、修了していることを記録しておきます。

  3. 役員の人数を除いて数える

    法人の役員は、算定人数に含まれません。役員を兼ねる職員がいる場合は、所轄の自治体に確認します。

この記事は、処遇改善等加算通知とFAQ(第4版)の整理です。個別の職員が算定人数に入るかどうかを判定するものではなく、計画書や報告書の作成を代行するものでもありません。

最終的な判断は、加算の認定を行う所轄の自治体に確認してください。

よくある質問

区分3の算定人数について、よく聞かれる3点です。

法人の役員は、区分3の加算額の算定人数に入れられますか。

FAQ No.72は、役員については加算額の算定人数には含まれないと答えています。

副主任保育士から園長になった人は、算定人数から外れますか。

外れません。FAQ No.72は、通知のⅲの規定について、副主任保育士・中核リーダー・専門リーダーが園長等にキャリアアップしたときに、加算額の算定人数から除外しないことを念頭に設けたものと説明しています。

園長になってから研修を受けた場合は、どうなりますか。

FAQ No.72は、園長等になって研修を受けた場合も、加算額の算定対象に含めて差し支えないとしています。

次に読む記事

区分3の対象と人数は、別の記事でも整理しています。人数の確認は区分3の人数の確認、発令と職位は区分3の発令と職位、研修修了見込みの者の扱いは研修修了見込みの者の扱いを読んでください。賃金改善の対象になる職員の範囲は賃金改善の対象職員で説明しています。

自園の条件で試算する

確認した人数A・Bを入力し、区分3の内訳を確認します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

  • 公定価格とは・決まり方:保育所の計算方法と基本分単価の内訳

    保育園の公定価格の決まり方を解説。公定価格とは、特定教育・保育等に要する費用の額で、保護者の保育料とは別の施設側の総額です。基本分単価の内訳は地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4つで決まります。計算は基本分単価・加算・減算・園児数の4手順で、試算画面の入力欄も確認できます(子ども・子育て支援法第27条第3項)。

    関連する理由:

  • 処遇改善区分3の発令要件(副主任保育士・職務分野別リーダー)

    処遇改善区分3(質の向上分)で、副主任保育士等と職務分野別リーダー等に必要な発令・職務命令、経験年数(概ね7年・概ね3年)、研修修了、4月1日時点の判断を通知の原文で整理します。役職名の自由度、年度途中の発令、毎年度の再発令の要否は、こども家庭庁のFAQに沿って説明します。

    関連する理由: 共通する試算入力/共通する一次資料

  • 処遇改善等加算の区分3の配分:法定福利費による差額の払い方・園長以外の管理職・4月1日時点で育休中の職員(FAQ No.61・63〜65)

    処遇改善等加算の区分3で配分に迷う4つの場面を、国の通知とFAQ(第4版)の原文で整理します。取り上げるのは、法定福利費が少なくて生じる差額の払い方、リーダー等や園長以外の管理職に配るときの上限、4月1日に育児休業中の職員を人数に含めてよいかを含む4つの場面です。

    関連する理由: 共通する試算入力/共通する一次資料

  • 加算の年次申請・年次報告の時期と提出先一覧

    施設機能強化推進費加算、第三者評価受審加算、処遇改善等加算の実績報告、経営情報等の報告は、それぞれ別の記事で期限を説明しています。この記事は4つの年次手続きを時期順に横断整理し、それぞれの詳しい記事へ案内します。

    関連する理由: 共通する一次資料

「処遇改善等加算を計算・申請・報告するとき」の解説一覧へ