解説

小規模保育事業の減価償却費加算と賃借料加算(A型・B型・C型・満三歳以上限定の要件・自己所有か賃貸か・認定は市町村)

小規模保育事業の公定価格にある減価償却費加算と賃借料加算を、留意事項通知の別紙6・7・8から整理します。建物が自己所有か賃貸かでどちらになるか、一部だけ賃貸のときの延べ面積50%の判定、国庫補助との関係、認定の主体と申請書類を、類型ごとの記号の違いとあわせて確認できます。

建物の持ち方で、2つの加算のどちらかに分かれる

留意事項通知は、小規模保育事業の類型ごとに別紙を分けています。A型・B型は別紙6、C型は別紙7、満三歳以上限定小規模保育事業は別紙8です。

どの別紙にも、建物に関する加算として減価償却費加算と賃借料加算があります。建物が自己所有なら減価償却費加算、賃貸物件なら賃借料加算が検討の対象になります。どちらの要件にも、もう一方の加算の対象になっていないことが入っているため、両方を同時に受けることはできません。

2つの加算の要件の比較(留意事項通知 別紙6・7・8 の各Ⅲ、確認日 2026-10-21)
項目減価償却費加算賃借料加算
建物小規模保育事業の用に供する建物が自己所有小規模保育事業の用に供する建物が賃貸物件
費用の発生建物を整備・改修または取得する際に、建設資金または購入資金が発生している賃貸物件に対する賃借料が発生している
国庫補助建物の整備・改修で、施設整備費等の国庫補助金の交付を受けていない賃借料の国庫補助を受けた場合は、補助に係る残額が生じていない
もう一方の加算賃借料加算の対象になっていない減価償却費加算の対象になっていない
一部だけ別の持ち方のとき自己所有の延べ面積が事業所全体の50%以上賃貸の延べ面積が事業所全体の50%以上
認定する人事業所が所在する市町村長事業所が所在する市町村長

加算額は、減価償却費加算が「標準」または「都市部」の区分、賃借料加算が地域の区分ごとに定められます。金額はこの記事では扱いません。試算ツールと告示で確認してください。

類型ごとに、通知の箇所と記号が違う

要件の書き方は3つの別紙でほぼ同じですが、項目番号と、公定価格表の記号が違います。

公定価格表の記号と通知の項目を取り違えると、別の加算を読んでしまうため、自分の類型の別紙を確認します。

類型ごとの通知の箇所と記号の比較(留意事項通知 別紙6・7・8、事業所内保育事業は別紙9、確認日 2026-10-21)
類型別紙減価償却費加算の項目と記号賃借料加算の項目と記号
小規模保育事業A型・B型(保育認定3号)別紙6Ⅲ7(⑬)Ⅲ8(⑭)
小規模保育事業C型(保育認定3号)別紙7Ⅲ4(⑨)Ⅲ5(⑩)
満三歳以上限定小規模保育事業(保育認定2号)別紙8Ⅲ6(⑬)Ⅲ7(⑭)
事業所内保育事業(保育認定3号)別紙9Ⅲ7(⑭)Ⅲ8(⑮)

事業所内保育事業の2つの加算は事業所内保育事業の減価償却費加算と賃借料加算で整理しています。

一部だけ賃貸のときは、延べ面積の50%で判定する

事業所の建物の一部が賃貸物件、残りが自己所有というときの判定は、通知の注に書かれています。

減価償却費加算は、自己所有の建物の延べ面積が事業所全体の延べ面積の50%以上であること。賃借料加算は、賃貸による建物の延べ面積が事業所全体の延べ面積の50%以上であること、です。

自己所有と賃貸がちょうど半々のときは、通知の書き方では、どちらの加算の注の条件も満たします。ただし、どちらの加算にも「もう一方の対象になっていないこと」という要件があるため、同時に受けることはありません。

どちらで認定されるかは、市町村が申請書類を見て決めます。通知にこの場合の優先順位は書かれていないため、所在地の市町村に確認してください。

延べ面積の数え方(共用部分や敷地の扱いなど)は、この通知では定められていません。申請の様式や添付する図面は、市町村ごとに異なります。

減価償却費加算:国庫補助を受けた建物は原則として対象外

減価償却費加算は、建物の整備・改修で、施設整備費等の国庫補助金の交付を受けていないことが要件です。

国庫補助を受けて建設・改修した建物は、原則として対象になりません。

通知の注2には例外があります。国庫補助を受けて建設・改修した建物について、整備後一定年数が経過したあとに、次の3つをすべて満たす改修等を行った場合は、補助を受けていない扱いとして差し支えないとされています。

1つ目は、老朽化等を理由として改修等が必要であったと市町村が認めること。2つ目は、その改修等に当たって国庫補助の交付を受けていないこと。3つ目は、1事業所当たりの改修等に要した費用を2,000で除した値が、建物全体の延べ面積に2を乗じた値を上回る場合で、かつ改修等に要した費用が1,000万円以上であることです。

整備後の「一定年数」が何年かは、この通知には書かれていません。老朽化等の判断は市町村が行うため、改修の前に所在地の市町村へ確認することをすすめます。

賃借料加算:国庫補助を受けた場合は残額の有無を見る

賃借料加算は、賃貸物件に賃借料が発生していることが要件です。

賃借料の国庫補助を受けた事業所は、その補助に係る残額が生じていないことが求められます。ただし、「都市部における保育所への賃借料等支援事業」による国庫補助は、この確認の対象から除かれています。

賃借料の補助を受けた事業所は、「補助に係る残額が生じていないこと」が要件になります。

どの補助を受けているかは、補助の交付決定の書類で確かめます。通知は「残額」の意味を示していないため、残額の考え方は所在地の市町村に確認してください。

認定の流れ:設置者の申請を市町村長が確認する

どちらの加算も、認定は事業所が所在する市町村長が行います。

認定するに当たり、市町村長は設置者から申請を徴して、要件への適合状況を確認します。申請に含める資料として、通知は次のものを挙げています。

認定の申請に含める資料(留意事項通知 別紙6・7・8 の各Ⅲ、確認日 2026-10-21)
加算通知が挙げる申請の内容
減価償却費加算事業所名、加算の適用年月、建物を整備・改修または取得する際の契約書類等
賃借料加算事業所名、加算の適用年月、賃貸契約書等

認定後も、要件に適合しなくなった場合は、適合しなくなった日の属する月の翌月(月初日に適合しなくなった場合はその月)から、加算の適用がないものとされます。

自己所有の建物を売却して賃貸に切り替えた、補助の残額が生じたなど、建物に変化があったときは、市町村へ早めに伝えます。

確認する順序

自園の類型の別紙、建物の持ち方、国庫補助の有無、申請書類の4点を、この順に確かめます。

  1. 自園の類型を確かめ、通知の別紙6・7・8のどれを読むかを決める

    A型・B型、C型、満三歳以上限定のどれかを、認可の書類で確かめます。項目番号と記号は類型ごとに違います。

  2. 事業所の建物が自己所有か賃貸か、一部だけ違う場合は延べ面積の割合を整理する

    登記事項や賃貸契約書で、自己所有部分と賃貸部分の延べ面積を書き出し、50%以上かを確かめます。

  3. 建物の整備・改修や賃借料に、国庫補助を受けたかを確かめる

    補助の交付決定の書類で、補助の種類と、賃借料の補助なら残額の有無を整理します。

  4. 申請の書類(契約書類または賃貸契約書)をそろえ、申請の時期を市町村に確認する

    通知が挙げる資料に加えて、市町村独自の様式があるかを、所在地の市町村に確認します。提出時期や期限は市町村ごとに異なります。

次に知りたいこと:家庭的保育事業の同じ加算、設備と職員の基準、ほかの調整

家庭的保育事業と保育所にも同じ名前の加算があり、それぞれ別の記事で整理しています。

家庭的保育事業の減価償却費加算は家庭的保育事業の減価償却費加算、保育所の減価償却費加算は減価償却費加算と国庫補助、別棟、増築、小規模保育事業の設備の基準は小規模保育事業の設備の基準と面積、C型の食事・管理者・土曜日閉所の調整は小規模保育事業C型の3つの調整をご覧ください。

よくある質問

減価償却費加算と賃借料加算は、両方受けられますか。

受けられません。どちらの要件にも、もう一方の加算の対象になっていないことが入っています。建物が自己所有か賃貸かで、どちらかが検討の対象になります。

A型・B型・C型・満三歳以上限定で、要件は違いますか。

通知の要件の書き方は、別紙6・7・8でほぼ同じです。違いは、項目番号と公定価格表の記号です。自分の類型の別紙を読んでください。

この記事で、自園が加算の対象かを判定できますか。

できません。この記事は、通知の定めを整理したものです。認定は市町村長が行うため、個別の判断は所在地の市町村に確認します。

公定価格を試算する

所在地、利用定員、年齢別の園児数を入力します。減価償却費加算・賃借料加算の認定は市町村が行うため、認定の内容は所在地の市町村で確かめてください。

利用定員を入れて公定価格を試算する

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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