解説

家庭的保育事業の減価償却費加算:自宅の一部で保育するときの建物の名義

家庭的保育事業等の減価償却費加算は、事業の用に供する建物が自己所有であることが要件です。自宅の一部で保育する場合に、名義が事業主でなければ対象外か、配偶者や生計を一にする者の名義はどうかを、公定価格FAQ第32版と留意事項通知で整理します。(FAQ No.122)

要件は、保育に使う建物が自己所有であること。名義は原則として事業主

留意事項通知は、家庭的保育事業の減価償却費加算の要件の一つに、事業の用に供する建物が自己所有であることを置いています。ほかに、建物を整備・改修または取得する際に建設資金または購入資金が発生していること、改修費等の国庫補助金の交付を受けていないこと、賃借料加算の対象になっていないことが、すべて満たされる必要があります。

自宅の一部で保育を行う場合に、迷いやすいのが建物の名義です。公定価格に関するFAQ(第32版・令和8年7月24日時点版)のNo.122が、自己所有は自宅の名義が事業主でなければならないということか、という問いに答えています。

加算の基本は『減価償却費加算の試算(「標準」「都市部」の区分)』、国庫補助の要件は『減価償却費加算の国庫補助要件:別棟・増築・地方単独補助金の扱い(公定価格FAQ No.111・123)』にあります。この記事は、名義の一点に絞ります。

FAQ No.122:原則は事業主の名義。配偶者等の名義も趣旨に反しなければ可

答えの前半は、加算要件が「自己所有であること」なので、自宅の一部を改修して保育を行う場合でも、建物の名義が事業主でなければ、原則として減価償却費加算の対象にならないというものです。

後半は例外の考え方です。家庭的保育事業等は、保育者の居宅等を保育の提供場所としている場合があります。そこで、建物が配偶者や生計を一にしている者の名義であるなど、社会通念上、要件の主旨に反しないと判断される場合は、加算要件を満たしているものとして差し支えないとされています。

FAQ第32版No.122の整理(確認日 2026-10-18)
建物の名義FAQの答えの要点
事業主以外の名義原則として対象外
配偶者や生計を一にしている者の名義など社会通念上、要件の主旨に反しないと判断される場合は、要件を満たしているものとして差し支えない

この例外は、要件の主旨に反しないかどうかの判断です。配偶者の名義であれば自動的に対象になる、という書き方ではありません。判断するのは、加算を認定する市町村です。

FAQの問いには親族等との共有名義も含まれますが、答えは共有名義そのものには触れていません。共有名義の場合は、市町村に確認してください。

建物の一部が賃貸のときは、自己所有の延べ面積が半分以上かを見る

建物の一部が賃貸のときは、自己所有の部分が延べ面積の半分以上かが別の確認事項になります。通知は、事業所の一部が賃貸物件の場合について、自己所有の建物の延べ面積が事業所全体の延べ面積の50%以上であることを求めています。名義の整理とは別の確認事項です。

また、減価償却費加算と賃借料加算は、どちらかの対象になっていないことが互いの要件です。自己所有か賃貸かで、見る加算が分かれます。

名義人と事業主の関係を整理して、市町村に確認する順序

加算の認定は、事業所が所在する市町村長が行います。通知は、認定の申請で、事業所名、加算の適用年月、建物を整備・改修または取得する際の契約書類等を市町村が確認すると定めています。以下の順序は、この記事の整理です。

  1. 保育に使う建物の名義人を確かめる

    登記の名義人が、事業主本人か、別の人かを確認します。

  2. 事業主以外の名義なら、関係を整理する

    名義人が配偶者や生計を一にしている者かなど、事業主との関係を書き出します。FAQの例外は、この関係を前提にした判断です。

  3. 認定する市町村に名義の扱いを確認する

    契約書類等と合わせて名義人の関係を示し、減価償却費加算の要件を満たすと扱われるかを確認します。

  4. 一部が賃貸なら延べ面積を確かめる

    自己所有の部分が延べ面積の半分以上かを、図面などで整理します。

次に知りたいこと:賃借料加算と加算の一覧

名義が事業主以外で自己所有と扱われない場合は、賃借料加算の要件を見ることになります。ただし賃貸物件であることや賃借料の発生が要件のため、自宅の使い方によって該当する加算が変わります。

賃貸物件の加算は『賃借料加算の確認手順(認定通知・地域類型・標準と都市部の区分)』、人員と設備の側は『家庭的保育事業と居宅訪問型保育事業の基準(部屋の面積・乳幼児の数・連携施設)』、加算全体の入口は『保育所の公定価格の加算一覧:確認する先で分類』が参考になります。

よくある質問

自宅の一部を改修して保育します。建物の名義が自分でなくても減価償却費加算は受けられますか。

FAQ第32版のNo.122は、原則として建物の名義が事業主でなければ対象にならないと答えています。ただし、配偶者や生計を一にしている者の名義など、社会通念上、要件の主旨に反しないと判断される場合は、要件を満たしているものとして差し支えないとされています。

配偶者名義の自宅なら、必ず対象になりますか。

必ずとは言えません。FAQは、要件の主旨に反しないと判断される場合に限って差し支えないとしています。判断は加算を認定する市町村が行うため、事前に確認してください。

建物の一部が賃貸の場合はどうなりますか。

留意事項通知は、事業所の一部が賃貸物件の場合、自己所有の建物の延べ面積が事業所全体の延べ面積の50%以上であることを求めています。

自分の事業所が対象かどうかを、この記事で判定できますか。

できません。この記事は国のFAQと通知の整理です。名義や建物の事情によって変わるため、認定する市町村に確認してください。

公定価格を試算する

所在地、利用定員、年齢別の園児数を入力します。建物の名義による加算の対象かどうかの判定は、試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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