解説

東京都の保育所の施設長の要件:専任に準ずる条件、民間の4類型、法人代表者との兼任ができる場合

東京都の保育所設備・運営基準解説(令和5年9月21日版)が示す、施設長に求める専任・専任に準ずる者の定義、民間保育所の施設長になれる4類型(a〜d)、施設長と設置経営主体代表者の兼任の要件と、解説が施設長に当たらないとする場合を整理します。

この記事が答えること:東京都で、施設長に置ける人の条件

東京都の要綱は、新たに施設長に就任する者を、専任または専任に準ずる者で、かつ決められた経歴の要件を満たす者としています。

東京都福祉局の「東京都保育所設備・運営基準解説」(令和5年9月21日版)は、要綱「第2 保育所の基本的要件 4 職員 (2)施設長」の条文と、その解説を載せています。

この記事では、専任の意味、民間保育所の4つの類型、法人代表者との兼任の3点を、就任前に確かめる順に整理します。

この記事は、東京都が公表している解説書の記載を整理するものです。個別の人が施設長の要件に当たるかの判断や、認可・給付の可否は扱いません。東京都の取扱いなので、他の自治体は各自治体の手引きで確かめてください。

専任または専任に準ずる者とは

要綱は、保育所は特に施設長によって運営が左右されることから、新たに就任する施設長を専任または専任に準ずる者とすると書いています。

要綱は、専任または専任に準ずる者を、常時実際にその保育所の運営管理の業務に専従し、かつ有給の者と定めています。

子ども・子育て支援法第27条第1項に基づく施設型給付の対象として区市町村長の確認を受けた民間保育所では、有給とは、委託費から給与が支出されていることを指します。

要綱は、2以上の施設や他の業務と兼務して保育所長としての職務を行っていない者は、施設長に該当しないと書いています。

解説も、施設長とは施設長・園長などの名称にかかわらず、保育を行う児童の健康と安全に最終的な責任を負う者を指すとしています。

そのため、保育所内の他の職員の指示で業務を行う者は施設長ではない、とされています。

肩書が「園長」でも、運営管理に専従していなければ施設長に数えない

要綱は、2以上の施設や他の業務と兼務し、保育所長として職務を行っていない者を施設長に該当しないとしています。解説は、他の職員の指示で業務を行う者は施設長ではないと書いています。

就任予定の人について、他の施設・業務との兼務の有無、給与の支出元、運営管理の決定権を、辞令と勤務条件で確かめます。

民間保育所の施設長になれる4類型(a〜d)

要綱は、民間保育所の施設長について、児童福祉事業に熱意があり、施設を適切に運営できる者のうち、次のaからdのいずれかを満たす者と定めています。

夜間保育所(平成12年3月30日付児発第298号により設置された保育所)の施設長は、原則として保育士の資格を有する者とされています。

民間保育所の施設長の要件(東京都の要綱、確認日 2026-10-22)
類型要綱の書き方
a 施設での経験児童福祉法第7条第1項に定める児童福祉施設で、施設長の職、または月120時間以上勤務して児童の処遇に直接従事する職員の職に、2年以上従事した者
b 保育士保育士であって、保育所または幼保連携型認定こども園で月120時間以上同一施設に継続して1年以上勤務した経験などの(a)〜(e)のいずれかに当たる者
c 社会福祉士など社会福祉士・社会福祉主事の資格を有する者、または社会福祉事業に2年以上従事した者で、国または国の委託を受けた者が実施する保育所長研修を修了した者に限る
d 準ずる者aからcに準ずる者で知事が適当と認定した者(国または国の委託を受けた者が実施する保育所長研修を修了した者に限る)

bの(a)〜(e)は、次のとおりです。

(a)保育所または幼保連携型認定こども園で月120時間以上、同一施設で継続して1年以上の勤務経験(幼保連携型認定こども園は、子ども・子育て支援法第19条第1項第2号または第3号の認定を受けた児童の保育に従事していた者に限る)。

(b)認証保育所の施設長として同一施設で継続して1年以上。(c)小規模保育事業または事業所内保育事業の運営責任者として同一施設で継続して1年以上。

(d)幼稚園の園長として同一施設で継続して1年以上。(e)(a)〜(d)に準ずる者で、知事が適当と認定した者。

公立保育所(公設民営を含む)の施設長は、児童福祉事業に2年以上従事した者、またはこれと同等以上の能力があると認められる者と別に定められています。

施設長と設置経営主体代表者の兼任ができる場合

要綱は、アの要件に加えて(ア)〜(オ)の要件を満たし、さらに「当該法人の実施事業が当該保育所のみの場合」または「当該保育所が開設した後である場合」に限り、施設長と設置経営主体代表者の兼任を認めています。

解説は、当該法人の実施事業が当該保育所のみでない場合は、事実上専任に準ずると認められないと書いています。開設後の兼任にも、この解説の注意が当たります。

施設長と設置経営主体代表者の兼任の要件(東京都の要綱、確認日 2026-10-22)
要件要綱の書き方
(ア) 公共性と公正な運営公共性が確保され公正な運営がなされており、今後も適正な運営が確保できること
(イ) 人材他に適当な人材を求めることが困難であること
(ウ) 他の有給の職常勤、非常勤を問わず、他に有給の職を有していないこと(他の団体の役員で、その職務上、法人の運営に支障がないと認められる場合を除く)
(エ) 判断基準社会福祉法人の公共性・公正な運営の確保についての判断基準で判断する。社会福祉法人以外の設置経営主体は、これに準ずる
(オ) 第三者評価福祉サービス第三者評価を受審すること

(エ)の判断基準は、理事会の構成、理事会の運営、監事の業務執行、保育所の運営の4つの観点と、今後も要件を満たすことが期待できるかを見ます。

理事会は年間5、6回開催されていることなどが挙げられています。

保育所の運営では、意図的な不適正支出等があった場合に、その当事者でないことが挙げられています。

就任前に確かめる順番

先に専任であることを確かめ、次に4類型のどれに当たるかを確かめる順番で進めます。

以下の順番は、この記事の確認の並べ方で、要綱に順番の指定はありません。

  1. 専任であることを確かめる

    他の施設・業務との兼務の有無、給与が委託費から支出されるか、運営管理の決定権があるかを確かめます。

  2. 民間の4類型のどれに当たるかを確かめる

    経歴をaからdに照らし、勤務時間(月120時間以上)や継続勤務の年数を、在職証明などで確かめます。

  3. 法人代表者が兼ねる場合は、5つの要件を確かめる

    法人の実施事業が当該保育所のみか、保育所の開設後か、他に有給の職がないか、第三者評価の受審予定があるかを確かめます。

  4. 不明な点は東京都に確かめる

    知事の認定が必要な類型(bの(e)、d)や、区市町村の確認に関わる点は、所在地の区市町村と東京都に確かめます。

よくある質問

法人の代表者が、自分の保育所の施設長を兼ねられますか。

要綱は、施設長の要件に加えて兼任の5つの要件を満たし、法人の実施事業が当該保育所のみの場合または開設後である場合に限り、兼任を認めています。解説は、実施事業が当該保育所のみでない場合は、事実上専任に準ずると認められないと書いています。

保育士の資格がなくても、民間保育所の施設長になれますか。

要綱の4類型には、保育士の資格を要件にしないもの(aの施設での経験、c、d)もあります。cとdは保育所長研修の修了も条件です。ただし夜間保育所の施設長は、原則として保育士の資格を有する者とされています。

他の事業所の仕事と兼ねて、名目上の施設長になれますか。

要綱は、2以上の施設や他の業務と兼務し、保育所長として職務を行っていない者は施設長に該当しないと書いています。

この試算で、施設長の要件を満たすか判定できますか。

判定できません。この試算は公定価格のモデル計算で、施設長の要件や認可・給付の可否は扱いません。

施設長の条件を確かめたうえで、公定価格を試算する

市町村に確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。施設長の要件の適合は試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

次に知りたいこと:施設長の資格要件と公定価格、施設長未配置の減算と兼務の判断、東京都の常勤の保育士の4要件

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