解説

病児保育事業の当日キャンセル対応加算・感染症対応加算の数え方(国のFAQ令和8年3月27日版・余剰配置と加配の判定)

こども家庭庁が令和8年3月27日に示した「病児保育事業に関するFAQ」をもとに、当日キャンセル対応加算の回数の数え方(余剰になった看護師・保育士の人数)と、感染症対応加算の対象になる加配の判定(配置基準上の保育士数と感染症の種類数の比較)を整理します。補助の金額は扱いません。

この2つの加算は、公定価格ではなく子ども・子育て支援交付金の側にある

こども家庭庁保育政策課は、令和8年3月27日付けで「病児保育事業に関するFAQ」を示しています。

FAQの最初の2項目が、当日キャンセル対応加算と感染症対応加算です。

どちらも病児保育事業(病児対応型・病後児対応型)の補助の加算で、公定価格(施設型給付費・委託費)の加算ではありません。

FAQは、当日キャンセル対応加算の単位が「回」であることを「子ども・子育て支援交付金の交付要綱上」の扱いとして書いています。

公定価格と病児保育事業の補助が別制度であることは、病児保育事業の補助と公定価格の関係(第59条の事業・3加算の要件・弾力運用)で整理しています。

この記事は、FAQが示す数え方と判定の考え方を扱います。この記事は補助の金額を扱いません。金額や申請の方法は、所在地の市町村に確認してください。

当日キャンセル対応加算:「キャンセルされた人数」ではなく「余剰になった職員の人数」を数える

FAQは、令和5年3月29日付けの事務連絡に沿って、病児保育事業の職員配置基準を「看護師:利用児童おおむね10人につき1名、保育士:利用児童おおむね3人につき1名」と書いています。

この配置基準を考慮しつつ、当日キャンセルの結果、職員配置に余剰が生じた人数をカウントします。

FAQが示す当日キャンセルのカウント例(利用予定の児童数と当日の児童数)
場面必要な配置(予定時 → 当日)カウント
利用予定4人、1人がキャンセルし3人が利用保育士2名 → 1名。保育士1名が余剰1回
利用予定15人、7人がキャンセルし8人が利用看護師2名・保育士5名 → 看護師1名・保育士3名。看護師1名と保育士2名が余剰3回
利用予定6人、1人がキャンセルし5人が利用保育士2名 → 2名のまま。余剰なしカウントしない
1人がキャンセルしたが、キャンセル待ちの児童が空き枠を利用し、余剰が出ない必要な配置は変わらないカウントしない

FAQは、加算が「当日キャンセルの結果、職員配置に余剰が生じた場合に措置を行うもの」だからだと説明しています。

市町村が独自に職員の加配を行っている場合は、独自の加配分の余剰はカウントの対象になりません。

国の基準に換算して余剰になった職員数は、カウントの対象にしてよいとされています。

前日の夜のキャンセルは、市町村の判断で扱いが変わる

FAQは、当日の午前0時以降のキャンセルを基本としています。実情に応じて、余剰配置が生じることを前提に、実施主体である市町村の判断で前日の夜間のキャンセルから認める対応も考えられるとしています。この場合、市町村が事前に客観的な判断基準を取り決めておく必要があるとされています。

前日の営業終了後にキャンセルの連絡が入る運用なら、そのキャンセルを加算の対象にするかを、所在地の市町村に事前に確認する。

感染症対応加算:隔離のために保育士が足りなくなるときの加配が対象

FAQは、感染症対応加算を「隔離等を行うために必要となる保育士の人件費について措置を講ずるもの」と書いています。

加配が対象になるかは、通常の配置基準どおりの保育士数では、保育士が不足し、隔離を行えない状況かどうかで判断します。

FAQは、実施要綱6(7)②イの「加配日数」の定めについての質問に、この考え方で答えています。

判定の方法は、2つの数の比較です。

(A)は、利用児童総数に対する配置基準上の保育士の数です。

(B)は、感染症の種類の数(何室分の隔離が必要か)です。

(A)が(B)以下のときに限り、加配は対象になります。

FAQが示す感染症対応加算の判定例(利用児童と、種類の異なる感染症の児童数)
利用児童感染症の児童(種類は別々)保育士の配置(A)と(B)判定
7名2名4名(A)3 >(B)2対象外
7名2名5名(A)3 >(B)2対象外
7名3名4名(A)3 =(B)3対象
9名3名4名(A)3 =(B)3対象
2名2名2名(A)1 <(B)2対象

FAQが挙げる対象外の理由は、配置基準上必要な保育士数が、隔離に必要な保育士数をすでに上回っているからです。

実施要綱の例にある、利用児童7名(うち感染症の児童2名)に保育士3名を置く場合は、保育士2名を1対1の隔離要員にしても、利用児童全体に対する配置基準を満たします。

このため、さらに保育士を足しても、加算日数には含めません。

感染症の扱い:検査結果・かぜ症候群・パーテーション・証明資料

感染症対応加算に関するFAQの回答
問いFAQの回答
「感染症」に病児保育独自の定義はあるか独自の定義はない。一般的な定義は厚生労働省のホームページ等を参照する
国へ証明資料を出す必要があるか国費の申請手続き上、国へ証明資料を提出する必要はない。市町村が履行の確認や監査の中で加算要件を確認する
検査結果が出ていない、または偽陰性が疑われる利用でもよいか医師の判断等に基づき、症状に応じて隔離し保育士を加配していれば対象。利用後に陰性とわかっても、当日に隔離と加配をしていれば対象
いわゆる「かぜ症候群」の児童でもよいか医師の判断等に基づき隔離が必要と判断し、保育士を加配した場合は対象
パーテーションや、距離を広くとる対応は「隔離等の感染防止対応」に含まれるか基本は居室を分けることを想定。含まれるかは、実施主体である市町村が実情に応じて判断する
感染症の児童が当日キャンセルになり、加配の保育士が余剰になったらその保育士分を、当日キャンセル対応加算の回数にカウントしてよい

国へ証明資料を出す必要がないことは、記録が要らないことを意味しません。

検査結果が出ていない段階の利用について、FAQは、隔離を行う理由(症状、疑わしい感染症名等)を明確にして記録しておく必要があると書いています。

申請に必要な情報や数値は、子ども・子育て支援交付金交付要綱の申請書別表で確認する、とされています。

よくある質問

当日に2人がキャンセルしたら、2回と数えますか。

キャンセルした人数ではなく、余剰になった職員の人数で数えます。FAQの例では、利用予定15人のうち7人がキャンセルし、看護師1名と保育士2名が余剰になったため、3回です。配置基準上の必要職員数が変わらないキャンセルは、カウントしません。

市町村が独自に保育士を多く配置しているとき、その分もカウントできますか。

市町村独自の加配分の余剰は、カウント対象になりません。国の基準に換算して余剰になった職員数は、カウントの対象にしてよいとFAQは書いています。

この2つの加算は、公定価格の試算に入りますか。

入りません。この試算ツールは公定価格(施設型給付費・委託費)の算定のみを行い、病児保育事業の補助は試算に含めていません。国の補助事業の全体像は、公定価格と別建ての国の補助事業一覧(延長保育・病児保育・一時預かり・保育体制強化・保育補助者雇上強化・宿舎借り上げ)を参照してください。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事は、令和8年3月27日付けのFAQの本文(当日キャンセル対応加算と感染症対応加算の2項目)を扱います。FAQが引く実施要綱や事務連絡の本文は、この記事では照合していません。FAQの後の改正や追加は確認していません。自園での扱いは、所轄の市町村に確認してください。

次に知りたいこと:病児保育事業の補助と公定価格の関係(第59条の事業・3加算の要件・弾力運用)、病児保育事業の広域連携の仕組みと費用の分け方(こども家庭庁の事務連絡・山梨県・山口県・大分県の例)、延長保育事業実施要綱の実施要件と職員配置(延長時間区分・平均対象児童数・基準配置、令和7年3月31日の一次改正)、一時預かり事業の補助は、公定価格の加算に含まれるか

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

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