延長保育事業の要件は、こども家庭庁成育局長通知の「延長保育事業実施要綱」に書かれている
延長保育事業の実施について、こども家庭庁成育局長は、都道府県知事・指定都市市長・中核市市長へ通知を出しています(こ成保第225号、令和6年4月1日。令和7年3月31日にこ成保第258号で一次改正)。
別紙の「延長保育事業実施要綱」が令和6年4月1日から適用され、平成27年7月17日付けの厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知は令和6年3月31日限りで廃止されました。
事業の実施主体は市町村で、市町村が認めた者へ委託等を行うことができるとされています。
事業の内容は、保育認定を受けた児童が、やむを得ない理由により通常の利用日・利用時間帯以外の日と時間に保育所や認定こども園等で保育を受けたときに、保護者が支払う時間外保育の費用の全部または一部を助成する事業、と書かれています。
公定価格とは別に運営される事業であることは、延長保育事業の補助は、公定価格の加算に含まれるかで整理しています。
この記事は、通知が定める実施方法・職員配置・実施要件を扱います。この記事は補助の金額を扱いません。金額や申請の方法は、所在地の市町村に確認してください。
実施方法は「一般型」と「訪問型」の2つ
実施要綱は、実施方法を一般型と訪問型に分けています。
一般型の実施場所は、民間保育所等(都道府県および市町村以外の者が設置する保育所または認定こども園)、小規模保育事業所、事業所内保育事業所、家庭的保育事業所、駅前等利便性の高い場所、公共的施設の空き部屋等です。
訪問型の実施場所は、利用児童の居宅です。
一般型の職員配置:基準配置と、保育士は2名を下ることはできない扱い
一般型の職員の基準配置は、年齢ごとに次のとおり書かれています。
乳児おおむね3人につき1名以上、満1歳以上満3歳未満おおむね6人につき1名以上、満3歳以上満4歳未満おおむね15人につき1名以上、満4歳以上おおむね25人につき1名以上です。
ただし、保育士等の配置の状況から延長保育の実施に支障を及ぼすおそれがあるときは、経過措置として当分の間、満3歳以上満4歳未満おおむね20人につき1名以上、満4歳以上おおむね30人につき1名以上としてよいとされています。
| 類型 | 通知の書き方 |
|---|---|
| 民間保育所等 | 基準配置により保育士を配置する。実施場所1つにつき保育士は2名を下ることはできない |
| 小規模保育事業(A型) | 基準配置により保育士を配置する |
| 小規模保育事業(B型) | 保育士その他の保育従事者を基準配置により配置する。そのうち保育士を1/2以上とする |
| 小規模保育事業(C型) | 家庭的保育者1名が保育できる乳幼児は3人以下。家庭的保育補助者とともに保育する場合は5人以下 |
| 事業所内保育事業(定員20人以上) | 基準配置により保育士を配置する。保育士は実施場所1つにつき2名を下ることはできない |
| 事業所内保育事業(定員19人以下・A型) | 基準配置により保育士を配置する |
| 事業所内保育事業(定員19人以下・B型) | 保育士その他の保育従事者を基準配置により配置する。そのうち保育士を1/2以上とする |
| 家庭的保育事業(定員4人以上) | 家庭的保育者と家庭的保育補助者を配置する |
| 家庭的保育事業(定員3人以下) | 家庭的保育者を配置する |
民間保育所等と事業所内保育事業(定員20人以上)には、例外が書かれています。
開所時間内の短時間認定児の延長保育について、標準時間認定児を保育する職員の支援を受けられる場合は、保育士1名で保育できる乳幼児数の範囲内で、保育士を1名とすることができます。
民間保育所等では、同一敷地内で放課後児童健全育成事業を行う法人について、利用児童がおおむね2人以下であることなど、4つの要件をすべて満たす場合の合同保育の扱いも注として書かれています。要件の全文は通知で確認してください。
一般型の実施要件:延長時間の区分と、延長時間内の平均対象児童数
実施要件は、認定の区分(短時間認定か標準時間認定か)と延長した時間の長さで決まります。
どの区分も、延長時間内の1日当たり平均対象児童数が、通知に書かれた人数以上いることが条件です。
標準時間認定の1〜3時間の延長は3人以上、30分延長は1人以上です。短時間認定の1〜3時間の延長は1人以上です。
| 認定の区分と延長の場面 | 延長時間の区分 | 延長時間内の平均対象児童数 |
|---|---|---|
| 短時間認定(開所時間内で、短時間認定児の保育時間を超える延長) | 1時間・2時間・3時間(それぞれ以上) | 1人以上 |
| 短時間認定(開所時間を超えた延長) | 標準時間認定と同様 | 標準時間認定児と合算して算出 |
| 標準時間認定(夜10時以降を除く) | 1時間・2時間・3時間以上 | 3人以上 |
| 標準時間認定(夜10時以降を除く) | 30分延長(上記に該当しないもの) | 1人以上 |
| 標準時間認定(夜10時以降に行う延長) | 1時間延長 | 2人以上 |
| 標準時間認定(夜10時以降に行う延長) | 2時間延長・3時間以上・30分延長 | 1人以上 |
夜10時以降の区分は、小規模保育事業・事業所内保育事業(定員19人以下)・家庭的保育事業、および民間保育所等・事業所内保育事業(定員20人以上)が行う延長保育に書かれています。
夜間保育所の設置認可を受けた施設が夜10時以降に延長保育を行う場合の交付基準額は、別に定めるとされています。
平均対象児童数の数え方と、区分の重なりに注意する
通知の注は、3つの扱いを定めています。短時間認定児の保育を行う時間または開所時間の前と後ろで延長する場合、前後の延長時間と平均対象児童数を合算せず、前後それぞれで延長時間を定めます。ただし短時間認定で、前後それぞれの延長時間に端数が生じる場合は、平均対象児童数が1人以上いる時間を前後合算して算出します。複数の延長時間区分に当たる場合は、各区分の(エ)(短時間認定の開所時間を超えた延長と、30分延長)を除き、最も長い区分を適用します。平均対象児童数は、年間の延長時間区分における各週ごとの最も多い利用児童数をもって平均し、小数点以下第一位を四捨五入した数です。
自園の延長保育の記録を、前と後ろに分け、週ごとの最多の利用児童数で整理してから、市町村に区分の当てはめを確認する。
訪問型の要件:居宅で行い、児童数は1人、年間延べ利用日数で見る
訪問型の対象は、民間保育所等・小規模保育事業所・事業所内保育事業所・家庭的保育事業所・居宅訪問型保育事業所を利用する児童のうち、次のどちらかに当たる児童です。
一つ目は、居宅訪問型保育事業を利用する児童で、利用時間を超える場合です。
二つ目は、民間保育所等における延長保育の利用児童数が1人となった場合です。
職員配置は、家庭的保育者1名が保育できる児童数を1人としています。
一つ目の児童には、研修を修了した家庭的保育者を配置します。二つ目の児童には、保育士を配置します。
実施要件は、平均対象児童数ではなく、延長時間内の年間延べ利用日数が26日以上あることです。
通知は、研修の実施体制が整っていない場合の経過措置(おおむね2年程度)も書いています。要件の全文は通知で確認してください。
よくある質問
- 延長保育を1人でも受け入れていれば、国の要件を満たしますか。
区分によって異なります。短時間認定の延長や、標準時間認定の30分延長は、通知で平均対象児童数が1人以上と書かれています。標準時間認定の1〜3時間の延長(夜10時以降を除く)は3人以上です。自園の区分は、所在地の市町村に確認してください。
- 延長保育の職員は、保育士だけでよいですか。
類型によって異なります。民間保育所等と事業所内保育事業(定員20人以上)は、保育士を実施場所1つにつき2名を下らないとされています(通知の記載)。小規模保育事業(B型)は保育士その他の保育従事者で、保育士が1/2以上です。
- この要件は、公定価格の試算に入りますか。
入りません。この試算ツールは公定価格(施設型給付費・委託費)の算定のみを行い、延長保育事業の補助は試算に含めていません。国の補助事業の全体像は、公定価格と別建ての国の補助事業一覧(延長保育・病児保育・一時預かり・保育体制強化・保育補助者雇上強化・宿舎借り上げ)を参照してください。
自園の条件で試算する
この記事は、令和7年3月31日に一次改正された延長保育事業実施要綱のうち、実施方法・職員配置・実施要件の本文を扱います。通知の後半にあたる部分と、その後の改正は照合していません。自園での扱いは、所轄の市町村に確認してください。
ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧
この記事が参照した一次資料
- 延長保育事業の実施について(通知)(こども家庭庁成育局長)/別紙 延長保育事業実施要綱
令和6年4月1日 こ成保第225号(一次改正 令和7年3月31日 こ成保第258号)/令和6年度対象外/確認日 2026-10-31