解説

保育士修学資金の返還免除の条件を4自治体で比較

札幌市・和歌山県・大阪府社協・熊本県社協の令和8年度の案内を原文で比べ、返還免除に必要な年数、勤務時間の条件、勤務先が証明を出す場面を整理します。貸付額は自治体ごとに違うため扱いません。

この記事が答えること:免除の条件と、勤務先に求められること

保育士修学資金は、保育士養成施設の学生が借りる貸付金で、卒業後に一定期間、地域の保育所等で働くと返還が免除される仕組みです。借りるのは職員本人ですが、免除を受けるには勤務の事実を示す書類が必要になり、その証明を勤務先が出す場面があります。

この記事は、令和8年度の案内を確認できた4つの実施主体の条件を原文で比べます。貸付額は自治体ごとに異なるため、金額は扱いません。

ここで比べるのは札幌市、和歌山県、大阪府社会福祉協議会、熊本県社会福祉協議会の4つだけです。他の都道府県・市の条件は、この記事から読み取れません。国の要綱の原本は確認できておらず、記事は各実施主体の令和8年度の案内だけに基づきます。

4つの実施主体の免除条件の比較

修学資金貸付の返還免除に関する令和8年度の案内の記載
実施主体免除に必要な従事勤務時間・日数の数え方従事期間の証明など
札幌市(実施主体は札幌市社会福祉協議会)卒業後、保育士登録手続きを完了し、札幌市内の保育所等で5年間、保育士として働いた場合週20時間以上ページには記載なし(募集要項・申込みのしおりで確認が必要)
和歌山県(申込先は和歌山県社会福祉協議会)養成施設卒業後1年以内に保育士登録を行い、県内の保育所等に5年間引き続き従事したとき県のページには記載なしページには記載なし(県社協のページで確認が必要)
大阪府社会福祉協議会卒業から1年以内に保育士登録を行い、大阪府内で返還免除対象業務に引き続き5年間従事したとき。過疎地域での従事と中高年離職者は3年間5年は在職期間が通算1,825日以上かつ従事日数900日以上。3年は1,095日以上かつ540日以上。非常勤は従事日数を確認し、休職期間は除く業務従事期間証明書(従事先法人が証明)と現況報告書を、毎年4月に提出
熊本県社会福祉協議会卒業から1年以内に保育士登録を行い、県内の保育所等に就職して、5年間(一部市町村では3年間)継続して従事募集要領の免除条件には記載なし従事していることを毎年証明。免除申請時に5年分または3年分の業務従事期間証明書を提出。現況報告書は毎年4月

4つに共通するのは、卒業後に保育士登録を行い、地域内の対象施設で5年間従事する条件です。大阪府と熊本県では、過疎地域などの特例で3年間になる場合があります。

勤務時間の条件が確認できたのは札幌市の週20時間以上だけです。和歌山県と熊本県は、確認したページに書かれていません。

勤務先が関わる場面:従事期間の証明

従事期間の証明は、実施主体ごとに様式と提出時期が違います。

大阪府社協の募集要領は、業務従事期間証明書を、大阪府内で返還免除対象業務に従事している期間を従事先法人で証明するものと説明しています。毎年4月に府社協へ提出する決まりです。

熊本県社協の募集要領は、免除申請に5年分(または3年分)の業務従事期間証明書を求めています。ただし、確認した範囲では、誰が証明書を発行するかは書かれていません。

在職日数と従事日数は別に数えられる

大阪府社協の例では、5年間とは在職期間が通算1,825日以上で、かつ従事日数が900日以上とされ、休職期間は除かれます。在籍していても、休職の期間は数えられません。

職員の休職・育児休業・短時間勤務の期間を記録しておき、証明の依頼が来たら実施主体の様式に合わせて記入する。

対象施設かどうかも、実施主体ごとに定められています。大阪府社協は要綱第2条第2項のアからサまでの施設・事業、熊本県社協は募集要領の第7章の施設等種別の表で、返還免除対象業務を示しています。

保育所は熊本県社協の表に載っています。ただし、自園の種別(認可保育所、小規模保育など)が対象に入るかは、実施主体の一覧で確かめる必要があります。

4つで共通する点と、実施主体ごとに確かめる点

  1. 4つで共通して確認できたこと

    卒業後の保育士登録と、地域内の保育所等での5年間の従事が免除の基本条件です。

  2. 自治体ごとに違うこと

    特例の3年間の対象、勤務時間の下限、在職日数の数え方、証明書の様式と提出時期が違います。

  3. この記事で確かめていないこと

    他の都道府県・市の条件、貸付額、就職準備金などの別の貸付の細かい条件は扱いません。

札幌市は、就職準備金貸付などの別の貸付では週20時間以上で2年間の就労を免除の要件としています。和歌山県も就職準備金貸付などは保育所等で2年間引き続き従事したときです。修学資金とは年数が違うため、職員がどの貸付を受けたかを確かめてください。

職員から申し出があったときの手順

  1. どの貸付かを確かめる

    修学資金か、就職準備金などの別の貸付かを職員に確認します。免除に必要な年数が違います。

  2. 実施主体の募集要領を開く

    自園の所在地で貸付を行う都道府県・市の社会福祉協議会の、職員が借りた年度の募集要領を確認します。

  3. 自園が対象施設に入るか確かめる

    要領の対象施設の一覧で、自園の種別が返還免除対象業務に入るかを確認します。

  4. 証明書の様式と提出時期を確かめる

    毎年の現況報告書や、従事期間の証明書が必要か、勤務先が記入する欄があるかを確認します。

  5. 休職・勤務時間の記録を残す

    在職期間、従事日数、休職期間、週の勤務時間がわかる出勤簿や勤務表を保存します。

よくある質問

他県で借りた職員が自園に転職した場合、勤務は通算されますか。

この記事で確認した4つの案内では、免除に必要な従事は、それぞれの自治体内の施設での従事とされています。大阪府社協の要綱には、従事先法人の人事異動など本人の意思によらず府外で従事した期間を算入してよいという定めもあります。転職のような場合の扱いは、貸付を受けた実施主体への確認が必要です。

育児休業の期間は5年に数えられますか。

大阪府社協の要綱は、育児休業中は引き続き従事しているものとみなす一方、従事期間には算入しないとしています。他の実施主体の扱いは、募集要領や実施主体への確認が必要です。

パートタイムの職員でも免除の対象になりますか。

札幌市は週20時間以上、大阪府社協は非常勤の場合に従事日数を確認すると案内しています。和歌山県と熊本県は、確認したページに時間の条件の記載がありません。個別の判断は実施主体への確認が必要です。

勤務先が証明を出さないと、職員は免除を受けられませんか。

大阪府社協では、業務従事期間証明書を従事先法人で証明するものとしています。熊本県社協は、免除申請に業務従事期間証明書の提出を求めています。個別の扱いは実施主体への確認が必要です。

職員の異動と退職を試算に入れる前に

職員配置と年齢別の人数を入力して、公定価格をモデル計算します。修学資金の返還や免除の判定はしません。

公定価格の試算結果を見る

試算結果は、基準への適合や給付の支給を保証するものではありません。職員の異動・退職が加算に与える影響は保育士が異動・退職したときの加算への影響で確認できます。

次に知りたいこと:子育て支援員は保育所・小規模保育・認定こども園の配置でどう扱われるか、保育士宿舎借り上げ支援事業は賃借料加算と別制度、専門職の配置と公定価格の加算・基本分・みなし特例の職種別早見表。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

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この記事が参照した一次資料

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