解説

保育所の認可で必要利用定員総数を超えると認可されない場合

保育所の設置認可は、条例の基準を満たしても、区域の利用定員の総数が都道府県の計画の必要利用定員総数に達しているか超えるときは、認可しないことができます。児童福祉法第35条第8項と子ども・子育て支援法第62条から、確認する数字と順番を整理します。

この記事が答えること:基準を満たしても認可されないのはどんなときか

保育所の設置認可は、条例の基準と設置者の要件に合えば認可するのが原則です。

ただし児童福祉法第35条第8項のただし書きは、都道府県知事が認可をしないことができる場合を置いています。

区域の利用定員の総数が、都道府県の計画で定めた必要利用定員総数にすでに達している、または新しい保育所の設置で超えることになると認めるときです。

この記事は条文の整理です。個別の申請が認可されるかどうかは、都道府県知事が判断します。区域ごとの具体的な数字は、都道府県の計画で確認してください。

第35条第8項は、原則とただし書きの二段になっている

第8項の前半は、審査の結果、申請が条例の基準に適合し、設置者が第5項各号の基準に該当すると認めるときは、認可をするものとすると定めています。

ただし書きは、一定の場合に「認可をしないことができる」としています。

ただし書きは「しないことができる」という書き方で、該当すれば必ず認可しないと決める規定ではありません。

第8項の構造
部分内容
原則条例の基準に適合し、設置者の基準にも該当すると認めるときは、認可をする
ただし書き(数の面)区域の特定教育・保育施設の利用定員の総数が、計画の必要利用定員総数にすでに達している、または設置によって超えることになると認めるとき
ただし書き(その他)その他、計画の達成に支障を生ずるおそれがある場合として内閣府令で定める場合
効果認可をしないことができる

ただし書きの文言には、設置者の種類で場合を分ける定めは置かれていません。

同じ第8項の前半では、社会福祉法人と学校法人には第5項第4号の基準だけが当てはまるとされており、設置者の区別があるのは審査基準の部分です。

比べる数字は、区域ごとの利用定員の総数と、計画の必要利用定員総数

ただし書きが比べる対象は2つです。

1つは、保育所の所在地を含む区域の特定教育・保育施設の利用定員の総数で、保育所に当たる2号認定(満3歳以上)と3号認定(満3歳未満)の子どもに係るものに限られます。

もう1つは、都道府県が子ども・子育て支援事業支援計画で定めた、その区域の必要利用定員総数です。

ただし書きで比べる2つの数字
数字条文上の意味どこで確認するか
利用定員の総数区域の特定教育・保育施設の利用定員の総数(2号・3号に係るもの)市町村が確認で定めた利用定員(子ども・子育て支援法第31条)の区域内の合計
必要利用定員総数都道府県の子ども・子育て支援事業支援計画で定める、区域の特定教育・保育施設に係る必要利用定員総数都道府県の計画(子ども・子育て支援法第62条)

区域は、都道府県が市町村の定める教育・保育提供区域を勘案して定めます(子ども・子育て支援法第62条第2項第1号)。

計画は5年を一期とする計画です(同条第1項)。

区域の範囲や数字は、都道府県ごとに異なります。

認可の手続では、審議会の意見聴取と市町村長への協議が先に置かれる

第35条は、認可の前に2つの手続を置いています。

第6項は都道府県児童福祉審議会の意見を聴くこと、第7項は保育所の所在する市町村の長に協議することを求めています。

そのうえで第8項の審査結果に基づき認可するかが決まり、認可をしないときは第9項により、速やかに理由を通知します。

児童福祉法第35条の認可手続(保育所の場合)
項内容
第4項国、都道府県、市町村以外の者は、都道府県知事の認可を得て設置できる
第5項条例の基準への適合と、設置者の経済的基礎などの審査
第6項認可しようとするとき、都道府県児童福祉審議会の意見を聴く
第7項認可しようとするとき、所在市町村の長に協議する
第8項基準に適合すれば認可する。ただし必要利用定員総数に達する場合などは認可しないことができる
第9項認可しないときは、速やかに、その旨と理由を通知する

通常の認可の手続と経済的基礎の考え方は、株式会社が認可保育所を設置するときの「経済的基礎」と認可と確認の違いで説明しています。

申請の前に、数字を確かめる順番

確かめる数字は、計画の必要利用定員総数と、区域内の利用定員の合計の2つです。次の順で確認します。

  1. 予定地の区域を確かめる

    都道府県の子ども・子育て支援事業支援計画で、予定地がどの区域に含まれるかを確認します。区域は、市町村が定める教育・保育提供区域を勘案して、都道府県が定めるものです。

  2. 計画の必要利用定員総数を確かめる

    計画の中で、その区域の特定教育・保育施設に係る必要利用定員総数が、2号・3号の区分ごとに示されているかを読みます。

  3. 区域内の利用定員の合計を確かめる

    市町村が定めている区域内の保育所や認定こども園の利用定員を、市町村に確認して合計します。

  4. 認可の窓口に事前に相談する

    ただし書きの判断は都道府県知事が行います。申請の見込みがある段階で、都道府県と所在市町村の窓口に、数字の見方を確認します。

計画の数字は5年を一期として見直される

必要利用定員総数は計画ごとに定められます。古い計画の数字を使うと、申請時点の判断と食い違うおそれがあります。

申請の時点で有効な計画の期間と、中間の見直しの有無を、都道府県に確認する。

よくある質問

条例の基準を満たしていれば、必ず認可されますか。

必ずではありません。第35条第8項のただし書きにより、区域の利用定員の総数が必要利用定員総数に達している、または超えることになると認めるときは、認可しないことができます。該当しても認可しないと決まるわけではなく、都道府県知事が判断します。

必要利用定員総数は、どこに書かれていますか。

都道府県が定める子ども・子育て支援事業支援計画です(子ども・子育て支援法第62条第2項第1号)。区域ごとの数字は、都道府県の公表資料で確認します。

公定価格の試算に、この判断は影響しますか。

試算ツールは、認可済みの保育所を前提に、入力した条件でモデル計算をします。認可の見込みは判定しません。

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試算結果は、認可や給付の支給を保証するものではありません。次に知りたいこと:認可外保育施設から認可保育所へ移るときの公定価格、保育所の設備運営基準の条例を定める自治体、私立の認可保育所の廃止・休止の承認。

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