解説

保育所が利用定員を超えて受け入れてよい場合(運営基準第22条)

確認を受けた保育所は、市町村の確認で定めた利用定員を超えて保育を提供してはならないとされます。例外となる5つの場合(年度中の需要の増大・便宜の提供・児童福祉法の措置2つ・災害や虐待などのやむを得ない事情)を、条文の所在つきで整理します。

この記事が答えること:定員超過が許される場合

認可保育所のような特定教育・保育施設は、利用定員を超えて特定教育・保育を提供してはならないと、内閣府令で定められています。

ただし書きが5つあり、年度中の需要の増大、便宜の提供、児童福祉法の2つの措置、災害・虐待などのやむを得ない事情の場合は、この限りでないとされています。

この記事は、その5つを条文の番号つきで並べ、小規模保育など地域型保育の条との違いと、公定価格の減算との関係を整理します。

ここでの利用定員は、市町村長が給付の対象として確認するときに定める利用定員のことです(子ども・子育て支援法第27条第1項の確認)。認可の定員や、面積から決まる収容人数とは別の数字です。個別の園が超過してよいかの判断は、所在地の市町村への確認が必要です。

原則と、ただし書きの5つ

内閣府令(特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の運営に関する基準)の第22条は、利用定員の遵守を定めます。

特定教育・保育施設は、利用定員を超えて特定教育・保育の提供を行ってはならない。ただし、次の場合はこの限りでない、という書き方です。

第22条のただし書きの5つ(保育所の場合)
番号ただし書きの文言根拠として示される条文読み方のポイント
1年度中における特定教育・保育に対する需要の増大への対応内閣府令第22条年度の途中で入所希望が増えたときの対応。何人までかは、この条文には書かれていない
2法第34条第5項に規定する便宜の提供への対応子ども・子育て支援法第34条第5項第34条第5項は、利用定員の減少の届出や確認の辞退をする設置者に、利用者が引き続き保育を受けられるよう連絡調整などの便宜を求める。その便宜への対応としてただし書きが置かれている。受け入れる側か自園で継続する側かは、条文に明記がない
3児童福祉法第24条第5項に規定する措置への対応児童福祉法第24条第5項市町村の勧奨と支援をしても、なお保育を受けることが著しく困難な児童を、市町村が入所させる、または入所を委託する場面
4児童福祉法第24条第6項に規定する措置への対応児童福祉法第24条第6項市町村のあっせんや要請を受けても保育が利用できない乳児・幼児を、市町村が入所させる、または入所を委託する場面
5災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合内閣府令第22条例として災害と虐待が挙がる。例示以外の事情の範囲は条文に書かれていないため、市町村への確認が必要

5つのうち、別の法律の条文で場面を確かめられるのは2から4です。2は子ども・子育て支援法第34条第5項、3と4は児童福祉法第24条の第5項・第6項にあたり、どれも市町村の手続きや法定の便宜に基づく場面です。

1と5は、内閣府令の中だけで完結しており、人数の上限や期間は条文に書かれていません。

地域型保育は、ただし書きが4つ

小規模保育や家庭的保育などの特定地域型保育事業者については、第48条が同じ趣旨を定めます。

地域型保育のただし書きは4つで、児童福祉法第24条第5項の措置が入っていません。上の表の1、2、5に当たる事由と、児童福祉法第24条第6項の措置です。法第46条第5項の便宜の提供が、保育所の場合の法第34条第5項に当たります。

保育所と地域型保育の、ただし書きの違い
区分条児童福祉法第24条第5項の措置児童福祉法第24条第6項の措置
保育所など(特定教育・保育施設)第22条ただし書きに入っているただし書きに入っている
小規模保育など(特定地域型保育事業者)第48条ただし書きに入っていないただし書きに入っている

小規模保育などの事業者は、保育所向けの第22条ではなく第48条を読みます。市町村から入所を求められた場面がどのただし書きに当たるかは、市町村への確認が必要です。

条例では参酌すべき基準にあたる

市町村は、条例で特定教育・保育施設の運営基準を定めます(子ども・子育て支援法第34条第2項)。

内閣府令の第1条は、市町村が条例を定めるときに従うべき基準とされる条を、第4条、第5条、第6条などと列挙しています。第22条は、その列挙に入っていません。

列挙に入らない条は、市町村が内閣府令を参酌して条例を定める部分にあたります。参酌とは、参考にして定めるという意味で、条例の書き方が内閣府令と同じとは限りません。

内閣府令の文言を、そのまま自分の市町村の基準と読まない

利用定員の遵守とそのただし書きの文言は、内閣府令の第22条で確認できます。この記事は、個別の市町村の条例の文言までは調べていません。

園が所在する市町村の運営基準の条例で、利用定員の遵守の条と、ただし書きの有無・文言を確かめる。

一方、利用定員そのものの定め方(20人以上であること、認定区分(年齢)ごとに定めること)は、内閣府令第4条にあり、条例を定めるときに従うべき基準にあたります。

公定価格の減算とは別の話

第22条は、利用定員を超えて保育を提供してよいかという運営基準の話です。

公定価格の恒常的な定員超過の減算は、別の仕組みとして告示と留意事項通知で定められています。要件は恒常的な定員超過の減算の記事で整理しています。

ただし書きに当たる受け入れが減算の判定でどう扱われるかは、この記事では扱わず、市町村への確認が必要です。

超過が続くなら、利用定員そのものを見直す方法があります。定員の変更は、利用定員の変更の手続きによって行います。届出の期限などは定員の減少と設置者変更の届出の記事、変更が基本分単価に与える影響は利用定員を変更したときの基本分単価の記事で確認できます。

超過の前に確かめる手順

超過を受け入れる前に、理由と根拠を記録に残しておくと、後から市町村に説明しやすくなります。確認は次の順で進めます。

  1. 確認で定めた利用定員を確かめる

    市町村の確認で定められた、年齢区分ごとの利用定員を、確認の通知などで手元に出します。

  2. 超過の理由が5つのどれに当たるかを書き出す

    年度中の需要の増大、便宜の提供、市町村の措置、災害・虐待などのうち、どれに当たるかを、理由とあわせて記録します。

  3. 市町村から文書で依頼があるか確かめる

    措置や要請に基づく受け入れは、市町村からの依頼の内容を文書やメールで残します。

  4. 市町村の条例の文言を確かめる

    所在地の市町村の運営基準の条例で、利用定員の遵守とただし書きの文言を確かめます。

  5. 超過が続く見込みなら、市町村に相談する

    超過が続きそうなときは、利用定員の変更や、受け入れ方法について、市町村に相談します。

よくある質問

利用定員を超えて受け入れること自体は、法令違反ですか。

内閣府令第22条は、原則として超えて提供してはならないと定め、5つのただし書きの場合は、この限りでないとしています。ただし書きに当たるかは、受け入れの理由を条文に照らして確かめる必要があります。個別の判断は市町村への確認が必要です。

年度中の需要の増大なら、何人まで超えてよいですか。

第22条の条文には、人数の上限や期間は書かれていません。この記事も人数の目安は示しません。受け入れる前に、市町村に確認してください。

認可の定員(面積から決まる人数)と、利用定員は同じですか。

同じではありません。利用定員は、市町村長が給付の対象として確認で定める数です。面積などの設備の基準(保育所の面積基準の記事)は別の規定で、第22条のただし書きが免除するとは読み取れません。

利用の申込みが定員を超えたときの選考は、第22条に書かれていますか。

選考は第22条ではなく、第6条第3項・第4項にあたる論点です。申込みを断れない規定と選考の記事で整理しています。

試算ツールで公定価格を見積もる前に

確認で定められた利用定員と、年齢別の人数を入力して、公定価格をモデル計算します。定員超過の可否や減算の判定はしません。

公定価格の試算結果を見る

試算結果は、基準への適合や給付の支給を保証するものではありません。次に知りたいこと:恒常的な定員超過の減算、定員の減少と設置者変更の届出、保育所の面積基準と利用定員を決める順序。

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