解説

公定価格の端数処理:10円未満の切り捨てが通知に明記されている加算・調整と、明記が見当たらない項目

保育所の公定価格で「10円未満を切り捨てる」と通知に書かれている加算・調整・日割りと、書かれていない基本分単価や配置改善加算などを整理します。丸める段階が「人数で割った後」か「調整率を掛けた後」かも、通知の文言に沿って説明します。

端数処理は、項目ごとに通知の書き方が違う

公定価格の検算で数円〜数十円ずれたとき、原因の多くは端数をどこで切り捨てたかの違いです。

通知は「10円未満の端数がある場合は切り捨てる」という文言を、項目ごとに個別に書いています。

すべての項目に共通の一般規定として置かれているわけではありません。

この記事は、保育認定の保育所を対象にした通知の別紙(保育所)の記載を、項目ごとに整理したものです。

幼稚園・認定こども園向けの別紙は別の記載なので、混ぜて読まないでください。

切り捨てが明記されている項目は、3つの型に分かれる

通知の算定方法は、丸める直前の計算によって次の3つの型に分けられます。

どの型かを押さえると、自園の試算でどの時点で丸めるかを判断しやすくなります。

  1. 人数で割った後に切り捨てる型

    施設単位で定められた額を、各月初日(または3月初日)の利用子ども数で割って、子ども1人あたりの加算額にする項目です。割った結果の端数を切り捨てます。

  2. 調整率や割合を掛けた後に切り捨てる型

    基本分単価などの合計に調整率を掛けて減算額を出す項目です。掛けた結果の端数を切り捨てます。

  3. 日割りの最終額で切り捨てる型

    月の途中で入園・退園した子どもの日割りです。月額に開所日数の割合を掛けた最終額の端数を切り捨てます。

通知が10円未満の切り捨てを明記している項目

別紙(保育所)で、算定した額に10円未満の端数がある場合は切り捨てると書かれている項目を、丸める対象ごとに並べます。月途中の日割りだけは、別紙ではなく通知本文の第2に書かれています。

各項目の算定の詳細と要件は、項目ごとの解説記事で確認できます。

別紙(保育所)で10円未満の切り捨てが明記されている項目と、丸める対象
項目丸める対象(通知の算定方法)型
処遇改善等加算(区分3)対象人数を掛けた額の合計を、各月初日の利用子ども数で割った額人数で割る
休日保育加算年間延べ利用子ども数に応じた単価に処遇改善分を加えた額を、休日に利用しない子どもも含む各月初日の利用子ども数で割った額人数で割る
主任保育士専任加算・事務職員雇上費加算基本額に処遇改善分を加えた額を、各月初日の利用子ども数で割った額人数で割る
療育支援加算状況別の基本額を、各月初日の利用子ども数で割った額人数で割る
降灰除去費加算・施設機能強化推進費加算・第三者評価受審加算・保育ICT推進加算定められた額を、3月初日の利用子ども数で割った額人数で割る
高齢者等活躍促進加算・小学校接続加算区分に応じた額を、3月初日の利用子ども数で割った額人数で割る
栄養管理加算・特別地域保育体制確保対応加算配置形態などに応じて算出した額を、利用子ども数で割った額人数で割る
分園の場合の調整・土曜日に閉所する場合・定員を恒常的に超過する場合対象額の合計に調整率を乗じた額調整率を掛ける
経営情報の報告を行っていない場合基本分単価に5/100を乗じた額割合を掛ける
月途中の入園・退園の日割り公定価格に開所日数の割合を掛けた額日割り

割る人数が「各月初日」か「3月初日」かは項目ごとに違います。取り違えると、1人あたりの額の端数も変わります。項目ごとの人数の数え方は、通知の各項目の算定方法で確認してください。

通知に切り捨ての文言が見当たらない項目もある

別紙(保育所)を確認した範囲では、次の項目の算定方法に「10円未満の切り捨て」の文言が見当たりません。

文言が見当たらないことは、端数が出ないことや丸めなくてよいことを意味しません。

実際の算定は市町村が行うため、丸め方は市町村への確認が必要です。

  1. 基本分単価・処遇改善等加算(区分1・2)

    基本分単価は、地域区分・定員区分・認定区分・年齢区分・保育必要量区分に応じて定められた額とされています。区分1・2の加算額は、単価に加算率を乗じる式で、同じ項目の区分3にだけ切り捨てが書かれています。

  2. 3歳児・4歳以上児・1歳児の配置改善加算、夜間保育加算

    地域区分等に応じた単価に処遇改善分を加える形で書かれており、切り捨ての文言は見当たりません。

  3. チーム保育推進加算・施設長を配置していない場合

    チーム保育推進加算は単価に加配人数を乗じる式、施設長未配置は単価に処遇改善分を加える式で書かれています。いずれも切り捨ての文言は見当たりません。

  4. 定額で定められている項目

    減価償却費加算、賃借料加算、副食費徴収免除加算、安全計画の策定等をしていない場合、冷暖房費加算、除雪費加算は、定められた額を用いる書き方です。

人数で割る型は、処遇改善分を足して割った最終額で切り捨てる

主任保育士専任加算・事務職員雇上費加算(と療育支援加算の一部の状況)は、基本額に処遇改善分を加えた額を人数で割り、その額に10円未満の端数があれば切り捨てると書かれています。

通知の文言では、切り捨ては最後の算定額にかかる形です。

切り捨ては、足して割った最終額に1回かける

途中の額を別々に丸める定めは、確認した範囲では通知に見当たりません。通知の文言は、足して割った後の最終額に切り捨てをかける形です。

検算では、足して割った後の額で1回だけ切り捨てます。それでも市町村の通知額と合わない場合は、所在地の市町村に算定の内訳を確認してください。

よくある質問

10円未満の切り捨ては、公定価格の合計額に1回だけ行えばよいですか。

通知は項目ごとの算定方法の中で切り捨てを定めているため、合計額に1回だけ行う方法は通知の書き方と一致しません。通知に、項目ごとの額を足した合計額で丸める定めは見当たりません。

10円未満を四捨五入ではなく、切り捨てる理由は何ですか。

通知は「切り捨てる」と書いており、四捨五入とは書いていません。理由は、確認した範囲では通知に書かれていないため、この記事では説明しません。

保育士の配置人数の計算にも、10円未満の切り捨てを使いますか。

使いません。配置人数の計算は、年齢区分ごとの人数に比率を掛けて小数点以下を処理する別の算式です。詳しくは年齢別配置基準の確認の記事を参照してください。

関連する記事と、自園での確認

減算の端数処理は減算4項目の記事、月途中の日割りは月途中の入園・退園の記事で、仮の数字を使った計算例を載せています。

恒常的な定員超過の調整は定員超過の減算の記事で説明しています。

月初日の在籍状況に基づく基本分単価と、対応している加算・減算を試算できます。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を表示します。

公定価格の試算を開く

この記事は通知の本文を確認した範囲の整理です。端数処理を含む実際の算定額は、所在地の市町村が行うため、通知額と試算が合わないときは市町村へ確認してください。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説