解説

保育所の「認可定員」と「利用定員」の違い(載る書類・変更の届出先・公定価格)

保育所の定員は、運営規程(認可の申請事項に含まれます)と確認の申請書類に載ります。法令で定義された語は「利用定員」で、公定価格の定員区分が見るのも利用定員です。児童福祉法・子ども・子育て支援法・同施行規則・設備運営基準から、どの書類のどの数字か、変更の届出先はどこかを整理します。

この記事が答えること:「認可定員」と「利用定員」はどちらを見るのか

保育所の定員は、認可の手続にも、給付対象の確認の手続にも出てきます。

運営規程には「利用定員」が載り、日常の会話では「認可定員」という呼び方も使われます。

法令で定義されている語は「利用定員」で、公定価格の定員区分が見るのも利用定員です。

「認可定員」は、児童福祉法や同施行規則、設備運営基準の条文に出てくる語ではありません。この記事では、認可を受けた保育所の定員を指して一般に使われる呼び方として扱います。個別の園の数字は、市町村と都道府県の書類で確認してください。

定員の数字が載る書類は、手続ごとに違う

保育所の運営には、都道府県知事の「認可」と、市町村長の「確認」の両方が関わります。

定員の数字は、運営規程(認可の申請事項に含まれます)と確認の申請書類に載り、公定価格に使うのは確認で定められた利用定員です。

両者の違いの全体像は保育所の「認可」と「確認」の違いで説明しています。

定員の数字が出てくる場所
場所定員に関する定め根拠
認可の申請(都道府県知事)申請事項に、保育所では事業の運営についての重要事項に関する規程(運営規程)が含まれる児童福祉法施行規則第37条第1項第3号
運営規程乳児、満3歳に満たない幼児、満3歳以上の幼児の区分ごとの利用定員を定める児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第13条第2項第6号
確認の申請(市町村長)認可証の写し、運営規程などに加え、区分ごとの利用する子どもの数を記載する子ども・子育て支援法施行規則第29条
確認で定める利用定員市町村長が、保育所では2号認定と3号認定の区分ごとに利用定員を定める子ども・子育て支援法第31条第1項

確認で定める利用定員のうち、3号認定は満1歳に満たない子どもと満1歳以上の子どもに分けて定めます(子ども・子育て支援法施行規則第30条第4号)。

運営規程の区分(乳児、満3歳未満の幼児、満3歳以上の幼児)とは、分け方が異なります。

利用定員を定めるのは市町村長、認可をするのは都道府県知事

民間の保育所を設置するには、都道府県知事の認可が要ります(児童福祉法第35条第4項)。

利用定員は、設置者の申請を受けて市町村長が確認の際に定めます(子ども・子育て支援法第31条第1項)。

定める前に審議会などの意見を聴き(同条第2項)、定めたら都道府県知事に届け出ます(同条第3項)。

私立保育所は委託費でも、確認の対象外にはならない

私立保育所には、施設型給付費ではなく委託費が支払われます。子ども・子育て支援法附則第6条は、都道府県と市町村以外が設置する保育所を「特定教育・保育施設(特定保育所)」と呼んだうえで、費用の支払い方を定めています。保育所が確認の対象であることは変わらず、利用定員は第31条で定まります。

委託費を受ける私立保育所でも、利用定員は市町村の確認で定められた数字を見る。

定員を変えるときの手続は、窓口が分かれる

利用定員を増やすときは、設置者が市町村長に確認の変更を申請します(子ども・子育て支援法第32条第1項)。

利用定員を減らすときは、減らす日の3か月前までに市町村長へ届け出ます(同法第35条第2項)。

運営規程には利用定員が載るため、運営規程を変更する場合は、都道府県知事へのあらかじめの届出が必要です。

利用定員を変えるときの手続
変更の内容届出・申請先根拠と記載事項
利用定員を増やす市町村長(確認の変更の申請)子ども・子育て支援法第32条第1項、施行規則第31条(利用定員を増加しようとする理由などを記載)
利用定員を減らす市町村長(減少の届出)子ども・子育て支援法第35条第2項、施行規則第34条(減少の年月日・理由・現に利用している子どもへの措置など)
運営規程の変更都道府県知事(あらかじめ届出)児童福祉法施行規則第37条第6項(運営の方法の変更)

表の最後の行は、運営規程に利用定員を定めること(設備運営基準第13条第2項第6号)と、運営の方法の変更をあらかじめ届け出ること(児童福祉法施行規則第37条第6項)を、条文の組み合わせから整理したものです。

届出の時期や様式は、都道府県と市町村で運用が異なる場合があります。

利用定員を減らすときの届出の記事も確認してください。

公定価格の定員区分は、利用定員の総和で見る

公定価格の基本分単価で使う定員区分は、留意事項通知の別紙2(保育所)で、利用する施設の利用定員の総和に応じた区分を適用すると定められています。

運営規程などに載る定員ではなく、確認で定められた利用定員で区分を選びます。

分園を設置する施設では、中心園と分園それぞれの利用定員の総和で区分を見ます。

書類の定員と確認の利用定員を取り違えない

運営規程に載る数字が、市町村が確認で定めた利用定員と同じかは、書類を見比べないと分かりません。違う数字で定員区分を選ぶと、園児全員分の単価の行がずれます。

試算に入れる前に、市町村から受け取った確認の書類で利用定員を確かめる。

利用定員が何人を超えると、単価や加算・減算の扱いが変わるかを項目別に並べています。

利用定員の境目で扱いが変わる項目の一覧を開く

定員を変えたあとの単価への影響は、利用定員を変えたときの基本分単価への影響で、分園の合算は分園がある保育所の定員区分で説明しています。

手元の書類で、利用定員を確かめる順番

試算に入れる数字は、市町村の確認で定められた利用定員です。次の順で書類を見ます。

  1. 確認で定められた利用定員を探す

    市町村から受け取った確認の通知や変更の通知で、2号認定と3号認定(満1歳未満・満1歳以上)の区分ごとの利用定員を確かめます。

  2. 運営規程の利用定員と見比べる

    運営規程の利用定員は、乳児、満3歳未満の幼児、満3歳以上の幼児の区分で書かれています。区分の分け方が違うため、合計を比べます。

  3. 都道府県から受け取った書類を見る

    認可の通知など、都道府県から受け取った書類に定員の記載があれば、その書き方を確かめます。確認で定められた数字との関係は、窓口で確かめます。

  4. 食い違いは窓口で確かめる

    数字が合わないときは、利用定員は市町村、認可と運営規程は都道府県の窓口に、どの数字が現在有効かを確認します。

よくある質問

「認可定員」は法律で決まった言葉ですか。

児童福祉法、同施行規則、設備運営基準の条文には、「認可定員」という語は出てきません。保育所の運営規程で定めるのは「利用定員」です。認可を受けた保育所の定員を指す一般的な呼び方として使われています。

公定価格の試算には、どちらの定員を入れますか。

確認で定められた利用定員です。留意事項通知の別紙2(保育所)は、利用する施設の利用定員の総和に応じた区分を適用すると定めています。

利用定員を増やしたいときの窓口はどこですか。

市町村長への確認の変更の申請です(子ども・子育て支援法第32条第1項)。運営規程を変更する場合は、都道府県知事へのあらかじめの届出が必要です。具体的な時期と様式は、市町村と都道府県の窓口で確認してください。

試算ツールで基本分単価を見る前に

試算ツールは、入力した利用定員で定員区分を選び、モデル計算をします。確認で定められた数字を入力してください。

公定価格の試算結果を見る

試算結果は、認可や給付の支給を保証するものではありません。次に知りたいこと:利用定員を超えて子どもを受け入れるときの考え方、利用定員を変えたときの基本分単価への影響、保育所の認可で必要利用定員総数を超えると認可されない場合。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」2件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

  • 公定価格とは・決まり方:保育所の計算方法と基本分単価の内訳

    保育園の公定価格の決まり方を解説。公定価格とは、特定教育・保育等に要する費用の額で、保護者の保育料とは別の施設側の総額です。基本分単価の内訳は地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4つで決まります。計算は基本分単価・加算・減算・園児数の4手順で、試算画面の入力欄も確認できます(子ども・子育て支援法第27条第3項)。

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  • 保育所の認可で必要利用定員総数を超えると認可されない場合

    保育所の設置認可は、条例の基準を満たしても、区域の利用定員の総数が都道府県の計画の必要利用定員総数に達しているか超えるときは、認可しないことができます。児童福祉法第35条第8項と子ども・子育て支援法第62条から、確認する数字と順番を整理します。

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  • 公私連携型保育所の指定と協定で決まること(児童福祉法第56条の8)

    公私連携型保育所は、市町村が法人を公私連携保育法人に指定し、協定を結んで設備の貸付などの協力を行う仕組みです。指定の要件、協定の6項目、届出での設置、勧告・指定取消しと利用児童への配慮を、児童福祉法第56条の8の条文で整理します。

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  • 保育所が利用定員を超えて受け入れてよい場合(運営基準第22条)

    確認を受けた保育所は、市町村の確認で定めた利用定員を超えて保育を提供してはならないとされます。例外となる5つの場合(年度中の需要の増大・便宜の提供・児童福祉法の措置2つ・災害や虐待などのやむを得ない事情)を、条文の所在つきで整理します。

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