解説

処遇改善等加算の「法定福利費等の事業主負担増加額」に含まれるもの・賃上げ促進税制との関係(FAQ No.51・52)

処遇改善等加算の賃金改善で、加算額との比較に入れられる「法定福利費等の事業主負担増加額」の範囲を、国の通知とFAQ(第4版)の原文で整理します。社会保険料、子ども・子育て拠出金、外形標準課税の付加価値額増加分、退職手当共済の掛金が挙がっています。加算を使った賃上げが賃上げ促進税制の対象になる点も、FAQの答えに沿って説明します。

加算額には事業主負担分が含まれ、比べるときも入れられる

処遇改善等加算通知の第2の2(1)は、区分2と区分3のそれぞれで、「加算による改善等見込総額」が「加算見込額」を下回らないことを求めています。

同じ(1)の(注2)は、加算額に職員の賃金の改善に伴う法定福利費等の事業主負担分が含まれていると書いています。

そのため、加算額と比べるときは、実際に支払った賃金改善に伴って増える事業主負担分も含められます。

FAQ(第4版、令和7年9月2日時点版)のNo.51は、その「法定福利費等の事業主負担増加額」の範囲を答えています。No.52は、賃上げに対する法人税などの控除を答えています。

FAQ No.51・52が答えていること
FAQ問い答えの要点
No.51「法定福利費等の事業主負担増加額」の範囲は保険料・拠出金・外形標準課税の付加価値額増加分・退職手当共済の掛金など、処遇改善による賃金上昇分に応じて増える分
No.52処遇改善等加算で賃上げすると、法人税などから控除できるか令和6年度税制改正で、処遇改善加算を活用した賃上げ分も賃上げ促進税制の税額控除の対象になった

事業主負担増加額に含まれるもの(FAQ No.51)

No.51の問いは、「事業主負担増加見込総額」の定義にある「各職員について加算による改善見込額に応じて増加することが見込まれる法定福利費等の事業主負担分の額」の範囲です。

FAQは、処遇改善による賃金上昇分に応じて増える次のものを、事業主負担増加額に含まれるものとして挙げています。

FAQ No.51が挙げている事業主負担増加額
区分含まれるもの
社会保険・労働保険健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料などにおける、賃金上昇分に応じた事業主負担の増加分
子ども・子育て拠出金賃金上昇分に応じた事業主負担の増加分
法人事業税外形標準課税の付加価値額が、賃金上昇分に応じて増える分
退職手当共済制度など掛金などが増える場合の増加分

表のうち、実際に何を数えるかは、自園の保険の加入状況や税の課税区分で変わります。

自園に当てはまる項目かどうかは、加入先や税の担当者に確認してください。

ここで挙がっているのは、あくまで「賃金上昇分に応じて増える分」です。

賃金改善に伴って増える分が対象で、賃金改善の前から払っていた分は、この範囲の説明に入っていません。

事業主負担の額が少ないとき、通知が求めていること

通知の第2の2(1)の(注2)は、事業主負担分を含めて加算額と比べられるとしています。

ただし、事業主負担の増加が小さいと、差額が出ることがあります。

賃金の改善額に事業主負担分を足しても加算額に届かない分が、差額です。

通知の第2の3(3)の(注)は、区分3-②の月額について、事業主負担がない又は少ない非常勤職員の賃金を改善している場合を例にしています。

事業主負担額の影響で前年度に残額が生じたときは、その実績も加味して、計画の当初から原則の額を上回る改善額を設定することが望ましいとしています。

区分3で差額が出たときの払い方は、FAQ No.61が答えています。

別の記事の区分3の配分と差額の払い方で整理しています。

賃上げ促進税制の対象になる(FAQ No.52)

No.52の問いは、処遇改善等加算などで賃上げをしたときに、賃上げ額の一部を法人税などから控除できるかです。

FAQの答えは、令和6年度税制改正により、賃上げ促進税制において、処遇改善加算を活用して賃上げした分も税額控除の対象になったというものです。

FAQは、詳しい内容を経済産業省と中小企業庁の賃上げ促進税制のホームページで確認するよう案内しています。

FAQには、全企業向け・中堅企業向けと、中小企業向けの2つの案内先が書かれています。

この説明は、FAQ第4版(令和7年9月2日時点版)の時点のものです。最新の内容は案内先のページで確認してください。

この記事は税額を計算せず、控除が受けられるかも判定しません。税務の判断は、顧問の税理士や所轄の税務署に確認してください。

自園で確認すること

賃金改善の計画や実績をまとめるときは、事業主負担について次の3つを確かめます。

  1. 事業主負担の増加分を、賃金改善の額に連動して数える

    加算額と比べるときに入れられるのは、賃金の改善に伴って増える分です。もともと払っていた保険料や掛金は、数えません。

  2. 自園にかかる負担を、項目ごとに洗い出す

    社会保険料などのほかに、子ども・子育て拠出金、外形標準課税、退職手当共済の掛金が、自園に当てはまるかを確認します。

  3. 税の扱いは、加算の手続きとは別に確認する

    FAQは、詳しい内容を経済産業省と中小企業庁のページで確認するよう案内しています。自園への当てはめは、顧問の税理士などに確認します。

この記事は、処遇改善等加算通知とFAQ(第4版)の整理です。個別の園の加算額や事業主負担の額、税額を計算するものではなく、計画書や報告書の作成、税務の申告を代行するものでもありません。

最終的な判断は、加算の認定を行う所轄の自治体や、税の専門家に確認してください。

よくある質問

事業主負担と税について、よく聞かれる3点です。

加算額との比較に、事業主負担の増加分を入れてよいですか。

通知の第2の2(1)の(注2)は、加算額に事業主負担分が含まれているため、実際に支払った賃金改善に伴って増える法定福利費等の事業主負担分も含めて比べられるとしています。

外形標準課税は、事業主負担増加額に含まれますか。

FAQ No.51は、法人事業税における処遇改善による賃金上昇分に応じた外形標準課税の付加価値額増加分を、含まれるものとして挙げています。自園が外形標準課税の対象かどうかは、税の担当者に確認してください。

処遇改善等加算で賃上げすると、税の控除は受けられますか。

FAQ No.52は、令和6年度税制改正により、賃上げ促進税制において処遇改善加算を活用して賃上げした分も税額控除の対象になったとしています。詳しい条件は、経済産業省と中小企業庁のホームページで確認してください。

次に読む記事

賃金改善の計画や実績の確認は、別の記事でも整理しています。配分の方法は賃金改善の配分方法、実績報告で確かめる点は実績報告の確認事項、制度の全体像は処遇改善等加算の全体像を読んでください。

自園の条件で試算する

認定を受けた人数A・Bを入力し、区分3の内訳を確認します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

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この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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