解説

保育士資格等取得支援事業の対象施設・申請の流れ(公定価格の加算とは別の補助)

無資格の保育従事者が保育士資格を取る費用を支える「保育士資格等取得支援事業」を、こども家庭庁の通知(令和6年5月30日)で説明します。5つの事業の違い、保育所が使える事業、申請の順序、公定価格の加算と別建てであることを整理します。

5つの事業のうち、保育所が使えるのは「保育所等」の事業

こども家庭庁の通知『保育人材確保事業の実施について』(令和6年5月30日、こ成保第312号)の別添1が、保育士資格等取得支援事業の実施要綱です。

この事業は、公定価格(施設型給付費・委託費)の算定告示にある加算ではなく、保育人材確保事業として通知で定められた別建ての補助です。公定価格の加算の一覧には入らないため、公定価格の試算にも含まれません。

別添1の5つの事業(通知の「3 事業の内容」)
事業対象になる人補助の対象
認可外保育施設保育士資格取得支援認可外保育施設(指導監督基準を満たす証明書の交付を受けた施設など)や、小規模保育A型・B型、事業所内保育事業の事業所が雇用する、保育士資格のない保育従事者養成施設の受講料等と、受講中の代替職員の雇上費
保育教諭確保のための保育士資格取得支援認定こども園等に勤務し、幼稚園教諭免許状はあるが保育士資格のない人養成施設の受講料等と、代替職員の雇上費
幼稚園教諭免許状を有する者の保育士資格取得支援幼稚園教諭免許状はあるが保育士資格のない人(施設への勤務の有無は問わない)養成施設の受講料等
保育所等保育士資格取得支援保育所などが雇用する、保育士資格のない保育従事者養成施設の受講料等
保育教諭確保のための幼稚園教諭免許状取得支援認定こども園等に勤務し、保育士資格はあるが幼稚園教諭免許状のない人大学等の受講料等と、代替職員の雇上費

通知の「4 実施要件」(4)が代替職員の雇上費を挙げているのは、認可外保育施設、保育教諭確保の保育士資格取得、幼稚園教諭免許状取得の3つの事業です。保育所等の事業には、受講料等の補助だけが書かれています。

保育所等の事業の対象施設と、重ねて使えない制度

保育所等保育士資格取得支援の対象施設は、保育所、認定こども園、認定こども園への移行を予定している幼稚園、乳児院、児童養護施設です。

ただし、国や地方公共団体が設置した施設は対象から除かれます。公立の保育所は、この事業の対象になりません。認定こども園は、これに加えて保育教諭確保の2つの事業(保育士資格の取得と、幼稚園教諭免許状の取得)の対象施設にもなります。

  1. 対象施設の条件は資格取得まで続く

    対象施設は、対象者が保育士証の交付を受けるまでの間、施設としての要件を満たしている必要があります。

  2. 同じ趣旨の貸付や助成とは重ねられない

    保育士修学資金貸付事業や、雇用保険制度の教育訓練給付など、この事業と同じ趣旨の貸付・助成を受けている場合は対象外です。

  3. 受講方法は通信制を含む

    指定保育士養成施設での受講は、通信制、昼間、昼夜開講制、夜間、昼間定時制のいずれでも構いません。

貸付を先に受けると、この補助を使えなくなることがある

保育士修学資金貸付などを受けた後で、この事業の対象になるかを確かめる順序は避けたいところです。通知は、同趣旨の貸付や助成を受けている場合を対象外としています。

受講を決める前に、所在の都道府県・指定都市・中核市の担当課で、貸付や給付との併用の可否を確認してください。

申請は受講開始日の属する年度中に始める

通知が定める流れは、受講開始日の確定、実施計画書の提出、資格取得後の完了報告書(支払いの申請)の順です。

実施計画書を出せる期間は、受講開始日の属する年度中です。受講開始日は、養成施設への入学日、受講許可を得た日、受講申込時に入学料等を払う場合の申込日のうち、最も早い日です。

  1. 受講開始日を確定する

    入学日、受講許可日、申込日(入学料等を申込時に払う場合)のうち最も早い日が、受講開始日です。

  2. 実施計画書を都道府県等へ出す

    受講の前でも後でも出せますが、受講開始日の属する年度中に限られます。対象者が施設に勤務していること(代替職員を雇う事業では、その職員の勤務も)を確認できる書類を添え、受講を始めている場合は養成施設に在学していることが分かる書類も出します。都道府県等は、対象になるかどうかを速やかに通知します。

  3. 資格取得後に完了報告書を出す

    完了報告書は支払いの申請にあたり、勤務を開始した日の属する月の末日までに出します。勤務の決定を確認できる書類、養成施設の領収書、保育士証の写しなどを添えます。対象経費の支払いは、保育士証の交付を受け、勤務が決まった後です。

通知は、資格や免許状を取得した後、対象施設に1年以上勤務することを求めています。やむを得ない理由で完了報告書の期日に間に合わない場合の扱いも、通知に例外として書かれています。

実施主体と金額は、所在の都道府県等の要綱で確認する

この事業の実施主体は、都道府県、指定都市、中核市、またはそれらが認めた者です。

補助の額や率、具体的な担当課は通知本文に書かれていないため、この記事では扱いません。この記事が根拠にしているのは令和6年5月30日の通知で、令和8年度の最新版かどうかは国の原本で確認できていません。

  1. 実施しているか

    通知は都道府県等が実施する枠組みを示すもので、すべての地域で同じ内容とは限りません。所在の都道府県・指定都市・中核市の担当課に、当該年度の実施の有無を確認します。

  2. どの事業に当たるか

    自園の施設の種類で、使える事業が変わります。認可外保育施設、小規模保育事業のA型・B型、事業所内保育事業が使える事業と、保育所等が使える事業は別の項目です。

公定価格の試算には、この補助は入りません。保育士の処遇は処遇改善等加算の対象職員、配置の考え方は年齢区分ごとの配置比率で別に確認します。

よくある質問

保育士資格等取得支援事業を使うと、公定価格の加算は変わりますか。

この事業は公定価格の算定告示にある加算ではないため、試算の結果は変わりません。保育人材確保事業として通知で定められた別建ての補助で、実施計画書は都道府県等へ出します。

公立の保育所の職員も使えますか。

通知は、保育所等保育士資格取得支援の対象施設から、国や地方公共団体が設置したものを除いています。公立の保育所は対象になりません。

保育士修学資金の貸付を受けた人にも使えますか。

通知は、保育士修学資金貸付事業など、この事業と同趣旨の貸付や助成を受けている場合を対象外としています。併用できるかは、所在の都道府県等に個別に確認してください。

自園の条件で試算する

定員と年齢別の園児数を入力すると、公定価格の基本分単価を試算します。保育士資格等取得支援事業の補助は含まれないため、あわせて所在の都道府県等へ確認してください。

公定価格の試算を開く

次に知りたいこと:保育対策総合支援事業費補助金のメニュー一覧、保育士修学資金の返還免除の条件を4自治体で比較、幼稚園教諭免許状を持つ人の保育士資格取得特例。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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