解説

保育所の地域住民への情報提供義務と相談・助言の努力義務(児童福祉法第48条の4)

児童福祉法第48条の4は、保育所に、主として利用される地域の住民への保育に関する情報提供を義務とし、保育に支障がない範囲での相談・助言を努力義務とし、保育士の知識・技能の修得を努力義務としています。3つの項の区別と、在園児と保護者への相談を定める運営基準との違いを整理します。

第48条の4は、地域の住民に対する3つの定めを置いている

児童福祉法第48条の4は、保育所が地域の住民に対して負う定めを、3つの項に分けて置いています。

第1項は情報提供の義務、第2項は相談・助言の努力義務、第3項は保育所に勤務する保育士などの知識・技能の修得の努力義務です。

児童福祉法第48条の4の3つの項(e-Gov 確認日 2026-10-15)
項誰が何を強さ
第1項保育所主として利用される地域の住民に対し、その行う保育に関し情報の提供を行う義務(行わなければならない)
第2項保育所主として利用される地域の住民に対し、保育に支障がない限りにおいて、乳児・幼児等の保育に関する相談に応じ、助言を行う努力義務(行うよう努めなければならない)
第3項保育所に勤務する保育士・地域限定保育士乳児・幼児等の保育に関する相談・助言に必要な知識・技能の修得、維持、向上努力義務(努めなければならない)

保育所は、保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行う施設です(同法第39条第1項。利用定員20人以上のものに限り、幼保連携型認定こども園を除く)。第48条の4は、その保育所が地域に向けて負う定めです。

情報提供は義務。相談・助言は、保育に支障がない範囲の努力義務

第1項は「行わなければならない」と書かれた義務で、第2項は「努めなければならない」と書かれた努力義務です。

条文の書き方が違うので、守る強さも同じではありません。

第2項には「その行う保育に支障がない限りにおいて」という条件があり、在園児の保育を優先することが前提です。

条文には、情報提供の方法、頻度、内容の範囲は書かれていません。

相談・助言についても、窓口の設け方や回数の決まりは条文にはありません。

実際にどのような形で行うかは、園の運営や自治体の案内で確かめる事項です。

「情報提供」の中身を、広告や宣伝と混同しない

第1項は、保育の内容に関する情報を地域の住民に知らせる義務です。保育所の広告の規制は別の条文にあり、この記事では扱いません。

広告に当たるかどうかは広告・紹介料・利益供与の禁止で確認してください。

対象は「主として利用される地域の住民」。在園児の保護者への相談援助とは別の定め

第48条の4の対象は、在園児の保護者に限られず、その保育所が主として利用される地域の住民です。

在園児と保護者に向けた相談・援助は、特定教育・保育施設の運営基準など、運営基準が別に定めています。

在園児や保護者への相談・援助と、小学校等との連携は保育所の相談・援助と小学校等との連携で整理しています。この記事は、地域の住民に向けた法律の定めを扱います。

  1. 全国共通の部分

    第1項から第3項までの定めと、義務・努力義務の区別は、全国共通の法律の規定です。

  2. 園・自治体に確認する部分

    どの範囲を「主として利用される地域」とみなすか、情報提供や相談の具体的な方法は、条文には書かれていません。園の運営と所轄の自治体の案内で確認します。

第3項は、保育士・地域限定保育士の知識と技能の修得を求めている

第3項は、保育所に勤務する保育士と地域限定保育士に、相談・助言に必要な知識と技能を修得し、維持し、向上させるよう努めることを求めています。

第2項の相談・助言を現場で行うには、相談を受ける人の知識と技能が前提になる、という構造です。

第3項は、職員個人に向けた努力義務で、園に研修の実施を義務づける書き方ではありません。

研修の機会をどう設けるかは、園の運営で決める事項です。保育士の資格を得る経路と登録は保育士の資格を得る3つの経路と保育士試験で、研修の時間の数え方はキャリアアップ研修の分野・時間・修了で整理しています。

園で確かめる順序

確かめる順序は、現在の方法の書き出し、相談の受付、自治体の案内、職員の学ぶ機会の4つです。

  1. 地域の住民に向けて、保育に関する情報を知らせる方法を書き出す

    園の案内、掲示、問い合わせへの対応など、現在行っている方法を一覧にします。条文は方法を指定していないため、園の実情に合わせて整理します。

  2. 相談・助言の受付を、保育に支障がない範囲で決める

    誰が、いつ、どこで受けるかを決め、在園児の保育を優先できる体制になっているかを確かめます。

  3. 所轄の自治体の案内で、期待される取組を確かめる

    自治体が地域子育て支援について独自の案内を出している場合があります。具体的な範囲は、所轄の自治体に確認してください。

  4. 相談を担当する職員の学ぶ機会を決める

    第3項の趣旨に沿って、相談・助言に必要な知識・技能を学ぶ機会を、園の中で決めます。

よくある質問

保育所は、地域の子育て相談に必ず応じなければなりませんか。

相談に応じることは、法律上は努力義務です。第48条の4第2項は、保育に支障がない限りにおいて、相談に応じ、助言を行うよう努めなければならないと定めています。具体的な範囲は、園の運営と自治体の案内で確かめてください。

地域の住民への情報提供は、努力義務ですか。

第1項は「行わなければならない」と書かれた義務です。ただし、方法や頻度は条文に書かれていないため、園と自治体で確かめる必要があります。

相談を受ける時間は、保育の時間を削ってもよいですか。

第2項は、その行う保育に支障がない限りにおいて、と定めています。在園児の保育に支障が出る形での相談対応は、条文の範囲を超えるおそれがあります。個別の運営は、所轄の自治体に確認してください。

この試算ツールで、地域住民への相談・助言の費用を試算できますか。

できません。この試算は公定価格(委託費)の算定に特化しており、第48条の4に基づく取組を試算に含める機能はありません。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていないことも表示されます。

公定価格の試算を開く

園の運営規程に定める事項と、利用者への説明は運営規程・重要事項の説明・掲示で整理しています。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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