解説

保育所等におけるICT化推進等事業の補助:対象になる8つの項目と、保育ICT推進加算との違い(令和7年度補正予算)

こども家庭庁の資料が示す「保育所等におけるICT化推進等事業」(保育対策総合支援事業費補助金)の対象8項目、実施主体、1施設1回限りの扱いと、公定価格の保育ICT推進加算との違いを整理します。

ICTの導入費用の補助は、公定価格の加算とは別の「補助金」の事業

こども家庭庁成育局保育政策課の基礎資料「保育DXの推進による業務改善」(令和8年3月版)は、「保育所等におけるICT化推進等事業」を、保育対策総合支援事業費補助金の事業として載せています。

資料の記載は、令和7年度補正予算です。

目的は、保育の周辺業務や補助業務にICT等を活用した業務システムを導入する費用の一部を補助することなどで、保育士等の業務負担を軽くすることです。

同じ資料は、保育ICTの導入を進める別の手段として、公定価格の保育ICT推進加算(資料の表記は「保育ICT推進加算(仮称)【R8~】」)も載せています。

補助金は導入にかかる費用の一部を補う仕組みで、加算は公定価格に上乗せされる仕組みです。

資料は、この2つを別々の施策として並べています。

この記事は、補助事業の対象と実施主体を扱います。補助の基準額・補助率・申請の期限は、年度で変わるため書きません。実際に補助を受けられるかは、所在地の市区町村に確認してください。

補助の対象は、保育所向けだけでなく8つの項目がある

保育所等におけるICT化推進等事業の対象(資料の(1)から(8))
番号対象資料の記載
(1)保育所等の業務システムの導入保育の周辺業務や補助業務(保育に関する計画・記録や保護者との連絡、こどもの登降園管理等の業務、実費徴収等のキャッシュレス決済)に係る業務システムの導入費用と、外国人のこどもの保護者とのやりとりに係る通訳・翻訳の機器の購入費用の一部
(2)こども誰でも通園事業所のICT機器(1)の対象にならない乳児等通園支援事業の事業所が、空き枠の登録等を行うためのICT機器とインターネット環境、入退室管理用のタブレット型端末、キャッシュレス決済の機器を導入する費用の一部
(3)病児保育事業等の予約システム空き状況の見える化や予約・キャンセル等のICT化に必要なシステムの導入費用の一部
(4)医療的ケア児を受け入れる保育所等医療的ケア児とのコミュニケーションツールになるICT機器の補助
(5)認可外保育施設保育記録の入力支援など、業務負担の軽減につながる機器の導入費用の一部
(6)研修のオンライン化都道府県等が実施する研修を在宅等で受けられるよう、オンライン研修に必要なシステム基盤の整備費用や教材作成経費等の一部
(7)都道府県の保育士資格のシステム改修保育士資格の登録申請の届出等を、自治体等の保有する情報と連携させるためのシステム改修費等の一部
(8)児童館のICT化入退館やこどもの記録管理、研修のオンライン化などの機器・システム基盤の整備費用の一部

認可保育所の運営法人にとって自園に関わりそうなのは、主に(1)と、該当する場合の(4)です。

(2)は乳児等通園支援事業を実施する事業所、(3)は病児保育事業等、(5)は認可外保育施設の項目です。

(6)と(7)は、研修や資格登録に関わる自治体側の整備を対象にしています。

(1)の業務システムの対象は、公定価格の「4つの機能」と同じ並び

資料は、保育現場の保育ICTとして4つの機能を挙げています。

①保育に関する計画・記録、②保護者との連絡、③こどもの登降園管理等の業務、④実費徴収等のキャッシュレス決済です。

補助の対象(1)に書かれた業務の並びは、この4つの機能に重なります。

加算の4機能の定義が補助の対象と同じ並びであることは、公定価格FAQ(第32版)のNo.336にも書かれています。

保育ICT推進加算の4つの機能の定義や、別のシステムを組み合わせてよいかは、公定価格のFAQで整理しています。

保育ICT推進加算の4つの機能は、別々のシステムでもよいかと、保育ICT推進加算の確認の流れが参考になります。

補助の対象になったシステムが、加算の4つの機能を満たすとは限らない

資料は、補助の対象(1)と保育ICT推進加算の4つの機能を同じ並びで書いていますが、補助を受けたシステムが加算の要件の全体(責任者の配置など、4機能の定義以外の条件)を満たすかどうかは、資料からは決められません。補助と加算を同じ年度に両方使えるか、同じ費用に二重に当てられるかも、この資料には書かれていません。

導入するシステムが加算の4つの機能に当たるかは公定価格のFAQの定義で確認し、補助との関係は所在地の市区町村に確認する。

実施主体と、1施設1回限りの扱い

資料が示す実施主体は、都道府県と市区町村です。

申込先や時期は資料に書かれていないため、所在地の市区町村に確認が必要です。

(3)については、都道府県主導で広域連携を進めるため、新たに都道府県が実施主体に追加されたと、資料に「拡充」として書かれています。

(1)の業務システムの導入に関する扱い(資料の注記)
場面資料の扱い
1つの施設が補助を受けられる回数1施設1回限りが対象
新しく「キャッシュレス決済」の機能を導入する場合過去にこの補助金を使って他のシステムを導入した施設でも対象
保育業務施設管理プラットフォームを導入している施設が、新しく「登降園管理等の業務」の機能を導入する場合過去にこの補助金を使って他のシステムを導入した施設でも対象

つまり、以前にこの補助で何かのシステムを入れた施設でも、キャッシュレス決済の機能や、プラットフォーム導入後の登降園管理の機能を新しく足す場合は、対象から外れないと読めます。

ただし、実際にどの導入が対象になるかは、自治体の募集の条件によります。

よくある質問

保育所がICTシステムを入れるとき、国から直接補助を受けられますか。

資料が示す実施主体は都道府県と市区町村です。所在地の市区町村に、この補助事業を行っているか、募集の時期と条件を確認してください。

補助を受けると、保育ICT推進加算は受けられなくなりますか。

この資料には、両方を使えるかどうかは書かれていません。資料は、補助金と公定価格の加算を別々の施策として載せています。併用できるかは、所在地の市区町村に確認してください。

補助の金額は、公定価格の試算に入りますか。

入りません。この試算ツールは公定価格(施設型給付費・委託費)の算定のみを行い、ICT化推進等事業の補助は試算に含めていません。国の補助事業の全体像は、保育対策総合支援事業などの補助メニュー一覧で整理しています。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事は、こども家庭庁の基礎資料(保育DXの推進による業務改善、令和8年3月版)のうち、保育所等におけるICT化推進等事業の目的・事業の概要・実施主体・(1)の注記を扱います。補助基準額と補助率、自治体ごとの募集の条件、補助事業の実施要綱は照合していません。その後の改正も照合していません。

次に知りたいこと:保育ICT推進加算の活用内容と、自治体独自のシステムの扱い、保育ICT推進加算の責任者、保育対策総合支援事業などの補助メニュー一覧。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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