解説

京都市・神戸市の保育所条例が国の省令と違う点:保育士の配置・ほふく室・医務室・調理員

京都市と神戸市の保育所の条例は、乳児室・ほふく室・保育室の面積を国の省令のままにしています。違うのは、京都市の保育士の配置(1歳5人・4歳20人につき1人)とほふく室、神戸市の医務室・屋外遊戯場・調理員・保育士の追加配置です。条文と所在を整理します。

この記事が答えること:面積は国と同じで、違いは配置と設備の条文にある

京都市と神戸市の保育所の条例を読むと、乳児室・ほふく室・保育室の面積に、国の省令(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第32条)と違う数値は見つかりません。

違うのは、京都市の保育士の数とほふく室の書き方、神戸市の医務室・屋外遊戯場・調理員・保育士の追加配置です。

札幌市や広島市のように面積を上乗せする条例とは、確認すべき条が変わります。

国の省令と京都市・神戸市の条例で、確認できた違い
項目国の省令京都市神戸市
乳児室・ほふく室・保育室の面積第32条の数値条例に独自の数値なし(省令による)条例に独自の数値なし(省令による)
保育士の数(1歳)1歳以上3歳未満はおおむね6人につき1人おおむね5人につき1人年齢ごとの人数は省令のとおり
保育士の数(4歳)4歳以上はおおむね25人につき1人4歳はおおむね20人につき1人(5歳以上は25人)年齢ごとの人数は省令のとおり
保育士の追加配置各保育所2人を下れない各保育所2人を下れない第4条第2項と附則で、保育士を加える定めがある
ほふく室乳児室又はほふく室を設けるほふくをする子を入所させる保育所はほふく室を設ける省令のとおり
医務室2歳未満を入所させる保育所に設ける省令のとおり2歳以上の保育所にも設ける
調理員調理員を置く(調理を全部委託する施設は置かないことができる)省令のとおり少なくとも1人は栄養士又は調理師免許を持つ調理員

京都市は市公式サイトの条文(最終改正 令和5年11月13日条例第16号)、神戸市は例規集の条文(平成28年10月1日施行の表示)を読みました。それ以後の改正は確認していません。実際に使う前に、各市の例規集で現行の条文を照合してください。

京都市:保育士の数は、1歳が5人・4歳が20人につき1人

京都市の条例(平成25年条例第36号)の第26条は、保育士の数を年齢ごとに定めます。

乳児おおむね3人、満1歳以上満2歳に満たない幼児おおむね5人、満2歳以上満3歳に満たない幼児おおむね6人、満3歳以上満4歳に満たない幼児おおむね15人、満4歳以上満5歳に満たない幼児おおむね20人、満5歳以上の幼児おおむね25人につき、それぞれ1人以上です。ただし、各保育所につき2人を下ることはできません。

国の省令(第33条第2項)は、乳児3人、満1歳以上満3歳に満たない幼児6人、満3歳以上満4歳に満たない幼児15人、満4歳以上の幼児25人につき1人以上です。

保育士1人が見られる子どもの人数(おおむね)
年齢国の省令(第33条第2項)京都市(第26条)
乳児3人3人
1歳6人5人
2歳6人6人
3歳15人15人
4歳25人20人
5歳以上25人25人

国と人数が違うのは、1歳と4歳の2つの年齢です。京都市の条例のほうが、1人が見る子どもの人数が少ない(保育士が多く必要な)定めです。

この表は、条例が定める最低基準の比較です。公定価格の配置基準とは別の定めなので、公定価格側の見方は年齢別の配置基準の確認で確認できます。

国の省令の人数だけで、京都市の保育士数を数えない

1歳を6人につき1人で数えると、京都市の条例が求める人数を下回ることがあります。4歳も同じで、国の25人でなく20人で数えます。

京都市で保育士数を確認するときは、条例第26条の年齢ごとの人数で割り、端数の扱いと各保育所2人の下限を所轄の窓口に確認する。

京都市:ほふく室は、ほふくをする子を入所させる保育所に設ける

国の省令(第32条第1号)は、乳児又は満2歳に満たない幼児を入所させる保育所に、乳児室又はほふく室、医務室、調理室及び便所を設けるとしています。

京都市の条例(第25条)は同じ書き出しに、ただし書を足しています。乳児又は満2歳に満たない幼児で、ほふくをするものを入所させる保育所については、ほふく室を設けなければならないという定めです。

国の省令は「乳児室又はほふく室」のどちらかを設けるという書き方なので、京都市では、ほふくをする子がいる保育所は乳児室だけでは足りません。

ほふく室の面積は、条例に独自の数値がなく、国の省令の第32条第3号(1人につき3.3平方メートル以上)によります。

京都市の条例の第27条は、省令の基準によるとしつつ、省令の第32条第1号と第33条第2項を適用から外しています。この2つは、条例の第25条と第26条が置き換えているためです。

神戸市:医務室・屋外遊戯場・調理員・保育士の追加配置

神戸市の条例(平成25年条例第75号)は、第5条で面積などの設備を国の省令によるとします。第8条が、省令の第32条第5号を読み替えています。

国の省令の第5号は、満2歳以上の幼児を入所させる保育所に、保育室又は遊戯室、屋外遊戯場(保育所の付近にある屋外遊戯場に代わるべき場所を含む)、調理室及び便所を設けるとしています。

神戸市は、このうち屋外遊戯場以降の部分(保育室又は遊戯室は国のとおり)を「屋外遊戯場、医務室、調理室及び便所を設けること」と読み替え、2歳以上の幼児を入所させる保育所にも医務室を求めています。

屋外遊戯場の代わりの場所は、神戸市では「市長が特に認める場合」に限られます。

国の省令は付近の代わりの場所を屋外遊戯場に含めると書くだけですが、神戸市は、認める場合を市長の判断にしています。

園庭がなく近くの公園などで代える予定の園は、設置の前に、神戸市がその場所を認めるかを確認する必要があります。

  1. 調理員(第4条第1項)

    省令第33条第1項の「調理員」に、そのうち少なくとも1人は栄養士である調理員又は調理師免許を持つ調理員とする、と加えています。

  2. 保育士の追加配置(第4条第2項・附則)

    本則の第4条第2項は、国の「保育所一につき二人を下ることはできない」を、さらに1人以上の保育士を加えて置く定めに読み替えています。附則第3項で当分の間この項は適用されず、附則第4項に、当分の間の読み替えが別に置かれています。

神戸市の保育士の追加配置は、本則だけを読んで判断しない

本則の第4条第2項は当分の間適用されないと附則第3項が定め、附則第4項に別の読み替えがあります。附則第4項には、保育士の数が1人である場合を除く、という書き方が含まれます。

追加の保育士が何人要るかは、第4条第2項・附則第3項・附則第4項を続けて読み、神戸市の保育所の担当窓口に現在の運用を確認する。

この記事から読めることと、読めないこと

この記事が扱うのは、京都市と神戸市の保育所の条例のうち、面積・保育士の数・医務室・調理員・ほふく室の条です。

建築基準法や消防法など、条例以外の規制、指定や認可の手続き、市が示す手引きの運用は扱っていません。

仙台市・新潟市・静岡市・熊本市の条例は、この記事の調査では例規集の原文を確認できていないため、書いていません。

条例の最低基準を満たすことと、認可や公定価格が決まることを混同しない

条例の基準は、認可を受けるための設備と運営の最低基準です。公定価格の加算や減算は、別の告示と通知で決まります。

公定価格の見方は、下の試算ツールと関連記事で確認し、認可の可否は所轄の自治体に確認する。

よくある質問

京都市・神戸市では、乳児室やほふく室の面積を上乗せしていますか。

確認した条文では、していません。京都市の条例は第27条、神戸市の条例は第5条で、面積などを国の省令による定めにしています。面積を上乗せしている例は札幌市・広島市の乳児室の面積で確認できます。

京都市の保育士の数は、国より必ず多く必要ですか。

国より多く必要になるのは、1歳と4歳の保育士です。1歳は国の6人に対し5人、4歳は国の25人に対し20人につき1人と、人数が少ない定めです。乳児・2歳・3歳・5歳以上は国と同じ人数です。

実際の園の人数は、年齢別の在籍数と端数の扱いで変わるため、所轄の窓口に確認してください。

神戸市の条例は、現在もこの内容ですか。

この記事で読んだ版は、平成28年10月1日施行の表示のある例規集の条文です。それ以後に改正されていないかは確認していないため、神戸市の例規集で現行の条文を照合してください。

次に知りたいこと

設備の基準全体と、ほかの市の条例を続けて読めます。国の設備の基準全体は保育所の設備の基準と必要な部屋で、ほかの指定都市の条例は横浜市・福岡市・大阪市の乳児室で、国と違う条例の例は秋田県・埼玉県・千葉県の条例で読めます。

地域区分・利用定員区分・年齢区分・保育必要量区分ごとの令和8年度の金額を、一覧で引けます。

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自園の条件で試算する

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結果には計算過程、使った通知・告示、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を表示します。

所在地から地域区分を確認して試算する

この記事は、京都市と神戸市の条例の条文の所在を整理するものです。個別の園の設置の可否や、配置の適否の判断は扱いません。

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  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」3件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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