この記事が答えること:放課後児童クラブの設備と職員は、保育所と何が違うか
放課後児童クラブ(放課後児童健全育成事業)の設備と運営の基準は、府令「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」に定められています。
保育所の基準とは別の府令で、専用区画の面積は児童1人につきおおむね1.65平方メートル、放課後児童支援員は支援の単位ごとに2人以上と書かれています。
保育所の面積基準や配置基準をそのまま当てはめることはできないため、併設や受託を考える前に、この府令の項目を順に確かめます。
この記事は、府令(平成26年厚生労働省令第63号)の本則をe-Gov法令検索で確認した範囲で書いています。府令は市町村が条例を定めるときに参酌すべき基準で、実際に守る数字は市町村の条例で決まります。補助金や利用料は扱いません。
専用区画は、児童1人につきおおむね1.65平方メートル以上
府令第9条は、事業所に「遊び及び生活の場としての機能並びに静養するための機能を備えた区画」(専用区画)を設けるよう定めています。
専用区画の面積は、児童1人につきおおむね1.65平方メートル以上です。
専用区画は、開所している時間を通じて専ら放課後児童健全育成事業の用に供するのが原則で、利用者の支援に支障がない場合はこの限りでない、と例外が置かれています。
| 同時に過ごす児童数 | 面積の目安 |
|---|---|
| 20人 | 33.0平方メートル |
| 30人 | 49.5平方メートル |
| 40人 | 66.0平方メートル |
上の表は、条文の「おおむね1.65平方メートル」に人数を掛けた計算例です。廊下、トイレ、調理室などを専用区画に含めるかどうかは、この記事では照合していません。市町村の条例と、事業所の確認を担当する窓口で確かめてください。
職員は、支援の単位ごとに放課後児童支援員を2人以上(1人は補助員でもよい)
府令第10条は、事業所ごとに放課後児童支援員を置くよう定めています。
支援員の数は支援の単位ごとに2人以上ですが、その1人を除いて、補助員(支援員の支援を補助する者)で代えることができます。
支援員は支援の単位ごとに1人以上、もう1人は補助員でもよいという読み方になります。
支援の単位
同時に一体的に支援を提供する児童のまとまりです。1つの支援の単位を構成する児童の数は、おおむね40人以下とされています。
専従の原則
支援員と補助員は、原則として支援の単位ごとに専ら当該支援の提供に当たる者でなければなりません。
専従の例外
利用者が20人未満の事業所で、支援員の1人を除いた者または補助員が同一敷地内の他の事業所・施設等の職務に従事している場合など、支援に支障がないときは、専従でなくてもよいとされています。
保育所と同じ敷地で運営する小規模なクラブでは、この専従の例外が使えるかどうかが確かめる点になります。
使えるかどうかは、市町村の条例の書き方で確かめます。
放課後児童支援員になれる人:10の資格・経歴のどれかに当たり、研修を修了した人
府令第10条第3項は、支援員を、次の10の号のいずれかに当たる者で、都道府県知事または指定都市・中核市の長が行う研修を修了した者としています。
保育士の資格を持つ職員も、研修を修了しなければ支援員になれません。
資格だけでは足りず、研修の修了が必要です。
| 号 | 内容 |
|---|---|
| 第1号 | 保育士の資格を有する者(認定地方公共団体の区域内などでは地域限定保育士等を含む) |
| 第2号 | 社会福祉士の資格を有する者 |
| 第3号 | 高等学校卒業者等で、2年以上児童福祉事業に従事した者 |
| 第4号 | 教育職員免許法に規定する免許状を有する者 |
| 第5号 | 大学で社会福祉学・心理学・教育学・社会学・芸術学・体育学を専修する学科等を修めて卒業した者 |
| 第6号 | 上の学科等で優秀な成績で単位を修得し、大学院への入学が認められた者 |
| 第7号 | 大学院で上の分野を専攻する研究科等を修めて卒業した者 |
| 第8号 | 外国の大学で上の分野を専修する学科等を修めて卒業した者 |
| 第9号 | 高等学校卒業者等で、2年以上放課後児童健全育成事業に類似する事業に従事した者のうち、市町村長が適当と認めたもの |
| 第10号 | 5年以上放課後児童健全育成事業に従事した者のうち、市町村長が適当と認めたもの |
表は条文の要約です。第1号の括弧書き、「高等学校卒業者等」の範囲、大学の学科の読み方は条文の本文で確かめてください。研修の内容と受講の申込みは、都道府県等が定めるもので、この記事では扱いません。
開所は、休業日に1日8時間以上・それ以外の日に1日3時間以上、年250日以上が原則
府令第18条は、開所する時間を、小学校の授業の休業日は1日につき8時間以上、休業日以外の日は1日につき3時間以上を原則として、その地方の保護者の労働時間や小学校の授業の終了時刻などを考慮して事業所ごとに定めるとしています。
開所する日数は、1年につき250日以上が原則です。
どちらも原則で、地域の状況を考慮して事業所ごとに定める作りになっています。
保育所の保育時間は、別の府令で1日8時間を原則とすると定められています。
保育所の側の定めは、保育時間と開所時間の違いで整理しています。
運営規程の11項目と、事故・自動車・帳簿などの運営の義務
府令第14条は、事業所ごとに運営規程を定めるよう求め、記載する重要事項として11の項目を挙げています。
職員の職種・員数、開所している日と時間、利用定員、緊急時等の対応方法などを書きます。
運営規程に書く項目は府令で決まっているため、作る前に項目を揃えておきます。
| 号 | 事項 |
|---|---|
| 第1号・第2号 | 事業の目的及び運営の方針/職員の職種、員数及び職務の内容 |
| 第3号・第4号 | 開所している日及び時間/支援の内容及び保護者が支払うべき額 |
| 第5号・第6号 | 利用定員/通常の事業の実施地域 |
| 第7号・第8号 | 事業の利用に当たっての留意事項/緊急時等における対応方法 |
| 第9号・第10号 | 非常災害対策/虐待の防止のための措置に関する事項 |
| 第11号 | その他事業の運営に関する重要事項 |
事故が起きたとき(第21条)
支援の提供により事故が発生した場合は、速やかに市町村と保護者等に連絡し、必要な措置を講じます。賠償すべき事故は、損害賠償を速やかに行います。
自動車で移動するとき(第6条の3)
事業所外での活動などで自動車を運行するときは、乗車と降車の際に点呼その他の方法で、児童の所在を確認します。
帳簿(第15条)
職員、財産、収支、利用者の処遇の状況を明らかにする帳簿を整備します。
関係機関との連携(第20条)
市町村、児童福祉施設、利用者の通学する小学校等と密接に連携して支援に当たります。
送迎や園外活動で自動車を使う場合の所在確認は、保育所でも同じ考え方で義務づけられています。
保育所側の整理は、送迎用自動車の所在確認を見てください。
府令は参酌すべき基準:実際の数字は市町村の条例で確かめる
府令の第1条は、この府令が、児童福祉法第34条の8の2第2項の基準を市町村が条例で定めるに当たって「参酌すべき基準」を定めるものだと書いています。
市町村は、府令を参考にしたうえで、地域の実情に応じて条例の内容を決めるため、面積や人数の数字が府令と同じとは限りません。
事業所の所在地の条例が、実際に守る基準です。
保育所の定員や面積の数字を、そのまま学童に当てはめない
保育所は児童福祉施設の設備及び運営に関する基準、放課後児童クラブは別の府令で、面積の単位も人数の数え方も違います。
併設する建物の図面に、保育所の保育室と放課後児童クラブの専用区画を分けて書き込み、専用区画が開所時間を通じて専ら学童の用に供されるかを確かめます。
確かめる順序
併設や受託を検討するときは、面積、職員、資格、運営規程の順に確かめると、手戻りが少なくなります。
最初に確かめるのは、事業所の所在地の市町村の条例です。
事業所の所在地の市町村の条例を入手する
放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定めた条例を、市町村の例規集で確かめ、面積・人数・資格・開所時間の数字を府令と見比べます。
専用区画の面積と専用性を確かめる
想定する児童数に条例の面積を掛け、保育所の保育室と時間帯で共用しないかを図面と時間割で確かめます。
支援の単位と必要な職員数を決める
児童数がおおむね40人以下に収まる単位に分け、単位ごとに有資格の支援員1人と、もう1人(支援員または補助員)を割り当てます。
支援員の資格と研修の修了を確かめる
候補の職員が10の号のどれに当たるかと、都道府県等の研修を修了しているかを、資格証や修了証で確かめます。
運営規程と事故時の連絡手順を作る
11項目を揃えた運営規程を作り、事故が起きたときの市町村・保護者への連絡の流れを決めます。
よくある質問
- 保育士の資格があれば、そのまま放課後児童支援員になれますか。
なれません。保育士は資格要件の1つ(第1号)ですが、都道府県知事または指定都市・中核市の長が行う研修を修了した者でなければなりません。研修の日程と申込みは、都道府県等に確認してください。
- 児童が40人を超えるクラブは、運営できませんか。
府令は、1つの支援の単位を構成する児童数をおおむね40人以下とするもので、事業所全体の人数の上限ではありません。支援の単位を分けて、それぞれに職員を置く作りになります。
- この記事の基準は、公定価格の試算に関係しますか。
関係しません。この試算ツールは認可保育所などの公定価格(施設型給付費・委託費)の算定のみを行い、放課後児童クラブの補助や利用料は扱いません。保育所が地域で担える他の事業は、地域子育て支援拠点事業の実施要件などで整理しています。
自園の条件で試算する
この記事は、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第63号)の本則のうち、第1条・第6条の3・第9条・第10条・第14条・第15条・第18条から第21条までを扱います。市町村の条例、研修の内容、補助金、利用料、個別の施設への適用は照合していません。最終的な判断は、事業所の所在地の市町村に確認してください。
ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧
この記事が参照した一次資料
- 放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準
平成26年厚生労働省令第63号/令和8年度対象外/確認日 2026-10-31