解説

認可外保育施設の指導監督基準:保育内容・保育従事者の姿勢(身体的苦痛・虐待)・保護者との連絡

認可外保育施設の指導監督基準「保育内容」の章を、こども家庭庁の通知の原文で確認します。年齢別の保育の留意点、生活リズムと戸外活動、テレビを見せ続ける放任的な保育の禁止、しつけと称した身体的苦痛、虐待が疑われるときの連携と通報、連絡帳と見学対応までを整理します。

「保育内容」の章は、保育の内容・保育従事者の姿勢・保護者との連絡の3つで構成される

こども家庭庁の通知「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」の指導監督基準は、「第5 保育内容」で、保育の中身そのものを見る項目を置いています。

章は、(1)保育の内容、(2)保育従事者の保育姿勢等、(3)保護者との連絡等の3つで構成されています。職員の数や面積のように数で見られる基準とは違い、日々の保育の様子と記録で確かめられる項目が中心です。

「第5 保育内容」の構成(確認日 2026-10-25)
項目通知が求めること
(1) 保育の内容児童一人一人の発育・発達の状況を把握して保育内容を工夫する/生活リズムに沿った保育の計画を定めて実施する/放任的な保育にしない/年齢に応じた遊具や保育用品を備える
(2) 保育従事者の保育姿勢等児童の最善の利益を考慮する/保育所保育指針を理解する機会を設ける/児童の人権に配慮する/虐待が疑われる場合に専門機関と連携する
(3) 保護者との連絡等保護者と密接に連絡を取る/緊急時の連絡体制をとる/見学の要望に適切に対応する

居宅訪問型保育にあたる業務(児童福祉法第6条の3第11項)を目的とする施設は、保育の内容のうち遊具・保育用品を備える項目について、通知が「原則として本基準を適用しない」としています。乳幼児の居宅などで行う事業だからです。

保育の内容は、年齢ごとの発達に合わせて工夫し、保育所保育指針の理解が前提になる

通知は、児童一人一人の心身の発育や発達の状況を把握し、保育内容を工夫することを求めています。

児童の発達状況に対応した保育従事者の適切な関わりは、児童の健全な発育・発達にとって不可欠であり、その理解には保育所保育指針の理解が不可欠だと書かれています。

通知が年齢区分ごとに挙げる留意事項(要旨)
年齢通知が挙げる主な観点
乳児(1歳未満)疾病への抵抗力が弱いことを理解した保健的な対応/特定の大人との応答的な関わりによる情緒の安定/生理的・心理的欲求への愛情を込めた応答
1歳以上3歳未満感染症にかかりやすい時期の日常の観察/自我が形成される時期の情緒の安定/自分でしようとする気持ちの尊重/事故を防ぎながら探索活動を十分できる環境
3歳以上個の成長と集団としての活動の充実。3歳から6歳まで、年齢ごとに留意点が分けて示されている

表は要旨です。実際の確認では、通知の原文の留意事項(乳児と3歳未満は「〜しているか」の形)が、都道府県などの点検の視点になります。

生活リズムの計画を定めて実施し、テレビやビデオを見せ続ける放任的な保育にしない

通知は、遊び、運動、睡眠などがバランスよく組み合わされた健康的な生活リズムが保たれるよう、十分に配慮した保育の計画を定めることを求めています。

計画を定めるだけでなく実施することも求められ、実施にあたっては沐浴、外気浴、遊び、運動、睡眠などに配慮します。外遊びなど、戸外で活動できる環境の確保も項目に含まれます。

  1. 放任的な保育にしない

    漫然と児童にテレビやビデオを見せ続けるなど、児童への関わりが少ない保育になっていないことが基準です。通知は、きめ細かく相互応答的に関わる姿勢を欠く保育従事者は不適任だと書いています。

  2. 必要な遊具・保育用品を備える

    年齢に応じた玩具、絵本、紙芝居などを備えます。大型遊具を備える場合は、安全性の確認を常に行うことが、事故防止の観点から不可欠だと書かれています。

  3. 清潔さを保つ

    必要に応じて入浴させたり、身体を拭いたりして、児童の身体の清潔さを保つ旨が、計画の項目に添えられています。

しつけと称するか否かを問わず、身体的苦痛を与えることは犯罪行為。心理的苦痛も与えてはならない

保育従事者の姿勢の項目には、児童の最善の利益の考慮と、人権への配慮があります。

通知は、しつけと称するか否かを問わず児童に身体的苦痛を与えることは犯罪行為であると書き、ネグレクト、差別的な扱い、言葉の暴力による心理的苦痛も与えてはならないとしています。

施設の運営管理にあたる施設長については、職責に鑑みて、資質の向上と適格性の確保が求められています。

保育所保育指針を理解する機会を設けるなど、保育従事者の質の向上が図られる体制に努めることが必要です。都道府県などが実施する施設長や保育従事者の研修への定期的な参加は、望ましいとされています。家庭的保育にあたる業務、居宅訪問型保育にあたる業務、1日に保育する乳幼児が5人以下の事業所内保育にあたる業務の施設の保育従事者は、保育に従事する前に研修を受けることが望ましいとされています。

「しつけだから」は、児童に身体的苦痛を与える理由にならない

通知は、しつけという名目の有無で、身体的苦痛を与えることを分けていません。叱り方や制止の仕方を職員間で共有しておかないと、職員ごとに対応がばらつきます。

施設の保育方針に、してはならない関わりを書き出し、職員に周知します。不適切な保育の考え方は、不適切な保育とは:国のガイドラインは「虐待」の4類型に整理し直したの記事で整理しています。

虐待が疑われるときは専門機関と連携し、職員による虐待の疑いは速やかに通報する

児童の身体、保育中の様子、家族の態度などから、虐待などの不適切な養育が疑われる場合は、都道府県などや児童相談所などの専門機関と連携する体制をとることが基準です。

通知は、虐待が疑われる場合だけでなく、専門機関の助言が必要と思われる場合も同様だとして、例に「心身の発達に遅れが見られる場合」と「社会的援助が必要な家庭状況である場合」を挙げています。

職員などによる虐待が疑われる場合は、児童の安全確保を最優先とし、速やかに都道府県などに通報しなければならないとされています。

虐待と疑われる事案を発見した場合は、状況を正確に把握して、都道府県などに設置されている相談窓口や担当部署に、把握した状況を速やかに情報提供・相談し、今後の対応を協議する必要があると書かれています。通報の法律上の整理は保育所等の職員による虐待の通報義務(令和7年10月施行)の記事で確認できます。

保護者とは連絡帳で家庭と施設の様子を伝え合い、緊急連絡先を全員が分かる形にし、見学の要望に応じる

保護者との連絡の項目は3つです。

1つ目は、保護者と密接に連絡を取り、その意向を考慮した保育を行うことで、通知は連絡帳またはこれに代わる方法で、家庭での様子と施設での様子を連絡し合うことを求めています。

  1. 連絡帳などで、家庭と施設の児童の様子を互いに伝える

    保護者との相互信頼関係が、児童の適切な保育にとって不可欠だと、通知は書いています。

  2. 緊急時の連絡先を整理し、全ての保育従事者が容易に分かるようにする

    保育中に異常が発生した場合など、いつでも連絡できる状態にしておくことが必要だと書かれています。

  3. 保育の様子や施設の状況を見たいという要望には、児童の安全確保に配慮して、見学に適切に対応する

    保護者だけでなく利用希望者からの要望も対象です。

この章を点検する順序

保育内容の章は、書類よりも日々の保育で確かめる項目が多いため、記録と職員への周知を先にそろえます。

  1. 年齢別の保育の計画と日課表を用意し、実施した記録とあわせて保管する

    計画を定めるだけでなく、実施していることを、日誌や連絡帳で示せるようにします。

  2. 映像を見せる時間や戸外活動の取り扱いを決め、職員に周知する

    漫然と見せ続ける状態にならない運用を、保育方針に書きます。

  3. してはならない関わりと、虐待が疑われるときの連絡先を職員全員に周知する

    都道府県などの相談窓口と児童相談所の連絡先を、事務室に掲示します。

  4. 保護者への連絡手段と、見学の受け入れの手順を決める

    連絡帳の様式、緊急連絡先の一覧、見学の受け付けと案内の担当を決めます。

この記事・試算で扱わないこと

この記事は、通知が示す保育内容の基準を説明するもので、個別の施設の保育が基準を満たしているかの判定は行いません。

都道府県ごとの追加の基準、虐待の認定や通報の個別判断、保育の質の評価は扱いません。この試算ツールの対象は認可保育所の公定価格で、認可外保育施設の指導監督は対象外です。

次に読むなら、給食と健康診断の基準は認可外保育施設の指導監督基準:給食の衛生管理と、児童・職員の健康診断・検便の頻度、利用者への情報提供と備える帳簿は認可外保育施設の指導監督基準:利用者への情報提供(掲示・契約書面)と、備える帳簿、届出の対象は認可外保育施設の届出が必要な施設と不要な施設で確認できます。

よくある質問

認可外保育施設の指導監督基準で、保育内容はどこまで見られますか。

基準の「第5 保育内容」は、保育の内容、保育従事者の保育姿勢等、保護者との連絡等の3つを見ます。年齢に応じた保育の工夫、生活リズムの計画の実施、放任的な保育の有無、人権への配慮、虐待が疑われるときの連携体制、連絡帳と見学対応が項目です。

テレビやビデオを保育中に見せてはいけませんか。

通知は、漫然と見せ続けるなど、児童への関わりが少ない放任的な保育になっていないことを基準にしています。映像を見せること自体を一律に禁じる書き方ではありません。

しつけのためなら、児童に身体的苦痛を与えてもよいですか。

認められません。通知は、しつけと称するか否かを問わず児童に身体的苦痛を与えることは犯罪行為であると書いています。

保育者による虐待が疑われるときは、誰に伝えますか。

通知は、職員などによる虐待が疑われる場合、児童の安全確保を最優先とし、速やかに都道府県などに通報しなければならないとしています。連携先として、児童相談所などの専門機関も挙げています。

保護者から見学したいと言われたら、断れますか。

通知は、児童の安全確保などに配慮しつつ、保育室などの見学が行えるように適切に対応することを求めています。見学の手順は、事前に決めておきます。

この試算ツールで、認可外保育施設の保育内容を確認できますか。

できません。この試算は認可保育所の公定価格の算定に特化しており、認可外保育施設の指導監督は対象外です。

自園の条件で試算する

認可保育所として運営する場合の公定価格(委託費)を、所在地・定員・年齢別の園児数から試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていないことも表示されます。

公定価格の試算を開く

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

    ほかの解説

    • 公定価格とは・決まり方:保育所の計算方法と基本分単価の内訳

      保育園の公定価格の決まり方を解説。公定価格とは、特定教育・保育等に要する費用の額で、保護者の保育料とは別の施設側の総額です。基本分単価の内訳は地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4つで決まります。計算は基本分単価・加算・減算・園児数の4手順で、試算画面の入力欄も確認できます(子ども・子育て支援法第27条第3項)。

      関連する理由:

    • 合併・事業譲渡で、利用定員はそのまま引き継がれるか

      こども家庭庁が公表した合併・事業譲渡ガイドラインは、認可・確認の手続きが引き継がれるかどうかを、事業譲渡か合併か、合併なら運営法人の種類によって整理しています。利用定員が新たに確定し直され、試算をやり直す必要がある場面を説明します。

      関連する理由: 共通する試算入力

    • 認可外保育施設の指導監督基準:保育に従事する者の数と資格者の割合

      認可外保育施設の指導監督基準のうち、保育に従事する者の年齢別の数、保育士または看護師の資格を有する者の割合、立入調査の頻度を、こども家庭庁の通知の原文で確認します。認可保育所の配置基準との違いと、確認の順序も整理します。

      関連する理由: 共通する試算入力/共通する一次資料

    • 合併・事業譲渡は引継ぎ前後で試算条件を分ける

      保育所の合併・事業譲渡を検討するときは、引継ぎ前後の所在地・利用定員・在籍数を同じ試算に混ぜません。個別手続を判定しない、全国共通の試算条件の整理順を説明します。

      関連する理由: 共通する試算入力

    「分園・合併・認定こども園への移行を検討するとき」の解説一覧へ